こんばんは、ねね(姉)です。
みなさんはどんなところで散髪をしますか?
床屋さん?美容室?はたまたご自分で?
ねねは美容室です。高校時代からの友人K江にかれこれ10年弱お願いしています。
お陰で美容室難民にならずに気心知れたカットタイムを過ごせてとてもありがたいです。
何となく言ってもきちんとスタイルをキメてくれるところがいいですよね。さすがプロ、そしてねねの髪の毛をよく知ってらっしゃる。
ねねの髪の毛は10年近くロングヘアーできています。いつか結婚式をあげるとき、自髪で日本髪結ってもらいたいと思ってるからなんですけど、その結婚式もまったく迎える気配がなくてならばロングヘアーでいる意味もないかと思って今回バッツリいこうと昨日思い立ちました。いつだって衝動は突然です。
どうせやるなら全く知らない美容室、かつ、ここ、やってる?と言わんばかりの美容室に行きたくなりました。
ただ、そういう美容室はネットで探してもヒットしません。(ご年配の方がやっているのでネットで大々的に宣伝することがない)
これは現地に赴くしかない、と思いました。行き先の候補は上野か浅草か北千住。
いわゆる昔ながらの下町といったところです。
先日北千住で「うわー、すごい古そうな美容室だな」というところがあったので最終的に見つからなかったらそこへ保険をかけて、とりあえず上野、御徒町へ向かいました。
上野方面は飲食店が多く、歩き回って1件見つけましたが、中が見えないので入るのをためらいます。
あとはいい感じに昭和レトロな理容室が2件見つかりましたが、さすがに理容室はな、と思い更に歩き回ります。
ぐるぐるぐるぐる、知らない道。
ぐるぐるぐるぐる、行っては帰る。
古い喫茶店を見つけて雰囲気いいな、今度来たいなと思ったり、古いビルのレトロな佇まいにいいなと思ったり。
ただ、炎天下の中でぐるぐるしてると体力を奪われ、ペットボトルのお茶はあっという間に飲み干してしまいました。
これはもう見つからないかもしれない。Googleマップでもレトロ美容室はヒットしない。北千住へ行くか、と諦めかけたとき、やっと見つけました。
さろんどぐれーじゅ
この昭和くささ、ねねの心にグッときました。
スクーターにかかるタオル、昭和の残り香がする!すんすんすんすんっ。うん。昭和。
ちょっと緊張しますが行っちゃいましょう。
誰もいない店内。ドキドキ。
ねね
「こんにちは。あのすみません、予約してないんですけどカットお願いできますか?」
奥から犬と50代後半くらいのエプロンをしたおばちゃんが出てきました。
おばちゃん
「ええ、大丈夫ですよ。カットですね、どうぞ!」
ねね
「(よかった。受け入れてもらえた)」
そう、ここで一見さんお断りみたいな雰囲気を出されてしまったら心が折れてしまいます。どうみても冷やかしというかおばちゃん世代ではない小娘が来たら嫌な顔されないかが不安でした。なにせ飛び込みなのでね。
おばちゃん
「どういう感じにしますか?」
ねね
「えと、肩から下くらいで昭和っぽい、今どきじゃないスタイルにしてください。まとめてもおろしてもいいように。髪の毛が細いのでスタイリングがしやすいように」
と、髪の悩みとざっくりとした希望を伝えるとおばちゃんはとても悩んでました。
おばちゃん
「うーん、そうですか。うーん、はい、じゃああんまり段をつけない感じで切りますね」
とぬるいお湯の霧吹きをしゃしゃっと髪の毛に吹き付けてきます。
最近の美容室は洗髪台でさっと髪の毛を流してくれるので霧吹きが懐かしかったです。
写真を撮ってもいいか聞くと「どうぞ」と気さくに答えてくれたので遠慮なく写真を撮ります。
女性誌があるのとか、地元のおばちゃんがカットに来るんだろうなという気配をプンプンさせています。
ねね
「普段は同じところでカットをお願いしていて、いつもロングの毛先を整えてもらうんですけど、今日は思いきって全く知らないところに飛び込んでお願いしようと思って来ました。」
おばちゃん
「おもしろいね~。よくこんなところ通ったね。そうなんだ。じゃあ張り切って切っちゃおうかな」
と気さくも気さく。ありがたいです。
ねね
「昭和レトロな雰囲気の看板がすごいよくてここに決めました。」
おばちゃん
「そうなの~。ここは外観は80年たつのよ。おじいちゃんの代からあるの。今は再開発でずいぶん変わったわよ。谷根千の方はまだまだこういう雰囲気があるけど、こっち(上野御徒町)は20階建のマンションが建ったりね。古い建物は土地売っちゃってだいぶなくなったわ。」
「新しい街を作るって言ったって、またこういう(昭和の下町みたいなことを指していると思う)街はもう作らないでしょ。二度と見られない世界なのよ」
二度と見られない世界
この言葉は胸に刺さりました。本当だ。昭和レトロを繰り返し作っていくことはない。どんどん新しくて便利でおしゃれな都会的な雰囲気になってしまう。あっというまに昭和がなくなっていく。平成も29年が過ぎた。昭和レトロが好きな人はいるだろうけど、昭和レトロを遺したり、作り続ける人はどれだけいるだろう。
ねね
「80年?そしたら戦争のときはここは大丈夫だったんですか?」
おばちゃん
「ここら辺は風向きのお陰で大丈夫だったのよ。通りを挟んで向こう側(神田方面)が燃えちゃったみたいね」
築80年の歴史。美容室の中はリフォームしてあるのか古いけど清潔感のある感じでした。
さくさくとカットを終え洗髪台へ案内するおばちゃん。
と、ここでねねはトイレに行きたくなるというわがまま膀胱。さっきしこたま水分とったからね、トイレめちゃくちゃ近いです。
トイレを貸してほしい旨伝えると、
「ちょっと待ってね!奥だから!」
とトイレまでの道のりを開けてくれました。
住居一体型の美容室のようで、お勝手口とお世辞にも広いと言えないキッチン、そしてその奥にトイレがありました。
さすが築80年。木の扉です。うわー、これはワクワクする。歴史的建造物だ!
トイレのタイルも昭和レトロ。一応洋式のトイレで安心しました。かしてくれてありがたいです。
用を済ませありがとうございましたと伝えると「木のドアなんて珍しいでしょ笑 タイルは私が貼ったのよ」と古い建物と暮らす人の優しさが垣間見られました。古いから壊すんじゃなくて少しずつ直しながら住んでいるのいいな。古い建物を大切にしている人がいるからこそ建築物は価値があるんだと思います。
洗髪台に着席。おばちゃんのシャンプーは加減がとてもよく、さっぱりしました。指圧がとかそういうんじゃなくて年季の入った技術が。
洗髪を終え、頭にしゅしゅっと謎の霧吹き。ヘアトニック?なのかスースーして気持ちよかったです。昭和の美容室のしゅっしゅ。たまらなくいいです。
そしてドライヤー。
丁寧に丁寧にかけてくれました。
乾かし方やブラッシングのコツを習いながら。
おばちゃんは美容師歴30年とのこと。長く続ける秘訣は「お客さんかな」とはにかんでいました。
今となっては飛び込みのお客さんなどほとんどおらず、地元の付き合いの長い人や、その人たちが紹介してくれたお客さんばかりだそうです。
今どきはホットペッパーでぽちっとサロン予約ですが、まだまだ昭和稼働している街の美容室、そして来るもの拒まずな心優しいおばちゃん美容師さん。心温まる気がしました。
カットを終え、とても素敵な髪型にしてもらい大満足です。
15センチ位のカットでしたが、毛先のラインが昭和レトロで完璧によかったです。おかっぱっぽくてねねの昭和いにしえ顔によく似合います。うれしい。
レトロなパーマ器は現役稼働だそうです。快く写真撮らせてくれました。
こんなパーマ器見たことない。昭和だ!昭和スメルだ!嬉しい。
大冒険なカットタイムを楽しく過ごせたのはもちろんおばちゃんのおかげ。見ず知らずの怪しい小娘を受け入れてくれたのも、気さくに話してくれたのもおばちゃんの人柄も、技術も建物もすべてがよかったです。
カット代3400円。激安。おしゃれなとこ行ったらこの倍はしますよ。価格も昭和とはね。
飛び込みですみません、ありがとうございましたと伝え帰りました。
初めて来たのに親戚のおばちゃんみたいだったな。
見知らぬ美容室巡り楽しいな。
こういう巡り合わせっていいな。
自分の足で歩いて好きなもの探して見つけるの楽しいな。
ただ、こんな似たり寄ったりの路地にあるのでまた巡り会えるかは謎です。ほんとよく見つけたなぁ。
とりあえず黒門小学校の近く、とだけ。Googleマップに載ってないですから。
どんなヘアスタイルになったかというと
後ろすごいきれいなライン。
アップにしてもよくまとまる。さすがだな、あのおばちゃん。大好きだよ。最高です。ヤボったくなりすぎないスタイル二してくれたのうれしい。
昭和レトロ美容室巡りは新たな趣味になりそうです。謎の達成感すらあります。
美容室難民のかた、昭和レトロが好きなかたはやってみてはいかがでしょうか。ねねはまたやります。では。