ねね(姉)の職場に1月から入職した新人さんがいます。
看護師さんには2種類ありまして、国家試験を合格して免許を得る正看護師さんと都道府県の試験を合格して免許を得る准看護師さんがいます。
都道府県知事の免許を受け、医師、歯科医師または看護師の指示を受けて、傷病者もしくは褥婦(じょくふ)に対する療養上の世話、または診療の補助をすることを業とする者をいう(保健師助産師看護師法における定義)。
正看さん、准看さんと呼ぶことが多いですね。
国家資格と都道府県資格の差がお給料や業務内容に反映されることが多いかと思います。
学校に通う期間も短いので准看さんは正看さんより仕事ができないか、と言ったらそんなことはなく病院で資格を持って働くこと、患者さんも接することにおいては人格や意識の差になるので正看さんより優れているなと思わせる准看さんはよく見かけます。
新人さんは准看さんです。他の仕事をしていたけど看護師に憧れ准看の資格をとり、正看の資格をとるため今夜間学校に通っています。なので歳はねねより大分上です。
他の仕事をしていて看護師に憧れて准看の資格とって働く人ってけっこういるんですよね。
この資格は持っておいても損はないからやる気があればどんどん勉強して准看なり正看なりなってほしいものです。
が、こういう人たちの新人指導につくのは本当に骨がおれます。
当院ではプリセプター制度ではないのでその日に誰かにべったりついて業務を習うのが新人指導にあたるのでねねもたまに新人指導を割り振られます。
准看でこれから正看になるので、
・なぜこれをやる
・なぜこうなってる
・これをやるとどうなる
根拠の総ツッコミをかわせるように脳を仕立てる必要があります。
正看護師の学校の実習はなぜ、どうして、こればかりツッコまれる。先生、指導者、現場の看護師にいやほどツッコまれる。
答えられなくて無言からのすすり泣きという現場はよく目撃して次は我が身かと震えたものです。
実際ねねもやんわり適当に答えると「調べてきてね」「レポート提出!」と言われて泣きたい気持ちになりましたね。
なので新人指導に担当するときはなんでやるのかをきっちり説明しながらやるようにしています。
丁寧に色んなことを話して、患者さん23人分のカルテを持ち、カルテの見方、患者さんの病歴、注意点もろもろ説明しました。1時間かけて。
「メモとるなら紙を持ってきてくださいね」
と言ったのに何も持たずにぼけーっとねねの後ろを突っ立ってた時はとても腹立たしく思いました。
紙を持ってこなかったので、何もメモをとらずぼけーっと聞き流されました。
ねねな、大事なこと言ってるよ?この患者さんは脳出血やってるから痙攣頻発するんだよ、痙攣したらどうする?とかあなたが痙攣を見つけたとき何をしなければいけないかを、本当はあなたが勉強して考えて来なければいけないことを親切に教えてるよ?え、そういう押し付けがましいのいらない?あー、そう、そうですか。
途中でトイレとか大丈夫ですか、とか聞くのも押し付けがましいのな?あー、そう。ねねが悪いんかな。
よくTwitterとかで、メモをとれ、って言われても取らなくてもわかる内容だから取らないんだよ老害!みたいな発言見るけど、ねねが魂を込めて話した1時間メモとるに値しないのね。へえ。へぇ。
ねねはね、大事なことでもなんでもメモとるクセもつけておいた方がいいと思うんですよ。
ましてこれから看護師になろうとしているなら。
実習で絶対言われると思うんだ、「メモ取らなくて大丈夫?」って。
メモをとることがのちのち何につながるか、
例えば急変があったとき、電子カルテでそのまま看護記録を入力できるならメモを取らなくてもいいけども、たいてい患者さんのベッドサイドで事は起きて秒刻みで色々事が進むんですね。
急変
ナースコール
ドクターコール
モニター装着
点滴ライン確保
投薬
採血、検査
これがわっというまに凄まじいバタバタさでやられるんです。で落ち着いたらこれを記録に残さないといけないんですね。
架空の急変の記録例
10:30 訪室すると顔色不良、努力様呼吸、酸素飽和度88%、鼻腔より吸引、食物残さ物多量に引ける。
10:35 酸素投与開始 3lフェイスマスク、心電図モニター装着
10:40 酸素飽和度95%、呼吸回数30回/分、心拍数110~130台
事細かに色々何をしてどうなったか、を書くんですね。これは嘔吐して誤嚥した例。
病院によって看護記録は違うのでこんな書き方じゃ生ぬるいと思う方がいたらすみませんね。
時間に何があったか残すのは看護記録の大事なところでしょう。第一発見現場を見ていない呼び出された医者が看護記録を見て状況を知ることもあるくらいですから。
この事細かに書かれる記録、メモなしで記憶できますか?まして急変でみんなテンパってたら何したっけってなるでしょう。
記録に残すためにもメモは看護師さんには必要だと思うんだけど新人さんはそこを分かっていない。他の職場ではメモとる習慣がなかったからかもしれない。そういう今までの習慣が新しい習慣を取り入れる邪魔をするのです。
自分の経験もあるから看護師さんたちはメモをとるし、メモをとらないと聞いてないのでは?と思うところもあるのです。
メモをとるのは教えてくれる人に対しての「聞いてます」という態度であるし、「うっす!教えてもらうこと忘れないように頑張りまっす!」的なパフォーマンスでもあるのではないかと思うんですよね。
パフォーマンスでいいから、お願い、メモ取らなくて大丈夫ですかと言ったらメモとって!
わからなくなったときにメモに助けられることもあると思いますし、とったメモを活用できる、というのも仕事の能力だと思いますんで。
必要なことはメモして必要でないことはメモしないという判断力も必要でしょうよ。
そのあとも一切メモをとらず「これから○○をします」と何回かやっている処置も「はい!」と言いねねの横に突っ立ってボーッとしてたの悲しかったですね。
一応准看の資格持って知ってる処置なら「処置の準備します」とかハキハキ動いてもいいのでは、と思ってしまうねねがいるんですよ。トントン拍子に仕事が進まなくて負担。
あと横に突っ立たれるのすごく苦手でね。あれをしますこれをします次は何しますって指示を出しているつもりなのに突っ立たれるの指示の出し方が悪いんですかね。
あぁ、説明もメモしてくれないのは説明の仕方が悪いんですね、とがっかりげっそりしてしまうのです。
新人さんが何すればいいかわからなくてウロウロしないように、やること多過ぎてテンパらないように気配りするの大変。
まして年上の新人さんなので年下に指導されるのはプライドとかあるし、そういうところを傷付けないようひどく気を遣うのです。
これだけ疲弊しながらやってもお給料増えるわけでないし、業務が楽になるわけでもない。
でね、何が1番嫌かってこんなに一生懸命説明したり色々しても結局辞めちゃうんですよ。教え方じゃなくて、仕事がキツイとか職場が合わないとかで。
そんな人たちを何人か見送って、あんなに一生懸命教えたのになとがっかりするのです。
教えて労力遣った分、何も返ってこないどころか逆に辞められて欠勤となり業務が重くのしかかるのですよ。
そりゃねねもたくさん教えてもらったからその分恩返しできるようすぐ辞めることは絶対しない。簡単に辞めることのできる時代だけども教える人のあなたに遣ったエネルギーを少し考えてほしいものです。
明日も新人指導につくので今から気分が滅入るねねでした。では。