福島県には不思議な沼がある。沼、と聞くとどんよりとして泥っぽくて沈んだら出てこられなさそうなイメージがある。池や湖の見晴らしがよく美しく広いイメージと反したものである。
ウィキペディアで調べてみると
沼(ぬま、英語:marsh)とは湿地の一種。池や湖との区別は明確ではないが、一般に水深 5 m 以内の水域であり、イネ科やシダ、ヨシ、ガマ、スゲなどの草に占められ、透明度が低く、規模があまり大きくないものを指す。
とのこと。違いを知り納得する。
そんな沼でも美しい沼、それが五色沼だ。なんでもエメラルドグリーン、コバルトブルー、ターコイズブルー、エメラルドブルー、パステルブルーと色が違う沼があるそうなのだ。五色の沼というよりは色んな種類の沼があるという意味で、五目そばみたいなネーミング。
実は25年前にも訪れている。小学生のねねには五色の沼の良さをあまり理解できず、「つまらない、早く帰ろう」と文句を言った気がする。沼を見て感動した記憶がない。
ちょうど先日宿泊した相模屋旅館から車で行ける距離だったので記憶の答え合わせをしに再び五色沼へ行くことにした。
五色沼自然探勝路は、全長約3.6kmで片道約1時間10分から~1時間30分程度。比較的平坦なハイキングコースです。
探勝路の入口は2箇所あり、それぞれに駐車場と路線バス停留所があります。車でお越しの際は、一方の駐車場に停め、片道を歩き、路線バスで戻ることもできます
(バス本数が限られるので、時刻表はあらかじめ確認しておくことをおすすめします)
五色沼は散在しておりバイキングコースを徒歩で散策する。
ビジターセンターからハイキングコースへ。
迷わないように標識が出ているので歩きやすい。
お土産屋さんを通りすぎる。
ハイキングコースの途中にはトイレがないので駐車場のトイレで済ませていくことをおすすめする。
これが毘沙門沼
おお!これが沼?といった大きさと鮮やかさ。
ちょうど(10月20日現在)紅葉が始まっており沼の青さと映える。
実は五色沼は1日目曇りだったので2日目も行っている。全体は曇りの日の五色沼だが一部晴れの日の五色沼も写真があるので見比べてみよう。
青さが全然違うし遠方の山の景色が見える!
風が強かったので沼面が波立って光が反射してキラキラとまぶしい。毘沙門沼はレンタルボートがあるのでボートに乗るのも楽しいと思う。
沼に近づきたいと思うのだが、すすきなどの植物に遮られる。
それも沼の個性。
鏡面沼っぽくなっている。
黄色とエメラルドグリーンの色合いがすごくいい。
毘沙門沼には鯉がいる。色のついた鯉なので多分観賞用に放ったのかもしれない。
沼のほとりを写真を撮りながら歩く。
植物の多さに驚く。
あまりにも青いので「青い、きれい」としか言葉が出てこない。
遠くを見て日光浴をして緑と青のなかを歩くのは心地がいい。
ハイキングコースはアップダウンの少ないなだらかな場所なので歩きやすい。
しばらく歩くと次の沼が見えてくる。
今度は驚くほどに緑だった。翡翠のようだ。
「うわーー今度は緑だ!」と言ってしまった。
流れている水は透明なのに沼に注がれるとこんな色になる不思議。
色の違いを確認。なんでこうなのかはもはや目の前の美しさに圧倒されて考えもしなかった。
曇りの日と比べると明るさは違うが色の違いはしっかりでている。
晴れの日の写真は引き返してしまったのでここまでとなる。以下は曇りの日の写真で。
先を歩くとさらに緑が変化する。
若草色というのかなんというか黄緑。さっきまで青の沼を見ていたので30分ほど歩いただけでこんなに色の違いがあることに感動する。
1番分かりやすい表現はバスクリンの色、もしくはバカ殿様の城の外にある池の色だ。
ザバザバ流れているところは透明。
ここはるり沼。
歩いているとこのように木々の隙間から沼が見えてくる。次はどんな沼の色なのだろうとわくわくするのだ。
ささやかな展望台(階段が5段くらいしかない)から覗き込むとオパールのように沼色がまだらなのである。
写真だと分かりにくいが全体的な青さと一部茶色いところがあるのである。
先を進めると新橋色というか今春色というような鮮やかな青に出会う。色の名前を調べるとこの色は明治時代にハイカラな色として流行ったらしい。わかる気がする。こんな色のワンピースがあったら買ってしまう。
歩く度に新しい色に出会う。木々の隙間から沼が見えたときの感動がすごい。
こんな鮮やかさ、まるで沖縄の海。
ハイキングコースも色づき始めて美しかった。
1時間半ほど歩いて五色沼ハイキングコースは終了した。
反対の駐車場に出たためバスに乗って戻る。
小学生の頃にはわからなかった美しさを見つけることができた。ここに来た記憶は曖昧で「どの沼も一緒」だと思っていたが色が全然違った。色んな緑や青があってそれぞれ美しい事に気づいた。この25年で空、木々、沼、自然のすごみを感じることができるようになったのだと思う。ここに違う感性を持ってまた来られてよかった。
新しい場所、見知らぬ土地へ行くのも好きだが、時を経てまた行くのもおもしろい。またいつか五色沼へは行きたいと思う。