ここから先は私のペースで失礼いたします

さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

過去を訪ねる旅

秋が来てようやく旅に出られる時節になった。海が見たいと思ったときにいつもは『見たことがない海』を見に出かけるのだが今年は失うものがあまりにも多く過去を訪ねる旅に出たかった。

大切な思い出が色褪せないうちにまたあの海を、と旅先を佐賀県唐津市に決めた。

 

今回の同行は曽我灯さん。

https://x.com/gaso_0131?t=Db2LOA2qDIQXXA7tScfK2Q&s=09

唐津にあるラブホも合わせて行く旅程を完成させ旅の記録写真をお願いした。レトロなラブホに興味がある人と出かけられるのはありがたいことである。

 

初日は福岡空港へ。
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福岡に住む人に会いにしばしば来ていた時期もあるので懐かしい気持ちになる。

博多、天神あたりをふらふらと歩いて他愛のない話をしたけどもあの頃見えた景色はがらりと変わり空港もすっかりきれいになっていた。f:id:sakamotwin:20241027210208j:image

夜のアーケード街は蒸し暑く東京の中野にいるみたいだった。どこも似たような街並みでどこにいるのか分からなくなってしまった。

冷たい飲み物を買って駅の切符売り場を見たらさよならの記憶は遠くただただ美しかったものとして手からこぼれていった。またいつかここで会えたら懐かしさに目を細めてしまうかもしれないけど今はすくい上げなくても大丈夫、大丈夫と思えるほど過ぎ去ってしまった時を感じた。

 

 

翌日は福岡市美術館大濠公園を経由して佐賀県へ。

力強い写真展で人の持つ魅力というものに引き込まれた。最近個々の人が持つ味わいというものに惹かれている。それぞれ違うことが良いので人っておもしろいものなのだなと楽しめるようになった。『その人が放つもの』を写真として見られて良かった。誘ってくれた曽我さんには感謝である。f:id:sakamotwin:20241027211457j:image
予期せず前川國男建築に出会えたのも嬉しかった。

その後大濠公園をゆったり歩いて駅に向かう。
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市内にこんな大きな公園と池があるのには驚いた。昨日とうって変わって爽やかな風が吹く。

九州に来るといつも思うのだが太陽に愛された土地だと思う。強くて柔らかい光がさす。

 

筑肥線に乗り唐津へ。
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市街地から田園風景を写す車窓が海に変わったときああやっとこの景色が見られたと嬉しくなった。佐賀へ来たという高揚感がふつふつとわいてくる。

 

唐津からレンタカーを借りて車を走らせる。

曽我さんが何気なくかけたインナージャーニーのグッバイ来世でまた会おうという曲があまりにも過去を引き連れてきた。

https://youtu.be/_0FTRrpQBSw?si=eeQ0YBdl6FJESps7

車通りの少ない市街地から、君外れた道を走る中、君の声を忘れたくはないよという歌詞がその通りで居なくなってしまった人の声をなんども思い返そうとするけども年々薄れていってしまう声。あぁそうだよな、忘れたくないよなってハンドルを握る。

 

父や母を助手席に乗せて、田舎の祖父母の家へ行く。待っている人がいたこと、会いに行く人がいたこと、同じ時間を共有する喜びがあること。元気だった?また来てね、元気でねと交わした言葉の数々。今となっては全てが尊くて眩しい時間だ。

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過去に繋がる道を走っているようだった。この先を走っても懐かしい人にはもう会えないと思うと少しだけさみしい気持ちになった。

このさみしさは私だけのもの。埋めるつもりも埋めてもらうつもりもない。この先もずっと私と共にある。あなたたちがいた温もりは替えの利かないもの。だからそれでいい。

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ぽつりぽつりと景色がかわり、のらりくらりと話をしながら知らない曲が流れてきて時間は進んでいった。

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風力発電の風車がゆったりとまわる。過去ばかり見ていることに気づいた。きちんと『今』を過ごさないと。過ぎた時間には戻れないけどちゃんと大切にしてもらってきたじゃない。忘れないで。

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目の前にある美しいものに触れていいのだし
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ここに来られたことを喜んでいいのである。
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きちんと自分の足で歩いてきたから


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ちゃんと私の時間として受け止めておこう。
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また来たいなここは。好きな場所を何度も訪れるほうが性に合ってるのかもしれない。

 

七ツ釜を離れホテルへ向うとき曽我さんがまたおもしろい曲を流してくれて笑かされた。人の何気ない行動にこんなに救われるものなんだと驚いた。さりげなく寄り添う空気感をありがたく受け取った。f:id:sakamotwin:20241027215634j:image

ホテルは海の見える部屋で、夜風を浴び波の音を聞いていた。今だけあればいいから終わらないでほしいと思えるのは旅の夜の醍醐味だろう。日常というものを好いているけど、たまにある旅の夜というのは際立って良いと思ってしまう。1ヶ月くらい旅に出て全ての夜の感じ方を記録してみたい。1週間位したら飽きてしまうものなのだろうか。

 

深夜に目が覚めてベランダから月を見ていた。いつか居住地を変えることができるなら佐賀に住んで休みの日は七ツ釜に散歩に出かける日常がほしい。
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曽我さんが夜明けを見ましょうとのことだったのでホテルの屋上から夜が明けるのを見に行った。f:id:sakamotwin:20241027221751j:image

薄闇から燃えるような光が差し込んでくる。f:id:sakamotwin:20241027221841j:image

刻一刻と色を変える空。

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全てなくなったかのような静寂な夜明けしかなかった。
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ぷかぷかと流れる雲を見つめる。
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よく「お迎えがくる」と言うけども、こんな雲に優しく包まれて思い入れのある土地を空から流れるように旅してお別れをしていくお迎えであってほしいと思った。

 

病院での仕事でお迎えの時間を察したら私はその人の髪を洗っている。その髪がお迎えの雲に乗ったとき風になびいて心地よい時間となってほしいと強く思った。苦しさや悲しみのない世界のような空を見られてよかった。あちら側に大切な人が増えてしまったけどもこちら側にも大切なものがあるってちゃんとわかってよかった。来世があるかなんて分からないけどまたこの雲に乗って来世を始められたらいいのでは。

 

最終日は念願のラブホに行き重要文化財としてもいいのではないかというせり上がり回転ベッドを体験した。高さがあるので高所恐怖症の人には慎重に乗ってほしいベッドである。

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今日という日まで現役で稼働するために維持していてくれるホテル側には敬意と感謝しかない。レトロラブホの荘厳さを体験できる時代の瀬戸際だと思っているから気になるホテルには積極的に行っておきたいと誓いを改めた。

 


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↑撮影 曽我灯

楽しかった時間を記録してくれた曽我さんには感謝しかない。滞在中歯を出してにこにこ笑ってる姿が写真に収められていてちゃんと今を生きてる気がしてほっとした。


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さよなら唐津の海。さよなら過ぎ去った眩しい光たち。またいつもの日常を大切に生きるよ。だからこの光を見たらもう死んでもいいかなって思える光景をこれからもたくさん見ていくよ。

 

長い長い夏

長い長い夏が終わった…(と信じたい)。

今年も暑かった。なんど暑さで死ぬかと思ったことか。夏の暑さと日差しでバテてしまう体質なので地獄のような7月〜9月だった。

もう外に出るのは諦めてほとんど家の中で過ごしているため楽しみが少ない。楽しみといえばベランダで育てている植物の成長を見守ることだ。

 

現在さかもベランダでは柚子の木、みかんの木、バジル、ペパーミント、沈丁花の育成に力を入れている。

 

実家ではモロヘイヤ、ミニトマトとひまわり(種から)を植えた。ミニトマトは管理不足のため2粒しか収穫できなかったが、モロヘイヤは勝手にメキメキ育ち背高が1メートルほどになっている。f:id:sakamotwin:20240927105032j:image

モロヘイヤ好きの姪が喜んで食べている。

ひまわりは5輪ほど花を咲かせたので「かわい〜」と思いながら見ている。種から育てると愛着が増す。

 

めめちゃんがすいかを買ってきた。「JAのだからうまいはず」と意気込んでいる。JAに対する絶対的な信頼がある。食べてみたら美味しかったので種をさかもベランダのみかんの木の鉢に放ってみた。

 

数日後一斉に芽を出したため間引きし1本だけ育ててみることにした。

この真夏の日差しを浴びニョキニョキと伸びるスイカのつる。3週間ほどすると黄色い花を咲かせた。

「受粉すれば実をつけるかも」

と思ったが、めんどくさいのでほっといたら蝶々が来て受粉してくれたらしい。

ある日実がついていた。

さかもツイン爆笑。

そんなうまい話あるんかいなって。

 

ピンポン玉大のすいかが4つなり、みるみるうちに手のひら大になった。収穫のタイミングをめめちゃんが調べたところすいかの縞々が濃くなったら収穫していいとのこと。

ていねいにひっくり返したりすいかの実の下にクッション材をひいたりしてすいかの成長を待った。

日に日にすいかになっていくのがかわいい。ホームセンターで肥料を買ってきて足したり毎日の水やりをして面倒をみた。


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↑みかんの木のわきから生えるすいか


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↑ゴロンとなっているすいか

 

昨日涼しくなってきたしすいか食べる季節も終わるから思い切って収穫しようかということになった。f:id:sakamotwin:20240927110213j:image

まぁどうせ鉢植えだし、中は真っ白のウリみたいなのができてるんじゃない?と思って、何も期待してなかった。


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きゃっ…


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ちゃんと赤い!

 

ウケる!


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じゃあ食べてみようか、と口にしたところ「甘い」のである。

え、奇跡?

決してフルーツパーラーで箱入りになって売られているようなすいかのような味ではないけどスーパーに売ってるすいかくらいには美味しい。ちゃんと食べられることがまずすごいのに甘みがしっかりあるのがウケる。収穫したてなのでみずみずしいし。

手のひら大のすいかはさかもツインがあっという間に完食した。

「え〜こんなことなら来年はベランダ一面すいか育てたほうがいいな」と思った。

 

ちなみに実家ではかぼちゃの種を適当に植えたところ夏みかんの木を伝いデカかぼちゃが成っていた。
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これは甥が収穫し持っていってしまったためどんな味になったのかは知らない。なかなかいい見てくれをしたかぼちゃだった。

 

来年は瓜系の育成に注力したい。

長い時間をかけて味わう楽しみをくれた夏よ

ありがとう。でも2度と来なくていいと思ってるよ。

 

 

 

 

さかもキャッツ通信

8月8日、猫の日

猫はかわええ、まじで尊い生き物。全ての猫ちゃんに幸あれと祈って過ごしている。

 

さかもハウスには可愛い3ニャンがいる。

白猫さかもゆんゆん丸

グルメ王と呼ばれる猫。グルメすぎてフツーのカリカリは食わんと言うスタンスでちゅーるやふりかけやおやつのトッピングが無いと食が進まない。水分補給ジェリーのトッピングが割と気に入ってる。可愛い。

 

つきちゃん

むっちりボディ。甘えん坊ボーイなので撫でて〜とムーンムーン鳴くので撫でるとシャッと攻撃してくるがやっぱり撫でて欲しいとムーンムーン鳴くタイプ。食いしん坊でボス猫気質。可愛い。

 

蘇我チャーフィールド

あまり喋らないけどたまにダミ声かすれ声でヒャーウーと鳴く。無表情で何を考えてるかちょっとよくわからない。が人との距離は近く一緒に寝たり甘えたりする。つきちゃんのことは怖くていや。人間からするとなんか変な猫って印象。可愛い。

 

猫は毎日生きている。

その様子をねねに見せるために漫画にしてみた。たまにねねも漫画にして猫の様子を教えてくれるので漫画が溜まってきた。じゃあってことでXのアカウントを作って不定期にアクの強い漫画を投稿してる。チェックしてくれると嬉しいー。

https://x.com/sakamocats?t=it1evQQh7NvF51AAACHg5g&s=09

可愛い。

 

ディスコルームへようこそ

眩しく光るディスコのネオン。部屋の扉を開けた瞬間突き刺す光に驚いて一度扉を閉めた。一瞬で心奪われる部屋はそうそうない。ここはそんな部屋。興奮で震える手て扉を開けて息を呑みながら入室した。

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回るベッドにミラーボール、ルーレットのような天井装飾と鏡。
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改定される前の風景法で可能な限りの鏡を使い込んだお部屋はムードと煌めきとワクワクさを詰め込んでいる。

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ミラーボールを回していると数十秒に一度強烈な光が目を刺してくる。
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その眩しさに笑ってしまった。光を浴びたギズモみたいに『まぶちぃ』と言ってしまう。


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写真が撮り切れないほど魅惑的なお部屋。


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回転ベッドも現役で回ります。

スイッチがベッドヘッドではなく、ベッドの縁についているので上がり下りするときにうっかりおしりで踏んでしまいなんか恥ずかしかった。


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ベッドヘッドの照明板は全部きちんと点灯するのだ1つずつゆっくり点灯を確認。全点灯のときの光量ははんぱない。
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お好きな色をお選びください。
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消灯して窓から光を入れれば赤いベッドとおふとんがそれはもう真紅に光るのでどうやっても美しい部屋でございます。
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空調はしっかりしているし、お掃除も丁寧なので過ごしやすいホテル。カラオケもあるし、ウォーターサーバーもあるし親切ですね。
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アメニティも揃ってます。
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なぜかお手洗いの仕切りがカーテンですが。
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ちょっとした病院感がある笑
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お風呂場は赤いです。
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壁の模様が強い!!
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もう鏡が多すぎて本来あってはいけない映り込みを諦めましたわ…
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このポーズ相当体幹強くないとできないわよね。
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お風呂場とベッドルームは若干透けるタイプです。


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個性のあるラブホに来たときのこの高揚感はたまりませんね。また行きたくなるホテルでした。

https://x.com/sakamotwin/status/1808749083672338780?t=4BnSpVT8eNXz1-PQIXhf9A&s=19

蘇我チャーフィールド

一年前の今日、突然現れた茶トラの野良猫?迷い猫?を保護した。

外に慣れていなそうで人を見るとかまってと寄ってくる。どう言うわけか走るバイクに向かって動き出したり車が来ても逃げたりしない。

そんな様子を見てこの猫は外にいちゃ駄目なタイプと感じねねが抱っこをして家に連れ帰った。意外とすうっと捕まったのだった。

 

家に帰り猫を洗いゆんゆん丸とつきちゃんとは別の部屋へ隔離。

部屋に閉じ込められた茶トラの猫。扉を開けて撫でたら嬉しすぎてよだれを垂らしながらブルルルルルゴロゴロ~と転がっていた。

捕獲後動物病院に連れて行くと4キロの雄猫、推定5〜10歳と言う事だった。

迷子なら飼い主へ返す、飼い主が見つからないなら家で飼うと決めたが飼い主が見つからず現在はさかもツインハウスの猫として茶トラ猫は過ごしている。

猫が一匹増えた!とさかもツインはてんやわんや。猫も誰か知らないやつがいると環境の変化にストレスを感じていたと思う。

俺は一番かわいい猫ですよね?の顔をするゆんゆん丸。

茶トラを追いかけて怒られたつきちゃん。

屋外の生活が過酷だったのか家に来てゴロゴロする茶トラ猫。

茶トラ猫、名前がサン(3番目の猫の意)かチャと呼ばれていた。が、段々チャッツとかトラちゃんとか色んな名前で呼ばれ出して今は蘇我チャーフィールドが正式名称として落ち着いてる。呼ぶ時はフルネームではなくチャー、チャーフィーと呼ばれてる。

外に自由に出ていたことがあるのか洗濯物を干すために窓を開けるとサーーーと脱走することが多くその度にシャンプーをしている。

ニンゲンはなぜここに来てわしを撫でないのか?と言う顔をしている蘇我チャーフィールド。

ベッドで一緒に寝たり撫でてくれーと甘えてきたり脱走癖がある事以外はとても可愛い猫なのだ。

いや、早朝に寝てるニンゲンの髪の毛を噛みしゃぶったり、顔特に目元をチョイチョイつついたり、耳にマズルを押し込んできたり、尻を押し付けてきたりやめてくれーと思う行為を沢山してくるな。可愛いのだがそれはちょっと自粛してくれるかい?

やめられませんよねと言う顔のチャーフィールド。

3ニャンズはそこまで仲良くないが共存はしてくれてるのでおのおの気ままに暮らしていけるのがいいねと思って過ごしている。

さかもツインは未婚なのでこどもの日とかそういうイベントとは無縁だが可愛い猫たちのお家記念日は特別な気持ちになるのだった。

 

遺書を読む

敬愛する写真家の曽我灯さんの写真集『遺書』が完成したとのことで早速手に取らせてもらった。


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https://x.com/gaso_0131/status/1799773157769072648?t=S_hUrmSrJ-tCPgmptaOJjA&s=19 

 

人の遺書というものは今まで読んだことがない。まして多少なりとも人となりを知る人の遺書を読む日が来るなんて思ったこともなかった。

手に取る日の数日前から遺書を読むことを怖く思う瞬間も出てきた。これを読んでしまったら曽我さんがいなくなることを許容してしまうようで。

いや、もしものときのために残しておく言葉は必要なんだけども、それを書いてしまったら現実になるのではという死の恐怖から目を背けているだけなんだよな。本当は誰しもが死への準備をしておかなければならない。明日を今日と同じように迎えられる確約なんてないし。

遺書を取りに行く電車の中で深呼吸を繰り返した。深く深く、息をするのを忘れてしまうような緊張がずっと走っている。

 

とある和室のラブホで遺書手にしを読んだ。
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写真集をパラパラとめくる。

どの写真も表情豊かで話し声や息遣いが聞こえてきそう。この場にいなくとも音や熱、匂いが伝わる写真たち。ページをめくるたびに目を細めた。曽我さんの写真はいいな、素敵だなって。

 

そして直筆の遺書を読み始めた。

心の内にここまで触れていいのか、読むのを少し躊躇いながらも読み進めずにはいられなかった。

心臓の後ろにある僅かな隙間に心があるとしたらそこに真っ黒な悲しみを背骨に向かってだらりと塗り込まれていくような感覚だった。

それがとても苦しくて涙よりも先に嗚咽が出てしまう。息をしないとのみ込まれてしまう。

この遺書だけで曽我さんのこと全てわかったわけでない、わかったような言い方もしたくない。曽我さんの心は曽我さんだけの心なのだから私なぞが陳腐な言葉で語るべきでないのだが、あなたの言う灰色の世界というものを少しだけ見た気がします。

 

それはたいそう暗かったでしょうに、、と遺書を読み終えた。そしてまた写真集をペラペラとめくる。

言葉の重さが写真の『生』を引き立てる。こんなに生きた時間に囲まれているのにどこか寂しさを感じさせる。

 

人の想いはその人だけのもの、という忘れがちだけど大切なことをずっしりと受け止めた。

読み終えたあと、明日には曽我さんがいなくなってしまうのではという漠然とした不安と喪失感に襲われる。掴んでいないと消えてしまいそうな人を掴むのはこちらのエゴであるということをわかってはいても今だけは掴ませてと思った。

自分の不安解消のために声をかけたり手を取る愚かさよ。私の中にあるそれはなんてケチでつまらないものなのか。そうやって自分の無力さを思い知る。

その人自身を尊重するなら取るべき行動を考えねばならぬ。

本当に本当に考えさせられる一冊だった。ここ数年で見た作品の中で1番心打たれたと思う。

 

 

帰りに実家に寄り、故人の日記を少し読んだ。

当たり前の日常を慈しむ言葉が並ぶ。亡き後はこうやって残されたものに縋るしかない。喪失の恐ろしさを知っているからこそ次の喪失が怖いのだ。

この日常から何一つ失いたくないよ今だけはそんなわがままも聞いてほしい。けどそれは無理なので子どものようにうえ〜んと声を上げて泣くことしかできない。

 

遺書を読んでから毎日泣いている。

多分明日からは大丈夫だろう。あなたに安らかな眠りが訪れるまでこの遺書は私の心の中にずっとおいておきます。

 

 

 

曽我灯『遺書』

https://sogatomoru.base.shop/?s=09

いつまでたっても忘れたくないよこの日のことは

◯自分にとって好きな場所、大切な場所というのはいくつかあって、それはできれば敬愛する人と共有したいと思っている。

 

青森県にあるホテルナポレオンは初めて会うフォロワーさん(ラブホテル写真家那部亜弓さん)と一緒に行ってお目当ての部屋に入れたときが原体験で、あの感動と異様な高まりは忘れられない。

 

その後妹、かぽさんかんさきさんご夫妻と再訪しているが、皆目をまんまるにして「すごいホテルだ…」と驚かれていた。初めて訪問したときの追体験をしているようで、ナポレオンに行ってみたい人とナポレオンに行き、ナポレオン初対面の瞬間を共有するのは喜ばしい。

ホテルナポレオン↓


ホテル ナポレオン

 

とはいえアクセスはそこまで良くない。八戸駅から車で30分ほど。レンタカーが必須かなと思われる。何回か行っているのでだいぶハードルは下がったが、行くのはそれなりの気合を入れないと難しい場所である。一緒に行きましょと誘うとき「遠いですが大丈夫でしょうか?」と断りを入れるようにしている。

 

 

◯年始に敬愛する写真家さんの個展があった。わ!展示だ展示だ!絶対行くと意気込んで見に行った。

https://x.com/gaso_0131?t=IHkT6RsRuyvC7aTPkvticw&s=09

曽我灯さん。

ずいぶん前から活動をSNSで拝見しており、生々しいというか空気のような場所から写真を撮るすごい人と思っていたのでいつかお会いして写真をお願いしてみたかった。

が、SNSのメッセージで「写真撮ってくだせぇ!よろしゅうおたのもうします」って急に言うのも恥ずかしい。なんて書けばいいのかわからない。それができなくてずっときてしまったのでもしお会いできたら直接撮影を依頼するぞと、まるで先輩に告白する女子中学生みたいなテンションで出かけた。

 

◯展示会場につくとご本人様がいらっしゃる。遠目でもわかる。一旦引きたくなるくらいの緊張をしながらも展示を見た。

どの写真も生きている音が聞こえるような、まるで見ているこちらがモデルさんの恋人のような気分にさせられる親しみの時間を切り取られていた。

うわー、全部好きだよこの写真と思うような写真で素晴らしかった。

 

一通り見たあと、お声をかけてホテルナポレオンのライターをお渡ししたところナポレオンは行ってみたいとのことだった。ふぅん、じゃあ一緒に行きたいなと思ったことがこの旅のきっかけである。

 

◯一言先に断っておくと、私の場合ラブホに行くというのは「ラブホテルという空間を鑑賞し楽しむ」という目的なのでエロはない。誰とラブホに行こうがなんのエロも発生したことがない経歴が確かにある。なので期待した方はすみません。なにもないです。

 

◯色んな段取りがついたところで、出発当日の朝新幹線が止まった。まあ、30分くらいで動くだろと思っていたら午前中いっぱい運休とのことだった。

とほほ〜という感じである。この日は昼頃八戸について海に行き夕刻曽我さんと合流してナポレオンではないホテルに行く予定だった。

予定は全部変更となり新幹線が動くのをじっと待った。幸い午後には動き始めなんとか夕方には八戸についたので、迫る夜の気配に追われながら海へ向かった。

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八戸の海はいい。人気が無いのがまたいい。青から紺へ色を変えていく中写真を撮って宿へ向かった。

 

曽我さんも無事に八戸につき、翌日ナポレオンに行きましょうということで初日のトラブル旅程をなんとか終えた。

 


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本八戸駅で待ち合わせをしてナポレオンへ向かう。昨日のことなどをポツポツと話して案内看板を通り過ぎナポレオンに到着した。

幸いお目当ての部屋が空いており、「どこから入りますか?」とテンション高めに話し合う。

赤い部屋、とのことでルイ13世からの入室となった。

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さぁさ、どうぞどうぞと先を譲り合っての入室。

部屋は照明を落しており暗い。先がどうなっているかわからない廊下をゆっくり進むと

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我々の宮殿がお目見えですわよ!

何度見てもいい、何度来てもいい素敵なお部屋である。赤の迫力、カーテンの優雅さ、丸ベッドの荘厳さ、もうため息しか出てこない。

曽我さんも驚かれていてその顔を見られたらこの旅の目的はもう達成されたようなものである。ひとりでこの荘厳さを受け入れるのもったいない。

独り占めするというのもいいのかもしれないけど。

 

写真を撮りながら部屋の感想を話し、この部屋の好きなポイントをじっくり見つめた。f:id:sakamotwin:20240428191649j:image

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↑曽我さんが撮ってくれたルイ13世の部屋を満喫する私

 

趣味の火曜サスペンスごっこの写真を撮っている間、曽我さんはカラオケをしていたのだが、この空間で聞くカラオケはとても良かった。旅先でスナックからもてれくる昭和歌謡曲を聞くときのような旅情感を味わえた。音楽があるというのはいいものである。部屋に命が宿ったみたい。新たな気づきを得られ心地よい歌声を聞きながらベッドに横たわって死んだふりを続けた。

 

 

◯一通り部屋を満喫して、ナポレオンの部屋に移動する。

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いつ来ても私の好きな空間だ。真ん中にお風呂がありベッドルームは端にある。浴室が主役のお部屋だ。ガラス窓で透けるお風呂はなんともなんとも。雪国の人の心の内の燃えあがるエロスだ。。
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赤い壁と青のバスタブの対比がたまらない。こんなカラーリングするセンス、何を食べたら育まれるのか教えてほしい。

 

◯馬車をモチーフにしたベッドも素晴らしく、多分これは布団の差し色が赤かったということで絶叫しているところだが、この写真には相当笑かされた。
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曽我灯(敬称略)…末恐ろしい男よ…。

こんなアホみたいな瞬間よくぞ切り取った。正直こんな瞬間を写真に撮る人などいるとすれば「ねねの変な写真撮ってやろ〜」という妹くらいしかいない。腹の中から一緒のやつと同じ距離感感覚でこれを切り取るとは。

もう嬉しくなっちゃいましたね。ラブホに行って楽しい瞬間をそのまま真空パックして思い出をいつでも新鮮に振り返られるみたいな。何を喋ったか鮮明に思い出せるよ。あの時間が確かにあったという記録は大切。

こうやって楽しんでるんだという見方もできるし、こんなに楽しんだなら明日からまた頑張れると思えるし。撮ってもらった写真全てが生きる糧です。

 

 

◯時間も夕方にさしかかりナポレオンは退出。また来ることを誓う。

曽我さんが「ルイ13世のお部屋は、本来の目的で使うべきお部屋だと思います」と言った。同感である。そのことがずっと頭から離れなくてこのブログを書いている今ですら「本来の目的」をどうしたら達成できるか考えている。が、恋愛というものがもう分からなくなってしまって久しい。まずは恋愛から、という話なのだが難しすぎるのでずっとなんとかなってくれと漠然と願っている。

 

近くの直売所で軽食を買い、もう1軒ラブホへ向かう。

 

今回の旅のメインテーマはナポレオン。

裏テーマはこちらのホテル。ひっそりと営業されているようなので名前は出さないでおく。

以前行ったら女性同士はダメと断られたことがあり、何としても入りたいなら男性と行く必要があった。曽我さんの了承もありこちらのホテルに行く。なんとお目当てのお部屋が空いており半狂乱になりながら車庫入れ、入室。


あ…ぁ
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文化〜ッッッ!文化でございます!昭和の、昭和のエロスとロマンスでございますぅっっ。ありがとうございます。来て良かった…ありがとうありがとう。もう思考回路は歓喜の道しか残されてない。

 

この世には私の知らない世界がまだまだたくさんあってそれを知ったり体感したりすることの刺激はたまらなく心地良い。
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曽我さんがナチュラルに入れた100円で何が起きたかは秘密だ。これを知らないで人生を終えなくてよかった。言い過ぎじゃない、本当にそう思ってる。

 

ちょっとした屋外エリアのある部屋なので外でパンを食べながらここに来られたことを噛みしめる。帰りたくないな。ずっとここで遊んだりゴロゴロしていたいよ。

 

◯とはいえレンタカーの返却時刻も迫り帰る時間となった。帰り道八戸駅で迷いバタバタしながらの解散となった。曽我さんは旅を続けるとのことで駅にすっと消えていった。旅が似合うスナフキンみたいな人である。行く先々で空気のように溶け込み風のようにいなくなってしまった。

 

子どもの頃ムーミンたちが寂しがる中去っていくスナフキンを非情な男だと思って見ていたが、大人になるとスナフキンの気持ちもわからなくはない。旅がなければ生きてはいけない。

 

 

◯私自身かなり偏屈で自己中心的、容赦なく人を振り回すことがあるので道中曽我さん疲れなかったかしらと少し心配になった。でも年に1度くらいはまたこうしてナポレオンに行きたいと思う。また誘ってみよう。

 

人とラブホテルに行く楽しみを覚えてしまった。ひとりで行くのも楽しいのだが、共有することに楽しさを覚えてしまうとは欲張りなものだ。一緒に行ってくれる人がいるありがたさを噛みしめる。いつまでたっても忘れたくないよこの日のことは。