レトロなラブホ巡りを始めて1年半がたつ。いつか行ってみたいラブホは星の数ほどあってよなよなラブホのサイトを開いては「はぁ、素敵」とうっとりしているのである。
その中でも特にであってみたいのが貝殻ベッド、貝殻バスタブである。貝殻の形をしたベッドやバスタブのことなのだがなかなかお目にかからない。川崎にあった迎賓館という伝説のラブホに貝殻バスタブがあったそうだが今ではもう閉業、解体されているそうだ。絶滅危惧種のようなものだ。それならば1分1秒でも早く会いに行かなくちゃ。
取手の方に貝殻バスタブのあるラブホがあるらしい。そう聞きつけて私は電車に飛び乗った。
最寄り駅が取手だと思っていたがいざGoogleマップを開くと駅から徒歩50分とある。常総線ゆめみ野駅が最寄り駅のようでローカル線に乗る。静かな郊外の街並みにひょいと現れるホテルルーエ。
なんだか暗くて営業しているかわからない。ちょっと不安になった。
歩いて近づくと「空」のライトが光っており安心した。ガレージタイプのホテルである。
説明のとおり青が点灯の部屋は空いているとのことで緑のドアをあけてずいずい2階へ上がる。階段が急なのも昭和ラブホの醍醐味。
(退室時に写真を撮ったため赤ランプが点灯しています)
木製の扉の先には
昭和レトロがぎゅっと詰まっている。
ほらね。
夢みたいでしょう?
ここに来るのは運命だったのかもしれない、そう思えるほど心が震える。
シーツ、枕カバーはまっピンク。この部屋との調和が素晴らしくて思わず笑ってしまう。
昭和名物壁の風景画(?)
春のひたち海浜公園のチューリップくらい咲き乱れている。
ハンガーラック。
扇風機。
どことなく実家のような安心感。古いラブホあるある、扇風機がおいてある。エアコンだけじゃ涼めない、猛烈に風を感じたい情事もあるでしょうから、ね。
エアコンはもちろんあります。
洗面所はこんな感じ。アメニティも揃えてあります。
足元のマットが完全にお母さんチョイス。
懐かしくて暖かいな…。そういえばフロントから電話がかかってきたときご婦人の声だったからあの人が用意してくれたのかもな。
室内の自販機。シャトーすがもにもこんなのがあったな。
この透明のコップケース、栓抜き、まだまだ現役です。
テーブルの上にはマッチと灰皿。いい。
ゴミ箱には手書きのホテル・ルーエ。ホテルの人がひとつひとつ書いたと思うと感慨深い。ものを大切にする人たちなのだろう。全部に優しさが込められている部屋だ。
シャンデリアは光の加減ができる。
恋人たちを優しく照らす飴色が心地いい。
昼間に差し込む光を楽しむのもいい。
窓のフレームもまた美しいのだ。
ベッドは東京エルシーベッドというらしい。
ベッドヘッドのボタンはとりあえず全部いじってみる。それが私のやり方。
さて入り口の横になぞの小部屋があることについて触れましょうか。
なんとサウナです。
びっくりしたでしょう?
「見たことないものがみたいよ!」という衝動にかられた翌日にこれを見て「見たことないものを見ちゃったよ!」と大興奮しました。
このスイッチとか!!!すごい!
さて、この空間が完璧すぎると言ってもいいほど浴室が満点の良さでした。ご覧下さい。ホテルルーて210号室の浴室です。
すみませんこのホテルの建築士を呼んでくれませんか!(レストランでシェフを呼んでくれの言い方で)
国民栄誉賞もらった方がいいと思います。
タイルも
ライトも
調和がとれてこんな小さな空間に昭和レトロを詰め込んで令和までやってきてくれてありがとう。
ちなみにトイレは最新きれい。
帰るときはフロントに電話をするとエアシューターがやってきます。
初めて使います。
お金を入れてボタンを押すとシュゴーーとどっかへ吸い込まれていくシステム。おもしろい。エアシューターだけのためにまた来る価値があります。
さて帰りましょうか。
文化遺産だよな、ここ。
そう思いながら階段を下りていく。
世の中は見たことないもので溢れているな。
だから楽しい。
見たことないものを見たくなったらまたここに来よう。全部屋制覇できたらいいな、そんな夢をみるのもいい。
2020年9月訪問