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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

さよならピンク

1ヶ月前、髪の毛をピンクに染めた。どうしてもピンクにしたくて、仕事にあまり影響のない範囲でピンクにした。


人生の宿題を少しずつ片付けていこうと思うのだ - ここから先は私のペースで失礼いたします

髪の毛をピンクに染めるのは33年間の人生の中で初めてのことだった。ブリーチを2回かけヘアカラーで髪の毛をピンクに。緊張しながらも完璧に仕上げてもらい、頭の中までピンクになって楽しかった。

 

いよいよお固めの仕事も再開するし、1ヶ月限定という自分との約束もあったので、今日髪の毛を黒くする液体を買った。

 

1日だけ髪を黒く染めるスプレーなどもあり、とても悩んだ。せっかく染めたピンクの髪の毛をまた黒くするのが惜しくて惜しくて仕方ない。それほどに気に入っていたが、自分との約束が守れなくなるほど惰性化してしまったらいけないと思い言い聞かせたのだ。

 

家に帰り、鏡を見る。紛れもなくピンクい髪の毛がいとおしくてたまらない。

このピンクにしてから髪の毛は多少痛んだが、鏡で髪の毛を見るのが嬉しかった。

 

子どもの頃の特別な日用のベルトがついたエナメルのシューズをはくときのような、新しいワンピースを下ろすときのような、そんなときめきと嬉しさがあった。

 

髪の毛を触りヘアアレンジをする。会わせ鏡をして絶妙な加減でピンクが出てくるのが楽しい。ピンクが褪せてきたらまた色を足しながらこの1ヶ月ピンクを楽しんだ。

 

自分の容姿にため息が出る日もある。二重だったらな、顔がもっと小さければな、なんでこんなに貧乳なのか、挙げればキリがない。容姿で誉められるところは年々減っていく。艶のあった髪も徐々にポサポサチリチリになってきたし、白かった肌は黄ばんできた。33歳、老化をひしひしと実感している。鏡を見てかわいいと思うことは昔からなかったがピンク色の髪の毛はかわいくて仕方なかった。

 

鏡を見る楽しみ、髪の毛を結う楽しみ、手入れをする楽しみ、この1ヶ月色んな楽しみを味わうことができた。

 

何より「それがピンクにしたというやつですね。かわいい。」と言ってくださった方がいたのが嬉しかった。いつまでたっても、いくつになっても「かわいい」と言われるのはとても嬉しいんだな、と思った。

髪の毛がかわいい、ということがしっかりわかっているので「どうせお世辞でしょ」とか卑屈にならず「かわいい」を享受する貴重な体験ができた。「わーい、ありがとうございます。」と素直に喜べた。

 

街に出れば髪の毛がピンクや青、緑の人もいて楽しんでるな、と微笑ましく見られた。ちょっと変わってるなとは思うけど、自分のやりたいことや好きなスタイルと真正面から向き合ってやっているのでかっこいいなと思う。

 

やりたいことをやった、髪の毛をピンクにするという挑戦は楽しさの余韻を残し黒く塗りつぶされた。

 

ちゃんと自分との約束を守ったことも立派、と誉めてピンクの髪の毛とお別れする。またいつか社会的に問題がなければ髪の毛をピンクにしたいと思う。

白髪を紫に染めるタイプのおばあさんになるだろう。そんな日が来るのが待ち遠しい。

 

職場でピンクの髪の毛に気づいていながらもスルーしてくれた管理職の方、すんませーん。ありがとうございました。明日からちゃんとします。

 

かわいいと言ってくれた方、ありがとうございました。すごい嬉しかったですし、生きる糧となりました。ありがとうキャンペーンで飴をあげたい。

 

そして、友人K江、この人にしかこんなバカげた挑戦を頼めなかったと思う。いい歳して、とかそんなこと言わずに髪の毛と向き合ってくれたおかげでこんなに楽しい思いをすることができた。ありがとうございました。キャラメルを10年分あげたい。

 

やってみたいことはやってみるに限るが大人なので自己責任だったり約束だったりの制約は必要だと思う。

 

今度はエメラルドグリーンか藤色にしたい、という考えを秘かに胸に抱いて。さよならピンク。