農家のおばあちゃんへインタビュー
インタビュアー(以下:イ)
「こんにちは。今日のスーパーおばあちゃんのコーナーです。農家を営むスーパーおばあちゃんねねさん(御歳98歳)の畑にやってきました。どんなおばあちゃんなんでしょう。もうすぐ100歳。あ、いたいた。お好きな色はピンクとのことで全身ピンクの出で立ちです。花柄のピンクもんぺと地下足袋がまぶしいですね~」
「こんにちは、ねねさん、今日はたくさん採れましたね。今年はどうですか?豊作ですか?」
ねね
「今年はね~暑くなるでしょ。葉モノは真夏にゃかれちゃうよ、バジルなんかは梅雨明け前がピークかもしれんね。ただシソがこれからやね、天ぷらにするとうんまいよ。昨日ちいと日差しが出たらトマトなんかずいぶん赤くなってな、ほれ、食うてみ。農薬つかっちょらんからそのまま食えるよ。うまいやろ。ここでは完熟してから収穫だから。甘さが最大限よ。」
ねね
「ほれ、色が元気やろう。イキイキしてるやろう。生きる力わけてもらうんやな。このトマトさ食えば元気になっちょるばい。」
イ
「ほんとだ、おいしい。皮がしっかりして甘味がありますね。フルーツみたいです。」
ねね
「そうやろう。うちの孫もひ孫もこの畑のトマトで大きくなったんや。『ねねおばあちゃんのとこのトマトおいしい』言うてな、ほかんとこのトマト食わんやと。子どもにも味がわかるんな。」
イ
「どんなときが一番幸せですか?」
ねね
「そりゃいっぱい美味しい野菜できたときやんな。だけど食べる人がおらんかったら虚しいよ。子どもが腹一杯食べる姿見るのが一番幸せやんな。トマトもぎるときさ、よー実ったのうって笑いかけるんやよ。お前さんらにはわからんやろけど、ねねは野菜のこと見とるからなわかるんや。ねねばあさんそろそろ食べ頃だから採ってや~って実が光ってここだよって教えてくれるんよ。あーそかそか、採るねーっつって採るんよ。」
イ
「(?)」
ねね
「おめ、このばばあとちくるったんかと思ったやろ、ほんとの話や。土と葉の隙間から光っているんや。見つけたよ~って気分になるね。畑で会話してるんよ。野菜と。一人でいると邪魔が入らないからな、小さなこともよー気づくよ。人に頼って何かをしてばかりいると自分の力がなくなるからな。一人でいることも大事やんな。見えないものまで見る力はこの歳になってますます鍛えられてるよ。」
イ
「(このばばぁ撹乱してるのか?)」
「そ、そうですか~。見えてくるんですね。ははは。」
ねね
「体験や経験を分かち合うのは難しいからな。わからんでもええんやな。」
イ
「以上、スーパーおばあちゃんに会いに行く、本日は農家のねねさんでした~。来週のおばあちゃんはタケノコ掘りの名人です。お楽しみに~!」
春に始めたさかも菜園という家庭菜園が今実りの時期です。
トマトを収穫していたとき、上のやり取りを脳内で繰り広げました。
ねねのなかに農家のおばあちゃんの人格が芽生えてきています。
孫にトマト食わすときが一番幸せのようです。「おばーちゃん、おいしーね」と言われるのが好きなようです。
こちらとしては農家でもないし、孫もいないどころか結婚も出産もしていないからね。
しかもちゃっかりテレビに出ようとしているからなぁ。
農業やるならピンクのもんぺはほしいですね。カンセキとかで売ってるといいな。
理想のおばあちゃんはねねの祖母です。
腰がおもいっきり曲がっている、働き者の証。かっこいい。