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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

明日はとりのささみを3本買って帰ろうか

  白くてかわいい猫、ゆんゆん丸が我が家に来て1ヶ月となる。憧れの猫との生活は第2の人生を踏み出したかのように輝かしい。毎日めめ(妹)と「ゆんゆん丸はかわいいね」「幸せだね」と話している。つまりはすっかり猫に夢中ということだ。

 

 猫についてまだまだわからないことばかりなので不安になることもたくさんあるし、猫にとって最良の環境を作れているかは不明である。言葉が通用しないコミュニケーションの難しさをあらためて思い知るのである。お腹空いたかな?暑くないかな?どこか調子悪くないかな?心配事はあるがお互い無事1ヶ月乗り切ったのでこの調子で頑張っていければ、と思う。

 

 

 たまに鶏肉をあげている。

食事はキャットフードだけで事足りるのだが、おばちゃん魂なのだろうか、色んなものをたっぷり食べさせてあげたいという気持ちがある。食べさせちゃいけないものもあるし、太らせてしまえば病気のリスクもあるので健康第一だから補食はちょっとだけという配慮はしている。

 

 自分達が食べる鶏肉を少し切って茹でて冷まして食事用の皿にのせる。はじめは「これ私のですか?なんですか?食べていいのですか?」と警戒したが食べていいよとすすめるとすごい勢いで食べ始めた。いつもあげているキャットフードの倍以上の食い付き。そんなにおいしかったのか…と驚いてしまった。

 

 それからは鶏肉がわかるのか買い物袋の中に鶏肉があればすんすん匂いを嗅いだりパックをかじったりやんちゃをするようになった。鶏肉を買ったら気を付けないとねと注意している。

 

 鶏のささみはあまり食べないのだが、ゆんゆん丸のために買うようになった。3本入りのパックをひとつ。ひとつはゆんゆん丸、残りのふたつは我々が食べる。茹でている間ゆんゆん丸が狙ってくる。待っててねと猫との攻防戦を繰り広げながら1番小さいささみをほぐして提供する。我々もキッチンでささみをつまみ食い。残しておくと狙われるから。

 

3人で同じものを食べるのっていいなぁと思う。

20代の頃は誰かと結婚して家庭を築いている未来を信じて疑わなかった。

30代にして誰かと結婚するのは難しいことだと気付いた。

35歳で誰かと暮らすことは難しく私は一生独身で夕飯はひとりで食べるもんだと思うことにした。

36歳、20代の頃に憧れた未来が訪れないことも、一緒に暮らしたいと思った人と暮らせなかったこともも全部全部許せた。戻りたいあの頃というものがなくなった。ゆんゆん丸がいる今がいいから過去が対して重要でなくなったのだ。

 

 これはやはり第2の人生というにふさわしいと思う転機だったと思う。うまくいかなったこととか、許せないこととか、たくさんの人生の負の遺産を「はいはい、そういうこともありましたね、まぁ多分私だから乗り越えてこられたんだと思います。よく頑張りました。」と認めて、今は明日ゆんゆん丸のごはん何にしようかなとかそういうことだけ考えている。心のとげとげしたところを猫がすっかり丸く収めてくれたのだ。ありがたいことである。

 

さて、明日はささみを3本買って帰ろうか。そう聞いてみると聞き耳を立ててプィと横を向いてしまった。まぁ買って帰れば食べるだろう。大好きだもんね。

いつも心を丸くしてくれてありがとうの気持ちは猫に伝わるかわからないけど、ゆんゆん丸が来てくれたことをうれしく思わない日はないのである。


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猫が来て1ヶ月

ゆんゆん丸がさかもツインハウスに来て1ヶ月。

とても偉い猫で飼っていて困惑するようなトラブルはなく猫飼い初心者のさかもツインも毎日楽しく一緒に暮らしています。

 

歯磨き、爪切り、ブラッシング、ちょっと嫌なことも暴れないでスルーンと逃げるくらいで大怪我無しでなんとかやれてます。

料理中にキッチンに来て食材に毛が!熱いコンロに来て危ないとハラハラもしますが大事故にも繋がらずホッとしてるところです。
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膝の上に乗って抱っこと甘えることは無くても足の間でまったりしたりねねのベッドで寝ていたりするので向こうもこちらの事を不審者ではなく同居者と認定しているのでしょう。

 

よく遊んでよく食べて元気な猫。
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生活が変わって大変だったね。1ヶ月ありがとう。これからもよろしくね。

2回目のワクチンを打ってもらった

ついにワクチン接種が完了した。ありがたい限りである。運良く職場の先発ワクチン接種部隊に選ばれ後発のおばちゃんたちに「えらい大変ですよ」と言いまわり、後発部隊がバタバタ休むなか激動の勤務をしたりとこのワクチン接種には本当に振り回されて大変な1ヶ月であった。

 

1回目のワクチン接種後の様子はこちら


ワクチンを打ってもらった - ここから先は私のペースで失礼いたします

 

 

2回目の接種のために勤務変更をして休日なのに職場近くの病院に行くのは気が重たかった。休みが丸々つぶれるしこれで具合悪くなっても有給で休まなきゃいけない。ここまで感染拡大して個人の行動の自由もだいぶ制限されたのにワクチン打つために休みを取り有給まで持っていかれるのは納得できない。ワクチン休暇を作れと言いたい。その貴重な有給な、本当なら年老いた親をどこか温泉旅行に連れていってあげることができたものなんだぜ。庶民の細やかな幸せが今この瞬間も泡のように消えていく。悲しいねぇ。

 

 

ワクチン接種前の問診も滞りなく終わり接種へ。

前回はインスリンの注射器だった気もするが(注射をする緊張でちゃんと見なかった)今回は23ゲージの水色の針だった。

なので前回よりも針が刺さる痛みはあり、薬液もずっしり重く感じた。でも我慢できるレベル。あ、痛いかな~くらいのものだ。

 

 

○ワクチン接種5時間

なんとなく腕が重く痛むかな、くらい。さっとシャワーを浴びて寝る。

 

○ワクチン接種17時間

翌朝目覚めると身体が重い。節々が痛い。体温は38.3℃。

「へぇ、やるじゃん」

と呟く。

普通の風邪のときの発熱と違い、咳や鼻水がないだけだいぶマシではある。息苦しさはない。前回悩まされた頭痛もない。熱が出るだろうという想定のもと寝ていたからそこまでキツくはなかった。ホットミルクを甘くして飲みクッキーを食べて寝ることにした。

前回のトップの熱をいきなり越えてきたのでこのままどこまでいくかな、という感じではある。

寒気の感じを見ると38℃後半はいきそうだ。

徐々に身体の節々の痛みが強くなる。カロナールを飲んだ(本当は熱の様子を見たいので解熱剤をなるべく飲まないでいたかったが、痛くて眠れないので飲んだ)

 

○ワクチン接種23時間

解熱剤を飲んで眠りふと目覚めると…f:id:sakamotwin:20210523211927j:image

おいおい、やりすぎじゃね?

39.0℃です。

さっき解熱剤飲んだの効いてないね、いや、寝ている間に薬効が切れたのか…。6時間経過してるし。

節々が痛い、というか全身の筋肉が軋むように痛い。寒い。おしっこがいたい(おしっこは痛くないのだが、排尿するのも響くように痛むのでおしっこがいたいという表現とさせていただく、トイレで少し唸っていた)

鼠径のリンパ節辺りも痛むし、これが39℃の本気かと思い知らされた。39℃出たという人の話も聞いていたので想定内ということにしておきたいがとにかく全身が痛い。頭痛はないのは救いか。仕方ないので今度は普段飲んでいるバファリンを飲んだ。

食欲はそんなにないが作り置きしていたみそ汁を飲みまた寝る。

 

○ワクチン接種26時間

まだ39℃。寒気は引いてきたのでここらが山場か。f:id:sakamotwin:20210523212658j:image

心配なのか猫が枕元でずっと寝ている。ありがたい。

 

○ワクチン接種30時間

寝汗をかいてやっと36℃台へ。身体はだるいが少し動けるようになりごはんと焼いた鶏肉を食べる。シャワーを浴びて再び寝る。

 

 

○ワクチン接種35時間

38.3℃。

どおりで節々が痛いわけだぜ。身体の痛みで眠れずカロナール服用。ホットカルピスを飲む(原液1:お湯1を飲む、これくらいがっつり甘いものがするする飲めていい)

 

 

○ワクチン接種40時間

37.1℃。もうやんなっちゃったな。仕事休みました。節々の痛みはだいぶ和らぐも接種部位がやや腫れている。一瞬膿んだかと思うようなパツパツ痛みが出たがしばらくすると収まる。腕は上がらないが前回よりはましな気がする(解熱剤の鎮痛作用?)

 

炊飯器でお粥をたく。いつでもほかほかのお粥が食べられるのでこれはいいと食べた。ワカメごはんのもとをかけて食べるおかゆがおいしかった。

 

食後また寝ていたら猫のごはんをあげるのを忘れてしまいあわててあげる。

 

 

○接種48時間

すっかり解熱。油断して湯船に浸かってごろごろしていたらまた寒気あり37.5℃まで発熱。ベッドで寝る。

 

○接種55時間

すっかり解熱。

身体もまぁなんとか動く。首肩の緊張が強いので簡単にストレッチ。節々の痛みなし。

接種部位は腫れているが痛みから痒みに変わった。

 

 

そんな感じで接種後2日間はベッド生活、3日目もほぼゴロゴロしていたので体力が落ちている。35過ぎると寝込んだあとの体力リカバリーが大変だ。本を読んだりする気力もないしTwitterばかりしていた。ふぅ、もうこりごりだぜ。

これでワクチン接種完了となりほっとしている部分もある。まだ後発部隊の2回目接種が終わっていないのでその頃まためちゃくちゃな勤務になるだろう。やれやれだぜ、というのが1番の感想である。

猫のいる生活へ

猫のいる生活が2週間目に突入した。

保護猫カフェからトライアル期間を経て正式譲渡となり、ゆんゆん丸も無事さかも一族のメンバーとなったのである。

 

初めて飼う猫なのて毎日が「?」ていっぱいだ。

たくさん寝てれば「起きてこないけど具合悪いのかな」だし、高いところからジャンプで下りてくれば「足腰大丈夫かな」だし、ごはんを食べなければ「どのこはんなら食べてくれるか」とよさそうなキャットフードを探し買ってくるし、嫌われたくないから目やにはとりたくないし、歯磨きだって恐る恐るだ。

 

心配で構いすぎるねねと、猫には猫の時間も必要とさばさばしているめめで軽く喧嘩をすることもあった。毎日おっかなびっくり、それは猫だってそうみたいで物音がすればびくっとなるし、狭いところに引きこもって出てこなくなることもしばしばある。

それでも2週間もすればお互い少しは慣れてきた。

 

毎日帰ってくればかわいいかわいいゆんゆん丸がいる。毎日鼻唄を歌いゆんゆん丸がいかにかわいいか言葉にして聞かせる。家の中を走り回るゆんゆん丸を見て声を出して笑っている。独り暮らしのときにこんな愉快な日はなかった。世界は猫を中心にすっかり変わった。

ひとりではきっとこんなに幸せだと思わなかったろう。だから私は旅に出たり好きな服を着たりした。がむしゃらに幸せを探し求めていた。

寂しかったからだと思う。その寂しさを認めたくはなかったしひとりでなんでもできると信じていたけどそれは違ったのかもしれない。良く今までひとりで戦ってきたなと自分の魂を労った。


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帰るとき、「ゆんゆん丸は元気にしているだろうか、早く会いたい」と毎日思う。帰ってくれば私のことなど気にせず猫ちゃんハウスでぼんやり寝ている。寝起きの顔は目がしょぼしょぼしていておもしろい。


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手がよくわからないことになっているのもおもしろい。何をやってもおもしろい。猫を撫でながら今ある幸せを噛み締めた。

ワクチンを打ってもらった

先日コロナワクチンを打ってもらいやはり副反応が出たので経過をまとめてみる。

 

【接種当日】

体調もよく食事もばっちり摂り職場のスタッフ3人で病院へ。(勤務先の病院では接種せず他の病院で接種)

問診票を確認し医師の診察後、左肩への筋肉注射。接種時は全然痛くない。

15分待機しアレルギー症状や異変がないか観察。看護師さんに大丈夫かと聞かれ大丈夫ですと答えて帰宅。

無事終わったことにほっとして帰宅後一旦眠る。

 

・接種後5時間

左肩がちょっと痛い気もするが自制内の痛み。

 

【接種翌日】

朝はすんなり起床。

左肩は痛い。腕が上がらない。身体が「左腕はもう動かさない方がいいで~す」みたいになって腕を上げようとしなくなる。うっかり上げようとすると「あ、痛かったんだわ」となるくらい。自制内。接種部位が腫れや熱をもつことなし。

 

・接種後20時間 

頭痛

昼食の支度をする頃からずきずきと頭痛。天気が悪かったので気圧の頭痛かなと思い様子を見る。

徐々に頭痛が増す。昼食はあまり食べられずお菓子を食べる。

 

・接種後23時間

頭痛が増し吐き気もあり。偏頭痛の年に数回あるかないかレベルの痛み。経験したことある痛みだが自制不可。いつも飲んでいる頭痛薬を飲み横になる。痛みで眠れずロキソニンを追加するか悩む。1時間ほどで浅い眠りへ。

 

・接種後26時間

頭痛薬が効き動けるくらいに回復。まだ頭痛は残る。左下になる横向きは腕の痛みでできなくなっている。食事を軽く摂り再び寝る。

 

・接種後31時間

起きると発熱前の節々の痛みと寒気、だるさがある。「あ、これはまずいな」と思い検温、37.1℃。

濃いめのホットカルピスを2杯がぶ飲みする。普段よりも甘いものを口にしたいという気持ちがすごい。味覚はしっかりあるが、ある意味味覚障害?軽くおやつも食べる。食欲は頭痛が収まってからはいつも通り。シャワーを浴びて寝る支度をする。

 

 

【接種後2日目】

日付が変わる頃ベッドへ。

・接種後33時間

37.9℃。節々の嫌な痛み。筋肉という筋肉がみしみし痛む。あ~ダメだわと思い入眠。寒気も少しあるので厚手の布団をかける。

 

・接種後35時間

38.2℃。本日の仕事は休むことにした。鼠径のリンパ節が痛くて足をモゾモゾさせるしかない。身の置き所がなくて嫌な感じ。身体が痛い、熱がある以外は症状なし。自分が思っていたよりも熱があって驚いたが39℃まではいかないだろうという感じ。

 

・接種後38時間

37.6℃。勤務先へ発熱の旨連絡。休みとなる。

副反応による発熱ということで受診せず様子見。同日ワクチンを打った同年代の人も発熱したと聞かされる。他のおばちゃんたちは無事だったのだろうか。まぁみんな屈強だからなとか思いながら寝る。

 

・接種後50時間

完全に解熱。36℃台。節々の痛みも消失。だるさは残るも「まぁ動けるな」という感じ。

左肩の痛みは残り手を動かすのがおっくう。

 

【接種後3日目以降】

徐々に左肩痛みが和らいでいくも時々しびれ感がある。数日寝ていたからか、首・肩・背中の凝りがすごい。マッサージに行きたいくらいの凝り。風呂に入ったりストレッチしたりさすったりしてもほぐれない。

自律神経系の不調感あり。虚脱感とマイルドな動悸。これだけ首が凝っていたら仕方ないかなという感じ。

 

【接種後5日目】

久しぶりの出勤。同日にワクチン接種したスタッフ7人の様子を聞くと発熱したのは私含め2人だけ。

腕の痛みはあるけどそんなに大変なことにならなかった、とのこと。

1人は発熱こそしなかったが接種部位の腫れ、首肩の痛み、節々の痛みが強く出たとのこと。

 

7人の様子を聞くと

・若い人は発熱しやすい

・やせ形の人、首が悪い人(腰痛もち、みたいに首の痛みが持続的にある人)は首肩周りの凝りと痛みが出やすい

・太っている人は副反応少なめ

という印象。

 

この頃には左肩の痛みなし。インフルエンザワクチンを打ったあとのような痒みはあり。

 

 

【接種後6日目】

首肩周りの凝りは改善せず。

いつもお世話になっているあんまさんに診てもらう。

「今までにない頑固でしつこい凝り、特に左が強い。」とのこと。かなり時間をかけてほぐしてもらいやっと今までどおりの体調に戻る。

「多分この首周りの頑固な凝りが解消されないから後遺症残る人が多いのでは?」と。熱がなければよし、ではなく凝りや身体の痛み、だるさなどケアしていかないとね~と話した。

 

発熱や頭痛は想定内だったが、今まで打ってきたワクチンとは比べ物にならないほど副反応がきつかった。正直2回目の接種は恐怖である。でも実際にコロナに感染したらもっとキツいだろうなと予測できるので打ちに行くつもりだ。

 

これからワクチンを打つ人には大事をとって翌日は休んでほしいし、できれば連休にした方がいいかもしれない。参考までに。

 

 

 

 

 

今願うこと

 今週コロナワクチンを打ってもらった。  

 

 医療現場で働くとはいえ、コロナ患者を受け入れている訳ではないのでこの時期で妥当とは思う。やっと打ってもらえてほっとしている。

 

 新型コロナウィルスの驚異にさらされ1年以上経過した。日々「万が一自分が感染したら」という恐怖がある。勤務先の抵抗力の弱い患者さんに感染したらあっという間にクラスター発生となるだろう。

『命を奪ってしまうかもしれない』

 それは容易に予測できる事態で償うことなど到底できないことだと分かっているから我々スタッフは皆ピリピリとしていた。

 

 PCR検査も先月受けた。結果陰性だった。今まで「ちょっと風邪っぽいなとか思うときPCRは受けられますか?」と何度も所属長に聞いてきたが受けられることはなかった。発熱時に自分の責任で受診しろというスタンスで、熱さえなければOKというゆるい基準だった。正直ラ○ザップのトレーナーの方が月2でPCRを受けていると宣伝でやっているのを見たとき「なんだよそれ…ラ○ザップのほうがちゃんとしてるじゃん」とあきれた。命を奪いかねないのにね。

 何度言っても上が体制を整えない限りは現状のままである。徐々にバカバカしくなってきてしまった。本当に気持ちが途切れて看護師やってるのがしんどくなった。なんのため?これでいいのか?もう気持ちが追いつかないのでは、と幕を下ろすことを何度か考えた。

 

 とある終末期の患者が入院してきた。

潜伏期間を考慮ししばらく個室に入ってもらいガウンやシールドをつけ万全の感染症対策をして接することになる。

 ナースコールがなってもガウンを着てシールドをつけ入室。それに時間がかかり「遅い」と苦情を受ける。

 「私は散歩にも行けないのか?患者にも権利ってもんがあるだろう」

と言われる。確かにそうだ。しかし入院している他の患者に何かあってからではどうしようもできない。それを何度も丁寧に説明する。

「どうしてもできない。テレビで見て知っていると思うけどとにかく今は時代が悪かったのよ。」と説明して分かってもらえたときはホッとした。

それでもナースコールはなりやまない。面会はできない、外へ行けない、家族との電話も声がなかなかでなくて通じない。そんな不安と孤独は薬じゃ治せない。

 

 終末期の身体のだるさ、重さを患者の足をさすりながら受け止める。フェイスシールドから汗がにじむ。暑い。重い。苦しい。

 

本当なら望めば家族が付き添って足をさすったりなんてことないテレビを見てぼんやり過ごしたり、聞きなれた声をまどろみながら聞くことだってできたと思う。

 

今の我々にできるのは家族にいつもの布団を持ってきてもらうこと、その布団をなんどもなんどもかけ直しては足をさすり身体の向きを変え「私はあとどれくらいだ?」という質問を2人で一緒に考えるだけである。

 

 ドラマなどの看取りのシーンで病室で子どもや孫に囲まれて心電図がフラットになって「親父~!」なんて団らんは夢のような話である。これがリアルじゃなくなる時代が来るなんて思いもしなかった。大切な人に囲まれてお別れすることができない時代が来たのである。

 

 面会者は数人まで。ガウン、マスクをして患者さんには触らないで、そんな世界なのだ。

 

 自分が終末の時をどう迎えるか想像したことはあるか?顔がよく見えないスタッフが呼んでもすぐには来てもらえなくて来たとおもったらすぐいなくなって、家族にも会えない、この不安や苦しさ、さみしさをじっと死ぬその瞬間まで耐えなければならない、そういう状況なのである。

 

  我々が終末期のケアをどんなに勉強してどれだけ経験を積んでも、ニューノーマルとかいう薄っぺらい言葉で終末期の過ごし方まで変わってしまった。

 

 『時代が悪かった』

戦時中の人もそう言い聞かせて色んなことを諦めてきたのだろうか。

 

 私自身祖父母をこのコロナ禍のなか亡くしている。90歳を過ぎており老衰(コロナ感染ではない)でありいずれそうなると予測していたことだったが、半年以上会えずやっと会えたのは棺の中の祖父母だった。

 生前と変わりない穏やかな顔で私はずいぶん救われる思いだった。入院先の看護師さんたちの手厚いケアが見てとれて会ったことのない同業者に救われたのである。大切な人と次に会うときが棺の中って自分を納得させるために色んな感情を無にしてどんどん世の中はどす黒くなってきた。

 

緊急事態宣言が発出され、たくさんの国民の自由と娯楽が失われてきた。職をなくした人だってたくさんいるだろう。諦めと怒りとバカバカしくなって無気力になる気持ち。人を咎めたり罵ることが娯楽になる世の中だ。本当に恐ろしい。

 

 それでもオリンピックはやるという。看護師の派遣をとか言うが今は現場でいっぱいいっぱいである。

コロナ患者を受け入れている病院を退職して私が勤める病院に入職した看護師がいた。入職して数日で体調を崩し休みがちとなった。そのうちイラつきがみられるようになり「ここのやり方が合わない」とあっさり退職した。

  仕事ができる人だったので残念である。こちらのやり方が悪かったのもあるだろうが、本人の身体にも心にも余裕がなかったのだろう。みんな晴れることのないストレスが溜まっている。どうしたものか。能力のある人をことごとく潰しにかかっている。とにかく疲弊しているのだ。

 

 ワクチン接種が進んでいない中、どうやって医療の余力を捻出するつもりなのだろうか。私にはわからない。わかるのは7月熱中症などで搬送患者が増え、コロナ対策をしながらめちゃくちゃになった現場で今にも糸が切れそうな気持ちをなんとか繋いで頑張っている人の姿だ。

 

 看護師だけじゃない、辛いのは。

このコロナ禍で身体の不調に気づくも適切な検査のできる大きな病院を謙遜したため、癌の発見が遅れ気づいたときにはステージⅣ。入院も手術もひとりで望み家族の面会はできなかったという話を聞いた。

 本当に悔しかった。話してくれた人はもう全てを諦めた顔をしていた。何も悪いことをしていないのに、なぜ、たくさん考えただろう。なぜ、どうしてこんなことに。考えても答えはでないし時間は巻き戻せない。癌は完治しない。通常の医療体制なら救われる命が救われないというのはこういうことなのである。泣きたくても涙は枯れてしまった、そんな話し方をする人になんと声をかければいいものか。助けたい、助かりたい、そんな気持ちが目の粗いザルをずるずると通りすぎもはやすくえない。悲しい。

 

 

自分の大切な人が救われない、万が一に備えてそんな覚悟を持たなくてはならない。今は元気な年老いた父親を見ると「何かあったとき呼吸器もつけてもらえないかもしれないが、それはそういう時代だから仕方ない、と諦められるか」と自問自答するが答えはいつだってNOだ。

 

 願うのは、通常なら適切に医療を受け助かるはずの人の命が今まで通り救われること。ただ、それだけである。平穏な日が戻るまでもう少しやれることをコツコツやっていこうと思う。

 

 

 

 

そして猫が来た

保護猫カフェから猫を引き取る段取りがつき、昨日迎えにいってきた。

 

 猫が住むための家にする準備も前日までになんとか終わり、爪とぎやおもちゃなど「気に入ってくれるといいんだけど」なんて話した。

猫グッズを揃えるにあたり、ホームセンターへ何度も足を運び、爪切りを「色んな種類があったほうがいいから」と2個買おうとしためめ(妹)が「何個も買うんじゃない」とねねに叱られるというエピソードがあったとかなかったとか。

 

当日は朝から2人でそわそわし、持ちなれぬキャリーをぎこちなく持って電車に乗り込んだ。

『これからどんな生活になるのだろう』

憧れていた猫のいる生活を楽しみにする反面、始めての猫との生活に多少の緊張と不安はある。さかもツインの心臓は人知れずバクバクしていた。

 

 

 約束の時間になり保護猫カフェに向かう。まずはトライアルというお試し期間を1週間設け、トラブルがなければ正式に譲渡になる。何があったかときのことや保険について説明を受け書類にサインをする。

まぁなんとかなるでしょうだけでは猫は飼えない。予防接種のことや現在の猫の健康面など詳しく教えてもらい保護者になるという責任を背負う。

 ちなみに名前は『ゆんゆん丸』にしようと決めていた。

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かわいいの意、かわゆん、のゆんからきている。男の子なので「~吉」とか「~太」とかをつけたいなと思っていたが、「丸」が1番ふさわしいかなと思ったのでゆんゆん丸になった。

 

 保険の書類を書くときに「名前どうします?」とかを聞かれゆんゆん丸と名乗るのにちょっともじもじしてしまった。さかもツインは顔を見合せめめが「ゆんゆん丸でお願いします」と言うと保護猫カフェの人は笑っていた。ウケてくれてよかったと思う。

 

 

 保護猫カフェのお客さんからゆんゆん丸へプレゼントが届いていてありがたく受け取った。今世界はすごくギスギスしている。そんな中こういう「この子が大切にされていた」という優しさが心に染みる。頑張れ、と背中を押してもらったような力に変わった。

 

そしてゆんゆん丸との対面である。バックヤードから白い猫がだっこされてきた。

かわいい。とにかくかわいい。


キャリーは5㌔までの猫が入るSサイズを買ったのだが、
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あれ?

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ぎちぎち。

「あれ、想像と違うな」

それもそのはず。ゆんゆん丸は超健康優良児であるらしく、体重が5.8㌔あるのだ。保護猫カフェの人はまた笑っていた。人を笑わせるのが得意なおもしろい猫である。

「大丈夫ですかね…」と聞くと

「猫狭いとこ好きだから…」と大丈夫だとは思うみたいな感じになったのでそのまま出発することになった。

 

キャリーに入り不安なのかめちゃくちゃ「ぅわぉ~ん」と鳴くゆんゆん丸。キャリーの中のゆんゆん丸に「大丈夫だよ、頑張れ❗」と話しかけるさかもツイン。

 

改札口で手回り切符を買うさかもツイン。

「ぅわぁ~ん」と大きな声で鳴くゆんゆん丸。道行く人が「!?」という顔で振り返る。電車に乗ると遠くで赤ちゃんの泣く声がする。「お宅の赤ちゃん元気でいいね!大きな声がでてえらいね!うちのゆんゆん丸も元気だよ!」という気持ちになった。


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不安そうに外を見つめるゆんゆん丸。


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けつの毛がはみ出ている。

 

なんとか電車の旅を終え家につく。

管理人さんに「今日から猫がきます」と見せると、「おっ、ゆんゆん丸か!」と届け出の名前をしっかり覚えていてくれてうれしかった。みんながゆんゆん丸を歓迎している。

 

玄関を開けて新居へ。

新しいおうちだよと言ってもなかなか不安そう。
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30分ほどはキャリーからでてこなかった。

 

家の中を案内する。

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布団テントを作ったらそこにようやく落ち着き4時間くらいずっといた。

 


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夜はごはんを食べず。水は飲むのでおやつのチャオチュールをあげて様子を見た。猫草をバリバリ食べ始めてのおトイレも無事やりとげて賢い猫である。

 

0時をまわりそろそろ寝ようかなという時間。ゆんゆん丸はそわそわしていている。寝床が決まらず結局めめと朝までリビングでうたた寝程度。物音がすると気になるようす。まだ緊張しているのだろう。早く慣れるといいね。

 

 

憧れの猫のいる生活。

めめと「ゆんゆん丸来てよかったね」「かわいいね」「しあわせだねぇ」とずっと目尻を下げている。とても甘えん坊のようですりすり寄ってくるところがまたかわいい。死んだ母に似ているので懐かしみを感じる猫である。

 

どういう巡り合わせかわからないけど一緒に暮らせることを嬉しく思う。ふわふわの毛を撫でてかわいい目を見つめるとびっくりするほど心がまろやかになる。猫ってすごい。


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(早朝5:30より大きな声で鳴いているゆんゆん丸、頼む寝かせてくれと寝るねね、かわいいねかわいいねと誉めるめめ)