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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

肛門が痛くて寝込んだ日のこと

違和感に気付いたのは13時を過ぎた頃だった。

昨日は午前中だけ働きに出た。朝ご飯を食べトイレに行きいつもより息んだ。結果としてこれが良くなかったらしい。

シャワーを浴び休日の空いている電車に40分座って出社、座り仕事と立ち仕事を半分ずつくらいでこなし13時に終業。帰るために着替えて歩く。最寄り駅のデパートの地下でお昼のパンを買い電車に乗って帰ろうと駅のホームを歩いたとき気付いた。

 

おしりがいたい

 

このおしりの痛さは知っている。肛門の0~4時方向がちりちりと痛む。これは血栓性外痔核だ。年に1度か2度はこれになるのでこいつのことはよく知ってる。行きつけの中華料理屋さんで「いつもの」と言えば醤油ラーメンと餃子一皿、たたきキュウリが出てくるくらいの常連さがある。まぁ私にはそんな行きつけの店などないが。

私の肛門の傾向として血栓性外痔核は寒い季節になることが多いのだが、この暑さの中でもエアコンの効いた場所でけっこう冷えてしまったらしい。朝の息みと冷えのせいか、と敗因を分析する。放っておけば数日で痛みは引き肛門の横にぽこんとできた血豆のようなものも治るので、養生しようと思いながら駅からの道を歩いて帰った。

 

帰宅して明太子餅チーズピザパンを食べる。夕方実家に行き庭仕事でもやりますか、と出掛ける。実家に向かう前に巨大な坂道がある。この坂道は弱っているときにはキツいものがある。力むと肛門の痛みが強くなる。腹圧をかけないようそうっと坂を登って行った。

 

実家に帰ると父がミニトマトの苗を7つ、茄子の苗を2つ買ってきて「植えといて」と言う。この肛門の状況で農作業は良くないことくらいわかっている。血栓性外痔核はうっ血してできるものなのでしゃがみこんだ姿勢は肛門周囲に圧をかけうっ血を助長させる。

それでも苗を買ってきてしまったなら植えるしかない。土を耕し雑草の根をよける。肥料を撒き更に耕す。全ては土で決まるから…そんな声がどこからか聞こえてくる。ようさやってやろうじゃないの、と2時間近く土壌を作った。結果としてこれも良くなかった。

立ち上がったときに 「あ、やば」と思った。肛門が痛いのである。じんじんする。これは早々に農作業を終わらせた方がいいと思ったがこの段階でまだ苗を植えていないのだ。そうっとしゃがみながら苗を植え水をやる。

なんとか終わらせて家のなかに入る頃には「いててて」と悲痛な叫びをあげるほどだった。

横になってもジンジンと痛む尻。肛門。立っても座っても痛いのである。肛門の場所がこんなに明瞭にわかるとは思いもしなかった。今までの血栓性外痔核とは違う。もしかして裂けてる?とすら思った。いや絶対裂けてる。そんな痛みがある。

 

寝てても仕方ないので自分の家に帰った。血栓性外痔核の痛みには入浴がいい、とのことでお風呂に浸かった。この5月の異常な暑さの中お風呂に浸かるのは嫌だなと思いつつ湯船を跨ごうとすると肛門に激痛が走る。嘘でしょお風呂すら入れないのと絶望した。安静にしてても痛いものは動いたって痛いのだ。

どうにかして湯船に浸かる。お湯に浸かると少し痛みが和らいだ。このうっ血した部分の血行を良くして血腫の皮下吸収を促進させたい。湯船から出ようとするときまた肛門が痛んだ。痛みの緩和というのは一時的であとは絶望だった。風呂場の鏡でおしりを見たら頭を抱えたくなった。「これはな~あ~いつもよりでかい!」と唸ってしまった。

 

もうしんどくなって早く寝ることにした。22時。1番肌に優しいオーガニックコットンのパンツをはく。今ははくパンツひとつをとっても驚異なのだ。今日はもう疲れたよ。あまりにも痛いのでバファリンを飲んだ。効くといいが。うつ伏せになって寝た。バファリンは少し効いたのが動くと痛いが眠れるくらいに痛みを緩和してくれた。

 

朝目が覚める。絶望的な肛門の痛さは続く。もしかして腫れてるかとおしりを触るが血栓性外痔核だけがぽこっとしているので炎症所見がないことに安心する。それにしても痛いので今日はなにもしないことに決める。カーテンをしめひたすら眠る。

 

12時を過ぎるとさすがに寝ていられなくなったので起きて洗濯をする。かがんで洗濯物を取るのが大変だった。ひょんなことで腹圧がかかると肛門まできゅっとしてそれがまた痛みを強くさせる。もう嫌になってきた。寝て起きたら治ってるとかそういうことないかな、昨日の農作業は本当に良くなかった、とかそんな考えても仕方ないことばかり考えるのはとにかくこの痛みから逃れたいがためだ。

 

めめ(妹)にボラギノールの買ってきてくれと頼んだ。悲痛な叫びをエンターテイメントとして捉えるタイプの人間なのでボラギノールが今すぐ必要ということはなかなか伝わらなかったが、買ってきてくれた。ステロイドが入っているAの方だ。塗ったら少し楽になった気もする。あまりの痛さに食事がとれなくなってきたためバファリンも飲んで横になって時間が過ぎるのを待つ。ひりひりジンジン、ときどきチクンと何かに刺されたかのような痛さすらある。暗がりの洞窟でさ迷う私のからだ。肛門は洞窟の出口の光のように他とは違う色や気配を感じる。早く出て楽になりたい。数日で楽になるのはわかっているけどその数日すら耐えたくない。耐えられない。

 

明日の仕事は行けるのだろうか。そればかり考えている。休めない。肛門が痛くて休みますとは言えない。肛門の痛みで人間というのは動けなくなるものだと知った。今度誰かと闘わねばならなくなったら真っ先に肛門を攻撃しようと思う。もしかして人間の重心って肛門にあるのかもしれない。

 

新しい時代の初めての月が終わろうとしている。新しい時代もくそもない。そこにあるのはただの苦痛の延長戦。それでも生きていかねばならないのだ。(ダメなら病院に行く、行く病院の目星はついている、日曜日救急外来に行くほどの症状ではないため今日は様子を見たので心配しなくて大丈夫です)