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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

世界でいちばんいい男

世の中にはいい男というのがいて彼らはモテる。いい男の基準は人それぞれだ。容姿だけで判断されるものではない。所作や性格なども含まれる。

 

その男は間違いなくいい男だった、いや、今でもきっといい男だと思う。連絡を取っていないのでわからないが。

 

ひょんなことでその男と出会った。高校の大先輩で美容師で某有名サロンに勤めていておしゃれでイケメン。こんな男に惚れたら地獄だわなと思った。どこからどう見てもいい男に近付くのは蟻地獄に落ちるようなもんで、振り向いてもらえるほどの器量を持ち合わせその男に群がる女子の屍を越えていかねばならない。そんな器量も強さもない。惚れ惚れするようないい男には惚れないのがいちばんである。

 

絶対惚れない、とかたく心に誓っていたので惚れることはなかったが、惚れ惚れするようないい男だった。酒を飲むとだめ人間になるのも愛嬌。見てくれの良さというのは全てを良く見せる。

 

ここまでは只のいい男なのだが、この男の本質はそこではない。私がこいつはいい男と言う由縁は「小豆というのはな、あんなん農家が片手間に育てるもんだ」と農業への理解があったからである。

 

寒い日に飲みに行き「お汁粉飲みたい」という話になった。「小豆から育てましょうよ」と軽口を叩いたら上記の発言があった。小豆専業農家もいるかもしれないが一般的には稲作をしながら片手間に小豆や豆類、トマトやなすなどを育てる。我が一族の祖母宅もそういう農家だった。それを聞いたときにこいつできるな、と感じた。

身体が動かなくなって田んぼに出られないおじいちゃんを軽トラに乗せ田んぼの様子を見せてあげたりとめちゃくちゃ優しいエピソードが出てくる出てくる。

これはいい男認定しなくてはならない。おしゃれでスカしてるだけがいい男ではない。時に土に触れ自然を感じる。大地のエネルギーを知っている男はかっこいい。

今まで出会ってきた男のなかで本質まで兼ね備えたいい男というのは間違いなくこの男だろう。機会があればいつかもう一度会って世界でいちばんいい男だね、と褒め称えたい。そろそろ田植えの季節がやってくる。今年の豊作をひっそりと願おうと思う。