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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

ホワイトデーにフラれた話

人生に別れはつきものでそれは当然にやってくる。

ねねは365分の1の確率でホワイトデーに恋人にフラれた。

 

今週のお題「ホワイトデー」。ドキドキのホワイトデーの話をしましょうか。

 

それは数年前のことだった。

バブルサッカーのイベントで知り合った彼(以下ケツフォークとす)は同じ歳で何回か飲みに行くうちに付き合うようになった。

ケツフォークというのは、彼が以前付き合っていた彼女と別れ話が拗れた際にケツにフォークを刺されたことがあるからだ。

 

ケツフォークのそんな『普通に生きていたら体験することのないことを体験している』ところがおもしろく、好きになった。ケツをフォークで刺された話を聞いたときは悪いが大爆笑してしまった。

ケツをフォークで刺された後はトイレに閉じ籠りトイレットペーパーで止血したらしい。人間とはとっさのときほど案外冷静に行動できるのかもしれない。

 

ケツフォークはSEだったと思われるが詳しいことは良く知らない。とにかく忙しくてあまり休みがなくあまりデートらしいデートはしていない。たまに飲みに行くくらいのデートをしていたくらいでそんなに仲良くした記憶はない。

 

バレンタインにはチョコをあげた。喜んでいたと思う。

そしてホワイトデーの朝、LINEが来た。その日は仕事で起きる5分くらい前に起こされた。

あぁ、ケツフォークからか。今日会おうとかそういうLINEかな、と思って見てみたら「別れよう、何か違うと思うんだ。」とのことだった。

ドキドキした。

ドキドキというかバクバク、驚きすぎて心臓が変な動きをして苦しくなる。

 

はぁ。別れ話?ちょっと待って、まだ早朝あと5分寝かせて、いや、それよりもホワイトデー。ホワイトデーにそんなことある?何何何?

 

寝起きに突然の別れ話にどうしたらいいか分からないのでとりあえず仕事に行った。

後で会って話そうとLINEすると「ごめん」だけの返事で埒が明かない。

あまりに頑なな「ごめん」にこちらが折れて別れ話を受理する運びとなった。

理由だけは、と教えてもらうと、「ホワイトデーにあげようと思って買ったルームフレグランスを眺めていたらなんか違う。このままでいるのは良くない。」と思ってしまったらしい。

確かに恋人らしいことをしていないし、ケツフォークが人と距離を置きたいタイプの人でお互いに距離があったのは分かっていた。何でも話せる関係でもなかったし、一緒にお酒を飲んでうわべだけの話をして恋人ごっこをしていただけのような気もするのでケツフォークがそう思ってしまうのも致し方ないと思う。

 

正直なところ、こちらとしては彼女らしく穏やかに接したつもりだったので、何の非もないのに別れ話をしやがって、このクソケツフォーク!と当時は憤慨していた。

別れ話が出たとき、「僕は人といるべきではないのです。」と言っていて、「いつか歳をとって1人になったとき頼る人がいないと困るよ?死ぬときどうするの?」と言ったら「そのときはシステムが解決してくれると思います。」とSEらしく言い張ったのが印象的で、その後女子会で「ケツフォークは死ぬときシステムに看取られるらしい。」と多少の悪意を込めネタにしたものだ。

その女子会で「ねねさんはそうやってクセのある人しか好きにならないから結婚できないんだよ、そういうことなんだよ。」と言われたのは全く的確で「ほんと困ったよね。」と笑ってしまった。笑った反面結婚できないのか…と落ち込んだりもしたけど今は元気です。

クセのある人との恋愛や結婚はクセがあってうまくいかない(うまくいくときはいくのだろうが)

 

結局ケツフォークとは数ヶ月の付き合いでそれ以降は会うこともなく風の噂で元気でやっているようだ、というのを1度だけ聞いた。

 

未練はない。諦めるしかなかった恋愛を繰り返すと人は強くなる、わけない。強くなるのは人とある程度距離を置いて自己防衛することだ。

今ならケツフォークの気持ちもわかる気がする。誰かといるのが向いている人もいれば向いてない人もいる。そういうケツフォークの心の繊細さに気づいてあげられなかったのはよりケツフォークを苦しめていたのではないかと思う。一緒にいよう、というのは自由を奪うことでもあるから。

 

それでもケツフォークは酔うと「寂しいです。」とか「一緒にいたいです。」とか言うので、人間の本心と防衛心のバランスをうまくとるのは難しい。

『愛されたい』というのは誰しも心の奥に隠し持っているものなのだろう。どんな風に『愛されたい』か、聞いてみれば良かった気もする。

『愛されたい』のかたちは人それぞれ違うということを学ばせてもらった。

 

ねねが言えるのはイベントや記念日にフるのはやめてほしいということ。

何でもない日ならすっと忘れてしまうが、はそんな日は忘れられなくなって毎年思い出してしまうので。

 

明日、ホワイトデーがやってくる。

ケツフォークのことを思い出す。人付き合いにおいて繊細なケツフォークがどこかで穏やかに苦しまず生きていればいいなと思う。