スーパーセリゾーンを制する者がセリ摘みを制する。
過去の偉人達はそんなことを言ってはいないがセリを摘む者たちの暗黙の了解であろう。
セリは多年草なので根がついていればまた次の年も同じ場所に生える。時期を狙って行けばスーパーセリゾーンはまたそこにあるはずなのだ。
今年、ねね(姉)のセリ摘みの時期が早すぎたためスーパーセリゾーンに向かうも小さなセリしか見つからなかった。
ここ数年この藪の中にスーパーセリゾーンはあったのだが、藪が深すぎてなかなか日差しが届かず芽が出るのが遅くなったようだ。
ちなみにこの藪の中は湿地となっていて下手をすると水溜まりにずぐずぐに足をとられる。
藪を踏みつけて足場にしないと靴はすぐずぐずぐになり足を濡らす。迂闊にスニーカーで行くとダメだ。ねねの不注意であっという間にスニーカーの泥浸しが出来上がった。
うぇぇ足がずぐずぐだ、と思う。
それよりもセリを摘みたい。
スーパーセリゾーンを見つけ一花咲かせたい。
美味しいセリの天ぷらを食べながら、セリ摘み王になって石油王みたいな豊かな生活をしてみたい。
これは狩猟本能なのか、それともただの浴なのか。人間の欲とは深きモノである。
藪をかき分け見つけるセリゾーン。
パラパラとはあるけども天ぷらがたくさん出来る量ではない。
スーパーセリゾーンはどこだ。
スーパーセリゾーンはどこだ。
スーパーセリゾーンはどこだ。
スーパーセリゾーンを探し回る。
スーパーセリゾーンはどこだ。
藪をかき分け腕は藪で擦り切れる。痛がゆい。
遠くで一族がねねを呼ぶ。「ね~ねちゃ~ん」と。多分帰ろうということだろう。
「は~い」と返事して無視した。
帰らない。
ねねはスーパーセリゾーンを見つけるまで帰らないから。
そのとき、あの人の声が聞こえた…
「諦めたらそこで試合終了ですよ…?」
あの先生だ‼SLAM DUNKのあの先生だ!こんなところで、こんな藪の中で出会うとは…。ねね、今セリ摘みしてんだけど。その言葉は今のねねに必要だよ。うん、わかった、諦めない!諦めたらそこでスーパーセリゾーンは見つからないもんね。
そうして小さなスーパーセリゾーンを細々と見つ両手いっぱいのセリの収穫に成功した。
セリの天ぷらは本当に美味しかった。
諦めなくて良かったと思う。ありがとう。あの先生。
靴は既に終わってしまったので予備の靴と靴下に変えた。ねねの春は桜よりも先に一花咲かせたと思っている。