ここから先は私のペースで失礼いたします

さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

史上最低のクリスマスイブ

この世には2種類の人間しかいない。

オムツで排泄できる人間と、オムツで排泄できない人間だ。

ねねは前者だ。クリスマスイブに前者になったのだ。

 

 

 

警告⚠】ここから先は排泄物の話になるのでそういうので気分を害しやすい方は読まないでください

 

 

クリスマスイブは一族総出で餅つきをした。年末の恒例行事なので義理兄の運転で栃木の祖父母宅へ行った。

ケーキなどをご馳走になり、墓参りをして帰路につく。悲劇は帰路で起きた。

 

帰路でまんまと渋滞にはまる。事故渋滞で二車線全く動かず、ジャンクションを通過できない。

1キロ60分とか信じられない渋滞予報。

甥は「全然動かなくて暇!退屈!」とわめいている。

動かない車。

ねねは密室がとにかくダメ。トイレに行けないその状況が恐怖。閉所恐怖症なんじゃないか。もうこれパニック!パニック!

電車とかで急な便意とかしょっちゅうやってるからだんだんトイレに行けない状況というのが反射的に怖い。

 

はぁ

 

不安が募る。

 

出発する前にトイレには行ったが、1時間以上経ってくるとややトイレに行きたい気持ちが…。

 

ふむ

 

昼間飲んだコーヒーが利尿を促す促す!

 

はぁ

 

コーヒーの利尿作用は30歳過ぎるとじゃばじゃばクる。

30分に1回くらい余裕で行ける。 尿を出せ尿を出せの指令がすごい。

 

あ~、これはおしっこしたいな

 

その尿意に気づいてしまったら最後、尿意は確実にそこにいる。

クリスマスにサンタはいない、ねねのそばにはサタンがいる。尿意のサタン。

 

もう、逃れられない

 

悟る。

 

果てしなく続くテールライト。進まない赤い光。暗闇の中でねねは行く先を眺める。

 

進まない。この高速道路を降りてコンビニのトイレに連れていってくれ。

無茶だ。降りる出口にすらたどり着けないのだ。

最寄りのサービスエリアまで17㌔。

 

もしかしたらダメかもしれない。

 

微かな希望は動かない車の列を眺めて絶望になった。

 

 

…。

 

 

 

ねねはどうするべきか。

 

高速を1人降りて歩くことは危険だ。絶対にダメだ。外に出られたとしてもトイレはない。野ションはダメだ。こういうとき男の人はいいな、と思う。尿道口が黙視で確認できるからな。最悪の事態にペットボトルにおしっこ、とかまじでうらやましい。

 

我々女性は尿道口が黙視で確認できないので

ペットボトルにするのは不可能だ。ペットボトルはあるけども、この状況では使えない。検尿の紙コップですらうまく採れないんだから。

 

ねねは後ろの席に座る1才の甥子を見た。赤ちゃんだ。かわいい。すやすや寝ている。

 

この子はオムツをしている。オムツをもらおう。万が一に備えてオムツをもらおう。

 

もしこの尿意がパニック障害的な極度の緊張からくる尿意であればまずねね自身を安心をさせた方がいい。

「ねね、おしっこしたい」

「甥ちゃんのオムツちょうだい」

 

安心への段取りを踏もう。

 

一族はざわついた。トイレは無理だよ…!クリスマスイブの渋滞、「これからイルミネーション見に行く人たちはかわいそうだね」とか知らぬ他人の心配をして笑っていたが、もはや一族の意識はねねの尿意にロックオン。

 

トイレまであと17㌔、頑張れ!と励まされるも、励まされたところで膀胱が容量アップするわけではない。むしろ励まされて尿意への不安や膀胱限界値が現実のものとして浮き彫りになりこの現実をゆっくりと受け入れつつ、諦めて甥ちゃんのオムツでどうしたらいいかを考える方向にシフトした。

 

ここでおしっこをする

 

そう決意せざるを得なかったのである。

 

 さかもツインの姉(甥ちゃんの母)は「一枚でいけるかな、足りる?足りないでしょ?2枚あげるよ!」
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これが不安尿意ならば多分100mlくらいしか出ないだろうと予測し1枚で足りると思うけどと言いつつ2枚もらった。

 

人間の膀胱容量は250~500mlで、150ml~250mlくらいから尿意を感じるという。

 

赤ちゃん用オムツは1度にどれくらい吸水するか、わからない。

吸水ポリマーの面積を見ると100mlくらいでずぐずくになるだろう。

しかももらったオムツはパンツタイプか。

平たくパット状に伸ばしてここにおしっこをそろりそろりと出していこうと思った。

 

とりあえずコートで下半身を隠し臭い対応を。

何か音楽を流してと言い、音姫効果を狙う。

 

股に平たくしたオムツをしっかり当て、 おしりには万が一に備えタオルを敷いた。

 

 

「ねね、おしっこする!」

 

意気込んで宣言した。そこから先はもあ言葉はない。無言だ。みんな黙った。隣に座るめめ(妹)は非常に嫌な顔をした。

 

正直こんなことは初めてで、不安だらけだ。

安心できない。トイレじゃないところでおしっこをする恐怖。汚さないか、こぼさないか。できるのか、できないのか。

 

不安が強くておしっこが出ない。しゃっと出したらこのまま止まらずずぐずぐになるのではないか、

大丈夫か、

いけるか、

葛藤しながらおしっこを出したら出たので少しずつゆっくり出す。

 

オムツがずっしり重くなってきた。オムツ越しに押さえるおしっこは思っているよりも熱かった。

 

少ししてオムツを確認、2枚目にチェンジする。

 

そして出しきったという感覚はなかったが、取り急ぎの尿意は去った。良かった。

 

多分200ml位は出たはず。結構ずっしりオムツが重くなったから。不安尿意ではなかった。割りと本気尿意だった。

 

「でた!すっきり!」

 

無事にオムツに収め、おしりに敷いたタオルは濡れることはなかった。

一族は安堵した。ねねも安堵した。

姉はすごいね、と誉めてくれた。

ねねもすごいと思う。

看護師になり12年、赤子から老人まで数々の患者さんにオムツを当て続けた。吸水の 様子のイメージはついている。コツは一ヶ所に集中させないこと、勢い良くしないこと、しっかり広範囲に当てること。

 

これは経験から学んだことだ。

 

みんなのオムツ排泄を見てきたから、ねねはできると思った。

イメージができればたいていのことはできる。

 

ねねは幼児用オムツにおしっこができた。

 

33年間生きていてこんなクリスマスイブは初めてだ。なにが悲しくて車の中でオムツに小しなきゃならんのだ。

悲惨ではあるが何だか誇らしい気持ちになった。失敗せずやりきったからだ。

乗り越えたことにより、1つ強くなった気がする。

 

甥ちゃんから最高のクリスマスプレゼントをもらった。

 

オムツ(2枚)

 

いつか彼が大きくなったとき、あのときオムツをくれてありがとう、お礼に甥ちゃんにおこづかいをあげるからデートでも行っておいで、とクリスマスイブにおこづかいをあげるおばちゃんになろうと思う。

 

めめには距離を置かれている。生理的に無理だそう。

普段謝らないねねもさすがに隣でおしっこをしたという罪悪感が多少はあるので「ごめんて!」と謝ったがさかもツインの心の距離は埋まることはなかった。

 

さぁ、皆さんは忌々しいことはさかもツインにまかせて素敵なクリスマスをお過ごし下さい!メリークリスマス!