女には攻めたブラを買わなくてはいけないときがある。
いや、ないかもしれない。それは個人の問題なので、あってもなくてもどっちでもいい話なのだ。
ねねはどうしても攻めたブラを買わなくてはと思い立った。10月は異動もあったし、強い気持ちで挑まなければ負けてしまう気がした。そんなときに攻めたブラを着ていればなんか強くなった気がする。勝負下着とでも言おうか。それはデートやここぞのときだけではなく、己を奮い立たせる時にも必要だと思う。(というか対人用の勝負の機会はない)
ピーチ・ジョン、アンフィなど手当たり次第に下着屋を巡るも気に入る攻めたブラが見つからない。友人とご飯を食べに行ったときちょっと時間があったので「下着屋に行きたい。攻めたブラを買わなきゃいけないんだ!」と語ったら「よくわからない。何があったの?」と逆に心配されてしまった。
この攻めたブラを買わなきゃいけない、という概念がわかる人はどれくらいいるだろう。
フンドシを締め直す、みたいな考えに近い。
万が一職場のおばちゃんに嫌みを言われたとしても「あんたより攻めたブラしてるんだからごちゃごちゃ言うな、ラクダ色ババァ!」とマウントをとり何を言われても怯む気がしない。それがいいか悪いかは別として自分のなかで強みを持っておくことは必要だと思う。
なかなか下着屋で攻めたブラが見つからなかったのでネット通販で探すことにした。
通販はあまり好きではない。現物の素材や質感、大きさをちゃんと見て感じて買いたいから。通販で買った服の半分以上はイケてない。気に入って何年も着る服はたいてい自分で手にとって見て感じて選んだものだ。
だけども今回ばかりは攻めたブラを買うために通販をくまなく探す。
ちょうどDホリックという韓国の通販サイトに攻めたブラを見つけた。
ダブルストラップレースポイントブラ&ショーツSET・全3色|レディースファッション通販 DHOLICディーホリック [ファストファッション 水着 ワンピース]
このダブルストラップが気に入ったので買うことにした。かわいい。レースの部分がバストトップ(乳首)にかかるのでは、と不安も感じたが、モデル着用写真が何も透けていなかったので大丈夫かと思って買った。
先日届いたので早速着てみた。
うん、ダブルストラップめちゃめちゃかわいい、かわいくて攻めてる、だけどもバストトップ見えてる!レースから透けてる!
衝撃だった。膝から崩れ落ちる思いだった。
乳首透けてる
これはあかん。
職場に行って制服に着替える。ロッカールームは仕切りなどなくとなりのおばちゃんの着替えは丸見え、イコールねねの着替えも丸見え。
パンツが見えても皆そんなに気にしていない。というか自分の着替えで精いっぱいだから。
だけど、バストトップが透けていたら…
隣のロッカーの70歳のおばちゃんが腰を抜かすかもしれない。
「ね、ねねさん!はぁ~ありゃま~」と転倒して骨折するかもしれない。
逆となりのとなりのヘルニア持ちのおばちゃんは「ねねちゃん!わぁ~~あだだだだ」と腰をいわせてしまうかもしれない。
背後のロッカーのおばちゃんは「ねねさん、乳首透けてるっっぶっは!あはははは!」と窒息するまで笑いそうだ。
ねねのバストトップが透けているせいで周りのおばちゃんたちがバッタバッタと倒されていく未来が見える。これゃいかん。
レース部分にバストトップがくるのでこの上に何か着たとしても乳首の浮いたおっさんのTシャツみたいになりかねない。
これはどうやって着るのが正しいのか。
テーピングとかすればいいのか?正義とは?正解とは?勝利とは?
全てを見失ってしまった。攻めたブラに負けてしまったのだ、ねね本人が。
とりあえずは攻めたブラを洗濯してみた。フェルトとか縫い付ければどうにかなるだろうか。もう何もわからない。
攻めたブラを手に入れたという満足感と、攻めたブラを着こなせない敗北感を味わっている。とりあえず外出しないときに着てみようか。うん、それがいい。
多分もう攻めたブラを買わなきゃいけない、とは言わないだろう。戒めとして返品しないで手元に置いておく。
バストトップを見せたい貴女にはオススメのブラだ。ぜひ購入を検討してみてほしい。
バストトップを見せたくない貴女は普通に下着屋で見て買った方がいい。
攻めたブラを買ったねねから言えるのは以上です。
あっ。やめて!あいつバストトップ見えるブラ持ってんだ!って石投げるのやめてっ!痛い痛い!