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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

あっしのコート

コートをいくつか持っている。 

春秋用の紺のコート、ベージュのトレンチコート。

やや寒い冬のウールのコート。バカみたいに花柄のやつ、エメラルドグリーンのやつ。

一番寒いとき用のシンプルな黒のコート。白のダッフルロングコート。

インナーダウンとしてユニクロのウルトラライトダウン2着。

今年はくすんだラベンダーカラーのコートを1着買った。

 

黒や紺のコートは何にでも合わせやすいので便利だけどこの時期朝の満員電車からゾロゾロ降りてくる黒のコートの集団を見ると呪いの儀式でも始まりそうで気味が悪い。その一員に加わりたくないのでなるべくパステルカラーのコートを選ぶようにしている。人と同じというのがあまり好きではないあっしのコートへのこだわり。

 

カラーコートはあまり気に入る色が売っていないので探すのは結構苦労するけど気に入ったのが見つかるとうれしい。

 

今年はやや暖冬とはいえ寒いものは寒い。白のダッフルロングコートを毎日着ている。大活躍だ。これはもう3年以上着ている。物珍しいコートを着ていると周りの人が面白がってくれる。好きなものを着て楽しくやるのはいい。

 

あっしのコートの背中部分には血が滲んでいる。2ヶ所、3㎝大の淡血性の付着物。いつついたかはわからないが気味が悪い。多分ここ1週間でついたものと思われる。

 

真っ白なコートの裏地に滲んだ血は多分背血(せなぢ)だ。ニットの襟元がちくちくしてかきむしったのだろう。

早くクリーニングに出したいのだが毎日着る最強防寒具を今は手放せない。防寒のランクは下げられないのだ。

だからあっしのコートには血が滲んだままである。外出先でコートを脱いでハンガーにかけるとき血が見えないよう細工する。気を遣う。このままクリーニングに出したとしてもクリーニング屋さんに気味悪がられるのではないかと不安に思う。

 

あっしのコートはこれからどうしようか。

明日、裏地だけちょんちょん洗いをしてみようか。雪が降ったら干せなくなるから天気の方はコンディションを整えてほしい。

 

彼氏がいなくてよかった。もし優しい彼氏がいたら「コートかけといてあげるね」とあっしのコートを手に取ったとき無為に血が滲んでいたら怖がらせてしまう。

もしくは万が一様々な試練や儀式を通過し男女の仲になろうと彼氏があっしのコートのダッフルに手をかけ肩から腕に手を滑らせコートを脱がせたときそのコートに血が、血が滲んでいたら…彼氏は腰を抜かすだろう。人でも殺めてきたんかって。

 

追い討ちをかけるように「あっしのコートに触れるんじゃねぇ(恥)」と睨みをきかせてしまうだろう。

 

そんなコートを着るな、という話でもある。でもこの話の本質は無為なのである。