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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

私の役目は終わった

久しぶりに友人K藤とご飯に行った。

この友人は専門学校からの友人でもう10年以上の付き合いになる。とてもおっちょこちょいでまっすぐでいつまでも少女のようなかわいらしい人だ。 ねねのクセのある人格にもおおらかに対応し、ねねが弱れば助けてくれる人である。

 

そんな彼女の誕生日祝いをまだしていなかったのでプレゼントをもって待ち合わせ場所に行った。プレゼントは昨日とても悩みながら選んだ。女も34歳となると大抵のほしいものは持っていて、というか自分で手に入れることの喜びを知っているので人から貰うものに執着はない。そんなに具体的にほしいものがない、という難しさがある。

 

プレゼントは自分では買わないけどあると嬉しいものとして、質のいいヘアケア用品とか、入浴剤などの消耗品が無難だと思っている。記念に形に残るもの、といってもライフスタイルが変わってきているのでそれがいつかはいらないものとなり捨てるに捨てられない状況が待っているのでなるべくあっさりしたものがいい。

 

無難なカラーのアイシャドウ?いやいやどんな色を好むのかよくわからない。

いい匂いのするボディクリームとか?肌質にあわないと使わないしなぁ。

洗い流さないヘアトリートメント?去年あげたわ。

 

こんな感じで苦悩した。結局ルームウェアーにした。これはたまたま通りがかった下着屋のトルソーが着ていたルームウェアーがかわいすぎて一目惚れしてそれにした。

 

それだけだと味気ないので、職場の最寄り駅の前にある町の花屋でブーケを作ってもらった。青山フラワーマーケットなどのしゃれた花屋で買った方がいいのだろうが、そこの花屋の寡黙なおじちゃんはしゃれ過ぎずおうちに飾るのちょうどいい花を多分おまけして作ってくれる。ピンクと黄色とオレンジの元気が出るような素敵な花束を持って出かけた。

 

今まで彼氏がいなかった友人K藤は、去年ようやく彼氏ができて今年初めて彼氏に誕生日を祝ってもらったらしい。素敵な彼のサプライズの話をうんうん。よかったねぇ、本当に良かったねぇ。と聞いた。

 

去年まではK藤の誕生日は一緒に出掛け盛大に祝ってきたが、今年はおめでとうのラインを送り、時期をずらして一緒に夕御飯を食べに行くという味気のない誕生日祝いとなった。

 

青森に旅行に行ったり、K藤の好きな科学博物館みたいなところへ行ったり、素敵なホテルにお泊まりしたり、LADUREEのかわいいケーキを食べたり。そんな誕生日を過ごしてきた。

 

好きな人の話、仕事の話、悩んでいるイボの話、家族の話。たくさん聞いてきた。好きな人に冷たくされて落ち込めばなぐさめ、そんな男許さんと怒り、K藤さんはどれだけ素晴らしいかを語る。

励みになったかはわからないが、帰り際には婚カツ頑張るぞ~!と笑顔で手をふる。

 

K藤に彼氏ができて、そりゃ彼氏がいればいるなりの悩みはあるようだが、以前より話を聞く機会は減った。

心を許して話し合える素敵なカップルになったようでとてもうれしい。ねねが励ましていたことや声をかけてきたことを彼氏がしてくれるようになったのだと思う。それでいい。

彼氏ができない、結婚できないあせりはなくなり多分K藤も穏やかな心持ちだと思う。

 

正直同性では満たしてあげられぬ悩みはあると思う。彼氏がいない、女としての魅力がないのか、これから先も独りなのか。などなど、どうしても女同士じゃ安心感には届かないところもあると思う。

いざ入院したりとか有事の際の友達の権限は非常にもろいのだ。何にでも頼ってほしいと思う反面、悪いなと思って頼れないところがあるというのが女の友情ってもんだ。

 

そういう友達に出会ってないからそういう風に思うのかもしれない。世の友達たちはもっと頼り合っているのだろうか?

風邪のときにバナナとヨーグルトとポカリを買ってきてほしい、と気軽に頼める友人はいないが、頼まれたらどこまででも行く気ではある。

 

そんなときに彼氏がいたらさぞ心強いだろう。彼氏ならこき使ってもいいのか、ということではない。友達の一歩先に踏み込んで助け合えるような気がするのだ。(とか言いつつ具合悪いときに呼び出したことはない)

 

ずうっと前に「女には男じゃなきゃダメな日もあるのよ」と職場の先輩が言っていた。それはよくわかる気がする。そういうことなのである。

 

K藤さんの誕生日を祝いながら、「私の役目は終わった。」と思った。少しだけ寂しさもあるが、K藤さんが幸せそうなのを見ると本当によかったと思う。彼女の素晴らしいところをちゃんとわかってくれる彼氏が現れて彼女を幸せな気持ちにしてあげられる彼氏であってくれてありがとう、と思う。

まるでおばあちゃんのような気持ちだ。幸せになるんだよ、といつも優しく声をかけると恥ずかしそうにするK藤。

 

そのやりとりで何だか心が暖まる。

 

K藤の親でも祖母でもないけども、彼氏にはよろしく頼みます、と言いたい。

 

最近はこんなのばっかりで、おばあちゃんの気持ちで過ごしているのでずいぶん気楽なもんである。婚カツしているころのねねならばきっと焦っていただろう。早く彼氏見つけなきゃ、結婚しなきゃ、妬みにも近いものがあったに違いない。そんな気持ちを大切な友人にぶつけるのは辛いものがある。

 

穏やかな気持ちで友人の幸せそうな姿を見られてねね自身もよかった。それでいいんだと思う。私の役目は静かに終わった。友情が終わるわけではない。遊ぶこともやり取りすることも多少は減るけども、会えばいつだって笑える友人に変わりはない。