そこはシルエットロマンスという昭和の歌謡曲がよく似合う場所だった。
ホテル 里ノ沢(サトノサワ) : 青森県・十和田市 - ハッピー・ホテル
青い空によく映える看板である。
赤い屋根のガレージタイプのラブホテル。
場末のモーテルと言ってもいいのかもしれない。ドラマや映画のワンシーンのような静けさだ。
扉を開けるとどこか懐かしい雰囲気。
ただいまがよく似合う玄関。
いつもこの部屋への扉を開けるときはワクワクする。
はっと息を飲んだのは多分このカーテンのせい。
部屋には赤い絨毯と白いレースのカーテン、ベッド。
もちろんベッド横の鏡もばっちり。
お部屋はほどよく広い。
ガラスの灰皿、昭和ラブホの神器。
お茶セットの戸棚が懐かしさを感じさせる。
このタイプの大きめの冷蔵庫はラブホにはなかなかないと思う。
タオルとガウンがワゴンにあると病院みたいでいい。こういうの好き。
洗面所のアメニティ。
ふたりで暮らすってこういう感じなんだろうなという妄想ができる。
お手洗い。きれいにしてある。
朝陽のさす浴室。
寝不足の気だるい朝にここでシャワーを浴びたらどんなにいいだろう。
言葉なんかいらないけど一緒にお風呂に入るくらいの愛があればいい。
浴室と部屋の境のガラス窓はカーテンがあるけど
あけてぼんやり外からの光を眺めていたい。
この部屋はシルエットを楽しむ部屋なのかもしれない。
外の光も部屋の照明も
影を作り出すためのものかもしれない。
全部しっかり見えないのがちょうどいい。見えないくらいがちょうどいい。
私はこのカーテンに恋心を盗まれた。重なりあうシルエット。
もっとロマンスときめきを止めないでというならばそのレースのカーテンをしめればいい。あまく仕掛けて激しく感じさせて。
2020年10月訪問