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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

私の見たかった世界

あるときふと気になった。歴史上戦国武将たちにしゃくれている人っていたのだろうか、と。歴史にさほど詳しくないので戦国武将たちを全員見返して顎の形状の確認はとっていないが、多分いないと思った。そしてもししゃくれていたら鎧兜は着用できたのか、顎はどうなってしまうのか、と思い詰めてしまった。その夜はあまり眠れなかった。

それなら現実で再現してみたらいい。この目で見なければ納得できない性分なので、顎に強さのあるギター芸人サボテンサトシに甲冑体験をしてもらおうと思った。

サボテンサトシ (@sabotensatoshi)さんをチェックしよう https://twitter.com/sabotensatoshi?s=09

ただ思い立ったのは8月。死ぬほど暑い日が続いていてこれで甲冑体験をさせたら死ぬことくらいは容易く予測できたので涼しくなるのをひたすら待った。

10月に入りやっと涼しくなってきたのでサボテンサトシに空いている日を聞いた。私と出かけると登山や埼玉県を巡る旅で毎回しんどい思いをしているサボテンサトシは今回もまたしんどいことが起きるのではと察して「次の英気を養うために今回は慰安旅行にしましょう」と声を大きくして言った。

「慰安旅行いいですね、そうしましょう」と言うとやっと空いている日を教えてくれたので慰安旅行という名目で川越に誘い出すことに成功した。

川越ではホワイト餃子を食べて酒を飲む、というプランを提案した。
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ホワイト餃子をかなり楽しみにしていたようで、何も知らないサボテンサトシは嬉しそうにしていた。

 

午前中は川越城を観光するという部分は『甲冑を着て』ということだけ抜いて連絡をしている。サボテンサトシの性格上甲冑は着たいと言わないだろう。言うと来ないと思われるので申し訳ないがギリギリまで黙っていた。

 

本川越駅で待ち合わせする。もうすでに金麦をキメていた。サボテンサトシとウクレレ高円寺はご機嫌でここへやってきた。これから何が起きるかも知らずに。
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本川越駅から徒歩10分ほどにある喜多院の近くの花かげという軽食屋へ向かった。

ここで事前に予約しておいた甲冑体験の着付けをするらしい。


川越鎧レンタル屋

 

何も知らないサボテンサトシは花かげの前で立ち止まり「カレーがおいしそうですね」と言った。
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ちょうどいい、あくまでも自然に罠に誘導できる。「じゃあちょっと入ってみましょう」と入った。サボテンサトシは若干戸惑いながらも後から入ってきた。よし、かかった。もう逃げられない。

 

予約していた旨伝えると甲冑体験の用意をするおじさん。ここまでの流れは完璧だった。

サボテンサトシは完全に動揺していた。人って動揺するとこういう顔をするのだな、と思った。
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慰安旅行のつもりが甲冑体験という奈落の底へ突き落とされたサボテンサトシは天を仰いだ。「僕はこういうのしない主義なんですけどね。」と唖然としていた。1つだけ言えるのは私とサボテンサトシの間に慰安旅行という概念はない。
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さすがに本人の意思を確認せず強行突破だと忍びないと思い、「サボテンが着ないなら私が着ます」と言うと「着ます…」と言った。

不穏な空気が漂うもなんとか着てくれることを決意したサボテンサトシ。
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今回のサボテンサトシの衣装である。

着替えシーンは見たらいけないと思い座って待っていたらついたての向こうから死装束みたいな格好でサボテンサトシがひょっこりと出てきた。
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これだけでめちゃくちゃ笑ってしまった。

「何?死ぬの?」と笑ってしまった。

サボテンサトシは無表情で「介錯頼みます」と言った。

 

袴をはき、徐々に整っていく支度。
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甲冑のことはよくわからないが、体を守るよううまくできている。
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鮮やかなエメラルドグリーンがとてもよく似合っていて「かっこいいかっこいい」と褒め称えるも納得していない表情だった。

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背面に甲冑をつける。かなり重いらしく「ヴッッ」と言うサボテンサトシ。レプリカの甲冑ではないので全部揃うと10~20㎏ほどあるらしい。戦国時代の武士ってどれだけ体力あったんだよ、思う。この装備で戦地を駆け巡り戦うなんてどうかしている。
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余りの重さに絶望するサボテンサトシ。

腹に短刀をくくりつけられる。「これはお守りかなんかですか?」と聞いたら「接近戦に備えてです」と教えてくれた。サボテンサトシは「これで斬ってください。介錯頼みます」とぼそりと言った。それは聞こえなかったことにする。
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首もとにも前掛けのような甲冑がつく。こんなに間近で甲冑を見たことがないので驚きの連続だった。
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さぁ、いよいよ兜の装着だ。私が見たかった顎の装備はどうなるのだろう。

 

はい、顎を見て!
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 かわい~!
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顎が紐に突っ張られて口がよれてる。
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絶望が滲む顔。
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結びがきつく、顎の皮膚突っ張ってる。
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私は思う。鎧兜には強い顎と骨格がなくてはならないと。

サボテンサトシの強い顎は紐結びが映える。むちゃくちゃかっこよくなっている。顎に強い結び目を置ける人などあまりいないだろう。俺は顎にこんなにどっしりとした強い結び目を置けるんだと言わんばかりの顎だった。弱い顎はお呼びでない。サボテンサトシは甲冑映えする顎だった。見たかった世界がここにあった。とても嬉しくなった。

 

最後にちゃんちゃんこを着せてもらい出陣する。
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どうしても、とお願いしてギター持ってもらった。
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 向かったのは川越城
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カメラを向けると100枚に1度くらいはポーズをとってくれるようになったチャーミングなサボテンサトシ。
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川越城の本丸御殿と甲冑の親和性が素晴らしかった。
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 もし戦国武将が刀を置いたら。
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もし戦国武将がギターを持ったら。
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もし戦国武将がギターを弾いたとしたら。
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世界は変わっていただろうか。
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そんなもしを考える。

 

できることなら争いはないほうがいい。小さな争いも大きな争いも。

 

そんなもしはありえなかった。繰り返された争いから平和を学ぶ。
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サボテンサトシは今日もギターを弾く。

日常を歌う。

その歌で笑う人がいる。人を笑わす人の方がどんな武将よりも素晴らしいと思うのだ。
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さあ、帰ろう。我々のもといた場所へ。
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まずは兜から外す。
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顎が!
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顎にくっきりとあとが残っている!
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板チョコの割れ目みたいに千が入っている。こで割ってくれということなのか?

 

甲冑の重さが限界をゆうに越えている。
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落武者のような佇まいでうなだれるサボテンサトシ。

 

どうやら甲冑にギターを背負ったせいで左肩が痛いらしい。
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近くにいたおっさんが寄ってきた。
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サボテンサトシにおっさんが群がる。どういう光景…?

 

散々おっさんに手を出されて「痛い痛い痛い痛い」と叫ぶサボテンサトシ。
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甲冑の前部分を外してもらい爽快感を覚えるサボテンサトシ。
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後ろ部分も外してもらい解放感を覚えるサボテンサトシ。これは本当の笑顔だ。
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着付けのおっさん曰く、この解放感を味わうために甲冑を着るとのことだ。あの滅多に笑顔を見せないサボテンサトシが笑う位なのだからすごい解放感なのだろう。
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このアームカバーかっこいいよな、と思う。

もののけ姫のアシタカみたいでかっこいいよ」と言っても伝わらなかったようだ。
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 やっと身軽になりホッとした表情を見せるサボテンサトシ。しんどくても文句も言わず甲冑体験をやりきった。この人はすごいと思う。

さぁ、刀を収めてビールを飲もう。
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 乾杯。
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あれ、あと3分で死ぬ人の顔してる…。どうやら今回もやりすぎたようだ。

いつも言っているけど改めて言わせてください。

サボテンサトシ、また振り回してしまってごめんね!

 

 

今回の甲冑体験で顎が強い人が着る甲冑はとても映えるということがわかった。見たい世界が見られて私からすれば得るものが多かった。正直エモいという言葉は甲冑を着たサボテンサトシのためにあるのではないかと思う。とても高まったこの感情をなんと呼べばいいかわからなかった。すごい、かっこいい、感動する、それだけでは足りない。ならばいっそエモい、で。エモーショナルサボテンサトシで。

ちなみに私が1番エモいと思ったのはギターを持ち立ち上がろうとするサボテンサトシだ。
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そのあとめちゃくちゃよろけていたけどそれすらエモい。
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