ここから先は私のペースで失礼いたします

さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

欲しかったけど手に入らなかった宝物

恋というものはいつだってふいにやってくる。なぜその人を好きになったのか、きっかけをひとつひとつ思い出すのは楽しい。

水溜まりにはまって泥々の私の靴を洗ってくれたから。

薄紫色の素敵なVネックのカットソーを着ていたから。

変な筆箱を持っていたから。

特別なあだ名で呼んでくれたから。

けつをフォークで刺されたことがあるから。

坊主頭だったから。

好きと言ってくれたから。

 

たくさんある好きになったきっかけ。人を好きになるのは簡単だけど好いてもらうのも好きで居続けるのも難しい。

手に入らなかった好きな人たちがたくさんいるけども、手に入らなくてよかったと思っている。手に入ってしまったら好きな人がいることが当たり前になって図々しく振る舞っていなくなって後の祭りになりそうだから。

手に入れようともがいてもがいてそれでも手に入らなくていつか諦める。好きなとこはいつまでも色褪せない宝物みたいな人でいててくれる。飽きっぽくて移り気でわがままで気分屋の私には手に入らないものが多い方がいい。

 

好きな人にかわいいねと褒められた服は捨てられない。若すぎて着られなくなっても大切にとっておく。不思議なもので宝物のような人に褒められた服も宝物になってしまう。

 

春の風が吹くと自転車に乗って付き合いたてのあの人と並んで帰った記憶がよみがえる。あぁ、春の風だ、と思う。この風は好き。好きな季節がやってくる。春の風も恋の記憶もふんわりと私の体を通り抜ける。

今年は何を手に入れられるだろう。笑えるほど何も手に入らなくても宝物みたいな思い出があるから大丈夫。明日もやわらかな春の風に吹かれたらきっと大丈夫。


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