ここから先は私のペースで失礼いたします

さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

褒めるのがうまいね

やたら女を褒めるのがうまい男がいる。若い人よりちょっと歳を重ねた40代前後の人に多い印象がある。

 

バブル期にたくさん遊んできたような、今の言葉で言えばパリピのようでパリピよりもっとブイブイ言わせていたような人たちだろう。

 

私生活で男性と関わることがない。あっても接骨院のおにいちゃんくらいだ。齢も34となれば年下の柔道整復師に担当してもらうこともある。そんなときは「へへっ、すいやせんね、こんなおばはんの体押させてしまってね。ほんとすいやせん」と思って時が過ぎるのを待つ。

 

そんな生活をしているので男性に褒められることなどないのだが、今日仕事中に「おきれいですね」と言われた。ボイスレコーダー仕込んでおけば良かった。「おきれいですね」と言われて腰を抜かしそうになった。

お世辞でもいくつになっても「おきれいですね」と言われるのはうれしい。お世辞とわかっていても「へへっ。あっしがですか?旦那はんよー言いますわ。へへっ」と情けない笑いを返すくらいしかできない。

採血のときに言われたので「へへっ、ありがてぇお言葉、うれしいんでね、おまけにもう1本採血サービスしまっせ?」みたいな流れになってしまうのを業務スマイルで抑え込んだ。社会性というのは多少身に付いているらしい。ここでもう1本採血をお見舞したら私は社会的に抹消される。おまんま食えんわ~と泣いてしまう。

まぁそんな下らないことはおいといて。

褒められるのはなんて素晴らしいことなのだろう。大したことでなくてもうれしくて小躍りしてスキップしながら「うふふ、いいことがあったのよ~」と街を駆け抜け鳩に話しかけたくなる。言葉の力というのは無限大だ。

 

やたら女を褒めるのがうまい男は息を吸って吐くように自然に言葉が出てくる。「きれいだね」は常套句だとしてもよほどひねくれていなければ言われて嬉しいものだと思う。

 

自己肯定感というのは他人の言葉によって満たされるのであればどんどん褒め合うべきだろう。私はあの男のように息を吸って吐くように誰かを褒めているだろうか。褒めていないだろう。

 

大きなことはできない。誰かを幸せにするような力も何もない。万人の心を震わすような歌声や万人の心を穏やかにするような絵を描ければどんなにいいかと思う。できれば欲しかった才能のことは考えても手に入らないので身の丈に合った小さな幸せを誰かに。小さなことをコツコツ褒めてみようと思う。