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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

喫茶店で会いましょう

珍しい人からメッセージが入った。いつもその人の書いたものを読んでいて会ったことはないが連ねた文字のことを知っている人からだった。遠い異国で過ごすその人とはきっと会うことはないだろうと思っていたが喫茶店へ行こうというお誘いで、いつか会ってみたい人だったので急いで返事をした。約束を取り付け、会ってみたい人に会えることを嬉しく思った。

 

 晴れた日の朝、駅で待ち合わせをする。改札を下りた先にきっとその人だろうという人がいる。目線を投げられ受けとるとこの人だという確信に変わった。挨拶をして喫茶店に行く。

 

まだ誰もいない店内のはじっこに座りメニューを眺めながらぽつりぽつりと話す。
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初対面ではあるが綴られたその人の言葉を知っているので昔から知っているような不思議な懐かしさを感じる。育ってきた街のこと、今住む国のこと、食べるもの、私の知らない世界の話を聞く。

 

ケーキを食べながら、その人の飲むメロンソーダを見る。私も飲みたかったが外出先でアイスを食べると95%の確率でお腹を壊すのでやめておいた。鮮やかな緑はこれからの季節のような色だ。白のバニラアイスがとけていき優しい色になった。多分新しい時代が始まってもこの色は時を止めたままだろう。
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その人の言葉にたくさん励まされ私は今でも文字を綴る。ここで文字を書くための力をもらったのである。楽しいことも楽しくないことも何でも。この文字が誰かの役にたつとは思っていない。では何のために書いているか、何でもない人間が何でもない毎日を生きた記録なだけだ。でも何でもないだけに留めておくにはあまりにも毎日が輝いて豊かでドラマチックで時に腹立たしく絶望的なこともある。それは平凡という言葉には収まりきらないので書き綴る。

それを読んでくれる人がいるのはうれしい。なんの役にもたたない日常を生きた確認をしてもらった気がする。そんな文字上で寄り添ってくれた人なのだ。

 

平凡な人間なので会う価値のある人間だという自信がない。私などはひとりで部屋でスマホをポチポチしてるのがお似合いなのだが、素敵な喫茶店に連れ出したくれたことに感謝している。

そんな気持ちをたくさん伝えられたか分からない。ありがとうとかうれしいですじゃ足りないくらいもっと深い感謝の気持ちがあるのだがうまく言葉にできないのだ。こういうときは何と言えば伝わるのだろう。日本語が通じるのに伝えられないもどかしさを感じた。

 

茶店を出ると空が青くて初夏の陽気だった。次に会えることがあるかわからないけど、パスポートを持たない私がその人の住む異国に行くことはないけどまたいつか会えたらと話す。きっとまた会えると思っている。喫茶店で会いましょう。その日までどうかお元気で。
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