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いとおしいとおもうことについて

2018年6月11日、いとおしい気持ちで胸がいっぱいになる漫画が発売される。

 

中川ホメオパシー作 なかよし番外地 だ。

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%82%88%E3%81%97%E7%95%AA%E5%A4%96%E5%9C%B0-%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E4%B8%AD%E5%B7%9D%E3%83%9B%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%91%E3%82%B7%E3%83%BC/dp/4047352381
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 ジャンル的にはBLになるが、これは哲学のようでも人間学のようでもギャグのようでもある多角的な視点があるのでジャンルでどうしても括ってくれというならば私は中川ホメオパシーの愛を抽出したジャンル、と言う。

(※中川ホメオパシーのいい意味で悪いところを抽出しているのはバトル少年カズヤ、正義を抽出しているのは干支天使チアラット、ギャグと男気を抽出しているのは抱かれたい道場、どれも全部面白いし同一作者の漫画とは思えないほど各作品の個性が強い)

 

 中川ホメオパシーとはコンビで活動している漫画家さんだ。とてもクレイジーなので作品が読む麻薬と称されることもある。Twitterを拝見するとクレイジーさがよくわかる。

中川ホメオパシー (@nakagawa_ho)さんをチェックしよう https://twitter.com/nakagawa_ho?s=09

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明日発売のなかよし番外地をフライングゲットしたので、この漫画の優しくて心が温まる点について書く。

 

登場人物は兄貴と辰という二人の中年男性(やー○ん…?)だ。

男×男の淡い恋の物語である。

初めて見たとき「やー○んじゃん!」とゲラゲラ笑ったが、この二人の穏やかで優しい関係を見ているうちに時にくすりと笑い、時に胸が締め付けられるほど切なくなったりしてこの漫画と共に淡い恋を味わっている自分がいた。

 

男同士だから、おっさんだから、やー○んだから、そんな下らない偏見を全て取っ払って私はここに純愛を見出だしている。

 

 

ただ、この漫画には「愛している」という言葉は一切出てこない。恋愛モノにこの「愛している」という言葉は欠かせないという既存の概念をひっくり返した。

作者の本意は知らないが、安易に愛している、を 使わずにここまで愛に溢れた一冊にするのは絶妙な言葉だったり兄貴と辰の表情、照れた顔、そして目は口ほどに物を言う、といわんばかりの目力の画力だ。

 

みてくれは中年男性で決してイケメンではないけども、恋するときめきや憂いを目の潤みやちょっとしたしぐさで表現している。

1ページ4~6コマのショートストーリーの中の兄貴と辰の愛と優しさ、時には嫉妬というさまざまな感情が詰め込まれているのでこちらまで一緒にいろんな感情体験ができる。

 

例えばこんな和室に布団を並べて寝るまでの時間。
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これが男女だったらダブルのベッドに同じ布団をかけて寝る描写になるだろう。

男×男というちょっとした遠慮というか二人の距離感が伺える。枕を離して寝る、完全に独立しているのだ。

眠りにつく前のこのささやかな時間を手も繋がす身体を重ねることもなく、ただただ今日という日の終わりに一緒にいられることを幸せだと思っている。

我々は大切な人と一緒にいるときに、兄貴と辰のような清らかさで眠りについているだろうか。

二人はなかよしであるが依存はしていないし、お互いに違う個体であることを、一つになれないことを知って気遣い合っている清々しく美しい距離感なのだ。

 

辰の涙を見るとこんな毎日を大切に思うからこそ得体の知れない寂しさや悲しさが襲ってくることもある。
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 大人になって「こんな毎日がずーっと続けばいいのにな…」と言ったことがあるか、好きな人を目の前に堂々とこんなことを考えられるか。辰の純粋さに胸を打たれてしまう。

 

この二人のゴールはなかよし、だ。付き合うとか結婚とか、世間一般の愛の形とは違う。

大切な人を大切に思う単純なようで難しいことを、形式に囚われずに表現した中川ホメオパシーがすごいと思う。

どんな人やどんなカップルでも、大切な人やモノに真摯に向き合う姿は強く美しい。それは誰にも咎められてはいけない。

 

時代は変わり、多様性が認められてきた。100人いれば100通りの愛の形があって、その中で正しいのは100通りの愛の形があっていい、ということだけだ。

男女でカップルになり結婚することだけが正しい時代はもう終わったのだ。自由に向けて少しずつ進んでいかなければならない。愛し合う二人に干渉は不要なのだ。

 

 

いとおしいという言葉の意味はいくつかある。

・大事にしてかわいがりたくなるさま

・かわいそうだ

・困ったことである、つらい

 

愛おしい、という漢字の通り、愛の言葉かと思いがちだがかわいそうやつらいという意味も含んでいる。

 

兄貴と辰のいとおしい生活、愛で溢れている。これは漫画の中の話だが現実にも同姓愛の方はいる。

かわいそう、困ったことだねと思う人もいるだろう。愛の形ではなくしあわせの中身を見ること、その大事さをこの漫画が教えてくれた。

いとおしい、あなたはどのいとおしいという意味でこの漫画を読むか。

私は大事にしたいという気持ちでいっぱいになった。

大切な人の手をとり見つめるだけでしあわせになることがとても輝いていた。あぁ恋や愛の類いとは素晴らしいんだと改めて思う。

恋でなくても人を大切に思うことは忘れたり見失ってしまいがちなので、なかよし番外地を読んで大切なことをいつでも心の中に入れておきたい。