ここから先は私のペースで失礼いたします

さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

いつまでたっても忘れたくないよこの日のことは

◯自分にとって好きな場所、大切な場所というのはいくつかあって、それはできれば敬愛する人と共有したいと思っている。

 

青森県にあるホテルナポレオンは初めて会うフォロワーさん(ラブホテル写真家那部亜弓さん)と一緒に行ってお目当ての部屋に入れたときが原体験で、あの感動と異様な高まりは忘れられない。

 

その後妹、かぽさんかんさきさんご夫妻と再訪しているが、皆目をまんまるにして「すごいホテルだ…」と驚かれていた。初めて訪問したときの追体験をしているようで、ナポレオンに行ってみたい人とナポレオンに行き、ナポレオン初対面の瞬間を共有するのは喜ばしい。

ホテルナポレオン↓


ホテル ナポレオン

 

とはいえアクセスはそこまで良くない。八戸駅から車で30分ほど。レンタカーが必須かなと思われる。何回か行っているのでだいぶハードルは下がったが、行くのはそれなりの気合を入れないと難しい場所である。一緒に行きましょと誘うとき「遠いですが大丈夫でしょうか?」と断りを入れるようにしている。

 

 

◯年始に敬愛する写真家さんの個展があった。わ!展示だ展示だ!絶対行くと意気込んで見に行った。

https://x.com/gaso_0131?t=IHkT6RsRuyvC7aTPkvticw&s=09

曽我灯さん。

ずいぶん前から活動をSNSで拝見しており、生々しいというか空気のような場所から写真を撮るすごい人と思っていたのでいつかお会いして写真をお願いしてみたかった。

が、SNSのメッセージで「写真撮ってくだせぇ!よろしゅうおたのもうします」って急に言うのも恥ずかしい。なんて書けばいいのかわからない。それができなくてずっときてしまったのでもしお会いできたら直接撮影を依頼するぞと、まるで先輩に告白する女子中学生みたいなテンションで出かけた。

 

◯展示会場につくとご本人様がいらっしゃる。遠目でもわかる。一旦引きたくなるくらいの緊張をしながらも展示を見た。

どの写真も生きている音が聞こえるような、まるで見ているこちらがモデルさんの恋人のような気分にさせられる親しみの時間を切り取られていた。

うわー、全部好きだよこの写真と思うような写真で素晴らしかった。

 

一通り見たあと、お声をかけてホテルナポレオンのライターをお渡ししたところナポレオンは行ってみたいとのことだった。ふぅん、じゃあ一緒に行きたいなと思ったことがこの旅のきっかけである。

 

◯一言先に断っておくと、私の場合ラブホに行くというのは「ラブホテルという空間を鑑賞し楽しむ」という目的なのでエロはない。誰とラブホに行こうがなんのエロも発生したことがない経歴が確かにある。なので期待した方はすみません。なにもないです。

 

◯色んな段取りがついたところで、出発当日の朝新幹線が止まった。まあ、30分くらいで動くだろと思っていたら午前中いっぱい運休とのことだった。

とほほ〜という感じである。この日は昼頃八戸について海に行き夕刻曽我さんと合流してナポレオンではないホテルに行く予定だった。

予定は全部変更となり新幹線が動くのをじっと待った。幸い午後には動き始めなんとか夕方には八戸についたので、迫る夜の気配に追われながら海へ向かった。

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八戸の海はいい。人気が無いのがまたいい。青から紺へ色を変えていく中写真を撮って宿へ向かった。

 

曽我さんも無事に八戸につき、翌日ナポレオンに行きましょうということで初日のトラブル旅程をなんとか終えた。

 


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本八戸駅で待ち合わせをしてナポレオンへ向かう。昨日のことなどをポツポツと話して案内看板を通り過ぎナポレオンに到着した。

幸いお目当ての部屋が空いており、「どこから入りますか?」とテンション高めに話し合う。

赤い部屋、とのことでルイ13世からの入室となった。

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さぁさ、どうぞどうぞと先を譲り合っての入室。

部屋は照明を落しており暗い。先がどうなっているかわからない廊下をゆっくり進むと

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我々の宮殿がお目見えですわよ!

何度見てもいい、何度来てもいい素敵なお部屋である。赤の迫力、カーテンの優雅さ、丸ベッドの荘厳さ、もうため息しか出てこない。

曽我さんも驚かれていてその顔を見られたらこの旅の目的はもう達成されたようなものである。ひとりでこの荘厳さを受け入れるのもったいない。

独り占めするというのもいいのかもしれないけど。

 

写真を撮りながら部屋の感想を話し、この部屋の好きなポイントをじっくり見つめた。f:id:sakamotwin:20240428191649j:image

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↑曽我さんが撮ってくれたルイ13世の部屋を満喫する私

 

趣味の火曜サスペンスごっこの写真を撮っている間、曽我さんはカラオケをしていたのだが、この空間で聞くカラオケはとても良かった。旅先でスナックからもてれくる昭和歌謡曲を聞くときのような旅情感を味わえた。音楽があるというのはいいものである。部屋に命が宿ったみたい。新たな気づきを得られ心地よい歌声を聞きながらベッドに横たわって死んだふりを続けた。

 

 

◯一通り部屋を満喫して、ナポレオンの部屋に移動する。

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いつ来ても私の好きな空間だ。真ん中にお風呂がありベッドルームは端にある。浴室が主役のお部屋だ。ガラス窓で透けるお風呂はなんともなんとも。雪国の人の心の内の燃えあがるエロスだ。。
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赤い壁と青のバスタブの対比がたまらない。こんなカラーリングするセンス、何を食べたら育まれるのか教えてほしい。

 

◯馬車をモチーフにしたベッドも素晴らしく、多分これは布団の差し色が赤かったということで絶叫しているところだが、この写真には相当笑かされた。
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曽我灯(敬称略)…末恐ろしい男よ…。

こんなアホみたいな瞬間よくぞ切り取った。正直こんな瞬間を写真に撮る人などいるとすれば「ねねの変な写真撮ってやろ〜」という妹くらいしかいない。腹の中から一緒のやつと同じ距離感感覚でこれを切り取るとは。

もう嬉しくなっちゃいましたね。ラブホに行って楽しい瞬間をそのまま真空パックして思い出をいつでも新鮮に振り返られるみたいな。何を喋ったか鮮明に思い出せるよ。あの時間が確かにあったという記録は大切。

こうやって楽しんでるんだという見方もできるし、こんなに楽しんだなら明日からまた頑張れると思えるし。撮ってもらった写真全てが生きる糧です。

 

 

◯時間も夕方にさしかかりナポレオンは退出。また来ることを誓う。

曽我さんが「ルイ13世のお部屋は、本来の目的で使うべきお部屋だと思います」と言った。同感である。そのことがずっと頭から離れなくてこのブログを書いている今ですら「本来の目的」をどうしたら達成できるか考えている。が、恋愛というものがもう分からなくなってしまって久しい。まずは恋愛から、という話なのだが難しすぎるのでずっとなんとかなってくれと漠然と願っている。

 

近くの直売所で軽食を買い、もう1軒ラブホへ向かう。

 

今回の旅のメインテーマはナポレオン。

裏テーマはこちらのホテル。ひっそりと営業されているようなので名前は出さないでおく。

以前行ったら女性同士はダメと断られたことがあり、何としても入りたいなら男性と行く必要があった。曽我さんの了承もありこちらのホテルに行く。なんとお目当てのお部屋が空いており半狂乱になりながら車庫入れ、入室。


あ…ぁ
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文化〜ッッッ!文化でございます!昭和の、昭和のエロスとロマンスでございますぅっっ。ありがとうございます。来て良かった…ありがとうありがとう。もう思考回路は歓喜の道しか残されてない。

 

この世には私の知らない世界がまだまだたくさんあってそれを知ったり体感したりすることの刺激はたまらなく心地良い。
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曽我さんがナチュラルに入れた100円で何が起きたかは秘密だ。これを知らないで人生を終えなくてよかった。言い過ぎじゃない、本当にそう思ってる。

 

ちょっとした屋外エリアのある部屋なので外でパンを食べながらここに来られたことを噛みしめる。帰りたくないな。ずっとここで遊んだりゴロゴロしていたいよ。

 

◯とはいえレンタカーの返却時刻も迫り帰る時間となった。帰り道八戸駅で迷いバタバタしながらの解散となった。曽我さんは旅を続けるとのことで駅にすっと消えていった。旅が似合うスナフキンみたいな人である。行く先々で空気のように溶け込み風のようにいなくなってしまった。

 

子どもの頃ムーミンたちが寂しがる中去っていくスナフキンを非情な男だと思って見ていたが、大人になるとスナフキンの気持ちもわからなくはない。旅がなければ生きてはいけない。

 

 

◯私自身かなり偏屈で自己中心的、容赦なく人を振り回すことがあるので道中曽我さん疲れなかったかしらと少し心配になった。でも年に1度くらいはまたこうしてナポレオンに行きたいと思う。また誘ってみよう。

 

人とラブホテルに行く楽しみを覚えてしまった。ひとりで行くのも楽しいのだが、共有することに楽しさを覚えてしまうとは欲張りなものだ。一緒に行ってくれる人がいるありがたさを噛みしめる。いつまでたっても忘れたくないよこの日のことは。