喫茶クラウンという純喫茶を知ったのはつい最近で埼玉県の螺旋階段を検索したらたまたまヒットした。
埼玉県の蕨駅から徒歩5分、ここの場所は知っているのにここに喫茶店があることは知らなかった。あまりにも蕨の土地に溶け込み気付かなかったのだろう。
蕨駅東口を下りてメインストリートの最初の信号を左に進むと喫茶クラウンはある。が、本当にひっそりとそこにあるのででかでかとクラウンと書いてあっても気付かずスルーしてしまいそうになった。
このキーコーヒーの四角い看板、あんまり見なくなったな。
薄暗い店内の様子は外からだと伺えず入っていいのかなと緊張しながら入った。
営業中だったが、店内には若い女の子2人組しかいなかった。
どこの席に座ろうか悩んで店内が見渡せる一番奥の席に座った。
シャンデリアやランプシェードが昭和の最先端のゴージャス感を出していて平成の終わりから見ると寂しげな感じもした。
そういうのをノスタルジックと言ったりレトロと言ったりするのだろう。そういうのが好きなのだ。だからここへ来た。
フードメニューも充実していてピラフやナポリタンなど純喫茶メニューもあったが、そんなにお腹が空いていなかったためケーキセット(590円)を頼む。値段も昭和的。安い。
リンゴのタルトとホットコーヒー。
皮のソファーと大理石調のテーブル。ステンレスのシュガーポット。小雨の降る街。女の子達の話し声。雰囲気が静かで街の喫茶店という感じ。とてもいい。
タルトはリンゴがゴロゴロ入っていて程よい甘さ。タルト生地の厚さがありバターの香りがする。おいしい。
ひとときの雨宿りタイムスリップ。
帰り際螺旋階段の写真を撮らせて下さいと言うと撮らせてくれた。
わざわざ電気もつけて下さり、電気がついた瞬間、わぁきれい!と言葉がもれた。
写真だと煌めきがわかりにくくなるけど、2階の窓ガラスに反射してキラキラと輝く世界だった。
見上げると優しい光と影。
螺旋階段の不思議な形とシャンデリアがレトロで見入ってしまう。
2階もあるが普段は使っていない模様。
少しだけ階段を登り見下ろしてみたらやっぱり素敵な螺旋階段だった。
赤い絨毯とシャンデリア。蕨の街角にこんな世界があったのか。喫茶クラウン、ここはただの喫茶店ではなかった。昭和の残り香を楽しむ場所だなと思った。
少しだけ寂しい気持ちになったのはいたかここもなくなるのでは、という予期悲観だと思う。いつまでも同じように同じようにあるものなどないからなるべくそういうとこをたくさん知って見ておこうと思った。