ここから先は私のペースで失礼いたします

さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

風呂屋で過ごした8時間のこと

先日おもしろい漫画を読んだ。 

 

まんしゅうきつこさんの湯遊ワンダーランドという漫画である。

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https://www.amazon.co.jp/%E6%B9%AF%E9%81%8A%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89-%E3%81%BE%E3%82%93%E3%81%97%E3%82%85%E3%81%86-%E3%81%8D%E3%81%A4%E3%81%93/dp/4594079563
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まんしゅうきつこさんが弟のやっちゃんに「汗をかけ」と促されて銭湯に通うという漫画だ。

 

女が銭湯に行くだけの漫画ではない。出てくる登場人物皆クセがありおもしろい。ねねは特にやっちゃん(弟)が好き。やっちゃんが変な髪型にしてしまった話がとても好きだ。

住んでいる建物もおかしい。とり憑かれている。この本は正気でおかしい。わざとおかしく描いたりとかじゃなくて、おかしいことをありのまま正気で受け止めている。おかしいとは何か?おかしいと感じたときからおかしいのであって本人たちがおかしいと思わなければおかしくないし正気なのである。

まんしゅうきつこさん自身の風呂に入るという描写もおもしろい。これはエッセイ漫画のように見える正気と狂気の境目のほのぼのギャグ漫画である。

あまりにもおもしろくて毎日繰り返して読んだ。そしてねねも風呂屋に行こうと思った。

 

ちょうど都内で研修があり、午後は休みとなったためスパラクーアへ行った。


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雨の降る重い空気に朝からとてもだるく座っているのも辛かった。研修内容もなかなかに気持ちを重くさせるものだったので汗を流してスッキリしたかった。

最近だるい日がしばしばあり多分自律神経が調子悪いんではないかと思っている。こういう日は30分たりと同じ姿勢でいられないくらい身体が変な感じがする。マッサージに行ったりもするがスッキリしない。

家の風呂は狭いので週1ペース、あとはシャワーだ。

風呂屋は近くにないのであまり行かない。もともと汗かきでない上に汗をかくような運動もしていないので普段からほとんど汗をかかない。夏はすぐバテる。よし、汗をたくさんかいてこようと気合いを入れた。

 

14時にラクーアに着く。

まずは身体の重さを下ろしたい。ぬるい湯にじんわり浸かり身体が弛んだところで1度出た。

疲れもあったので、仮眠スペースで寝た。スッキリ目覚めた。朝のだるさは消えていた。おやつを食べて再び風呂場に戻る。

お湯に浸かりほっとしたところでサウナを目指す。サウナは当たり前だが暑かった。汗をじんわりかく。なぜだか口とか乳首とか色素が濃いところが熱くて熱くて仕方なくなった。みんなそうなのだろうか?恥ずかしい話だが乳首がとにかく痛いくらい熱くて困った。タオルをかけたらなんとかしのげた。

夕方のサウナは混んでいる。17時からスタッフの人がアウフグースというのをやるらしい。時間に合わせて風呂場は全裸の女でいっぱいとなった。

アウフグースはアロマ水を熱した石にかけ熱い蒸気を扇いで身体に浴びせるやつ、みたいなやつだ。

水着を着たIさんというスタッフがやってきた。

サウナの石に水をかける。じゅわーーと蒸気があがる。Iさんは必死で蒸気をあおる。

一人一人の前に立ち風を送る。バッサバッサと扇がれると、灼熱の熱風がやってきて死すら意識する。あっつぅ~!だけどもアロマ水のいい香りと何とも言えない心地よさもあっていいな、と思った。周りの全裸の女たちも気持ち良さそうに熱風を受けていた。 

Iさんは汗だくになって熱風を操っていた。その背中は働く女の強い背中だった。

Iさんのたくましい姿を見られて何だか勇気づけられた。明日も頑張ろうと思えた。

 

アウフグースが終わり全裸の女たちはそれぞれ水風呂へ向かう。

 

ねねにとって水風呂はかなり鬼門だ。

友人K江と以前一緒に風呂屋に行った時に彼女はサウナへ入ったあと水風呂に入っていた。「気持ちいいからやってみろ」と言ったが、ねねは水風呂が冷たすぎてどうにも入れず「こんなん入るのおっさんくらいじゃ!あんたの皮膚感覚はどうかしている!」と負け惜しみを言ったことがある。サウナ水風呂はおっさん臭いから嫌だなと思っていた。

が、ねねは今回湯遊ワンダーランドを読んでサウナ水風呂をやってやる!と決めたので、人気がはけたころ水風呂へ行った。

 

足先はすんなり入った。冷たいけど大丈夫、行こう!

太ももまで入った。よぉ~よよぉ~?キビシイねぇ~!

四肢はまだいい、問題は体幹だ。体幹からダイレクトに冷たさの刺激が心臓に回って死んでしまうかもしれない。そんな恐怖が襲いくる。

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水風呂に入れなかった頃のまんしゅうきつこさんのこの描写と同じ思いをしている。

ゆっくり、とにかくゆっくりやろう、息を止めてけつを入水させた。

ァッ

声にならない声がもれる。

 

ハァハァ

 

冷たい。怖い。

でもここから先に進まなければ…。

 

1分位たってやっと臍まで入れた。息も絶え絶えだ。

立て膝でよくわからないポーズをして水風呂に浸かった。他の女たちはジャバジャハ水風呂へつっこんでくる。

デリカシーがなさすぎる女はジャブンと水しぶきをあげながら入ってきてそれがねねにかかったとき心のなかで「ヒャア殺す気か!」と怒鳴った。

水風呂チャレンジ1回目はもうこれでいいだろう、臍までいけたから許す。またサウナに入って身体を温めよう。

 

だいたいサウナは5分ほど入ると飽きてしまうので出る。

 

また水風呂へ行く。

さっきよりは臍までスムーズにいけた(とはいえ1分以上かかっている)

よし、次はアンダーバストまでは!と意気込む。

ここら辺にくると心臓もいよいよ水没する。死の危険性がぐっと上がる。ここで死ぬような心臓ならこの先も生きていけやせん!と勇気を振り絞り水風呂に浸かった。

 

ヒィッ

 

と思ったがそれは一瞬で熱いんだか冷たいんだかわからなくなった。感覚が麻痺したのかもしれない。

水風呂悪くないと思えた。

少しだけ浸かり寒いなと感じたところでサウナへ戻る。

 

そしてまた水風呂へ。

 脇の下のラインまで浸かれた。

そのうちにじんわり冷たさが身体を巡りすっきりしてきた。火照った身体を手早く冷やしてくれる。身体から湯気がでていた。

1番すっきりしたのは鼻の穴から咽頭あたりまでの気道だ。喉がスースーする。鼻がスースーする。ミントを詰めたのかと思うほどのスースーさだ。

そのうちに脳みそがシャキッと冷える感覚がきた。多分脳脊髄液が冷され脳内を巡ったのだろう。とても気持ちいい。

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まんしゅうきつこさんの脳みそがパカーンて開く感じ、これか!これがそうなのか!を体感できた喜びでいっぱいになった。

それを感じられたのでもう帰るかなと思ったがもう1度寝ることにした。お風呂に入るのは意外と疲れるのだ。

 風呂場を出て鏡を見たときてかてかパンパンした顔だった。あっ!これ、やっちゃんと同じ顔してる!
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銭湯帰りのやっちゃんはピカピカしていたが、本当にこんなねねも顔になった。思わず笑ってしまった。

 

スパラクーアはファッション雑誌も置いてあるので若い子の雑誌を読みながら寝た。1時間ほど寝たところで夕御飯を食べることにした。そんなにお腹は空いていなかったがこの後また風呂に行くことを考えると風呂場で力尽きないようエネルギーを入れておいた方がいいと思った。

 

夜景の見えるカウンターでカレーうどん。おいしかった。

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そしてまた風呂に入る。さっきよりもすいていたので水風呂サウナを4回ほど繰り返し帰ることにした。気づけば22時、8時間ラクーアでくつろいでしまったが身体が軽く弛んでいて心地いい。ほんのり温まったままの身体で帰宅する。

 

そしてパジャマに着替えて寝ると思ったろう?

ねねは家のシャワーを浴びた。

なぜなら潔癖症だから。

外気に触れた身体で自宅の布団に入るのは無理なのだ。

足の裏とかも皆が踏んだマットの上を歩いているので気持ち悪いと思って洗う。

シャワーを浴びてまたさっぱりして寝た。

 

 

サウナ水風呂の効果をまとめると

・最近脂っぽい頭皮も顔もスベスベになってにおいがいつもよりましだった。

・身体は軽いし肩凝りも普段より楽。

・くしゃみしたときのしぶきの臭いがいつもの半分以下だった。(多分気道まで浄化された)

・次の日の目覚めがすっきりする。

 

なにこれ、お風呂最高じゃん。

湯遊ワンダーランド、この漫画を読んで良かった。読後サウナ水風呂に入るまでが湯遊ワンダーランドですよ、と言いたい。

梅雨の憂鬱さは風呂屋で発散して夏を乗り越よう。

自律神経系の不調でお悩みの方は試してほしいが、ヒートショックにはどうぞ気をつけて。このオススメ漫画は読んで感じて体験することまで続く最高のエンターテイメント漫画である。

鼻くそほじりたいね

こんにちは。めめです。

 

ここ数日団体行動をしていて他人と一緒にホテルに泊まったりしていました。

 

人といる。

 

めめはひとりでほわーんて考え事をする事が好きで浮いていると思うし思われている。

皆が気を使って『めめさん一緒にあれしない?これしない?』とか聞いてくれるのはありがたいが気を使ってもらうこと、誰かと一緒にいることにストレスを感じる。皆のことが嫌いな訳じゃない、ただひとりでいたい。

女子あるあるでみんなであれしようこれしようと言うのを強制されるのはちょっと嫌。

最近になってひとりで行きたいと主張出来るようになったのは凄い成長だなと思った。昔は協調的に動かないといけないと考えを縛られて一緒にあれしない?これしない?に付き合ってイライラしていた。

 

ひとりって気楽でいい。

自分の荷物ぐちゃぐちゃ広げて好きなもの食べて好きなタイミングでシャワー浴びたり鼻くそほったりくしゃみしながらおならしたり。

何が言いたいかって?そりゃがしがし鼻くそほじりたいわけですよ。

だからひとりでいたい。気楽でいい。それを理解してもらえたらもっといい。

うれしかったこと

ひょんなことがきっかけでここでブログを書いている。

ねね(姉)は正直文章を読むことが苦手で、33歳を迎えた今でも漫画ばかり読んでいる。絵があるとイメージしやすくて内容がすっと入ってくるので漫画が大好きだ。

小説はほとんど読まない。だから文豪たちの名作も数える程しか読んでいない。

恋愛要素が入ってくるとなんとか読める。谷崎潤一郎痴人の愛は好きで、ナオミという女の強かな姿を追わずにはいられず一気読みしてしまった。

 

本くらい読まないと と思って20代の頃はしばしば文庫本を買っていたが半分ほどは途中で飽きて読みきれていない。

 

好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、興味ないものは興味ない、という性格なので、買ったからには最後まで読んでみようという気にならないのだ。

 

たまに「ブログ書いているので、本読むんですか?」と聞かれるが、上記の理由でビックリするほど読まない。

なのでこのブログの文字の配列だったり、文章構成だったりがおかしいこともあるかもしれないが、それは単に文章に触れていないだけなのである。

 

書くことは仕事で看護記録を書いて13年となるのであったことを淡々と綴るのはなんとかできる。それがおもしろいか、読みやすいか、誰かの心に突き刺さるか、は別だ。

 

あとは好きなことを考えるのがとにかく好きなので、頭の中はいつも何かしらの好きがつまっている。それをこのブログに書いているだけなので、2年半のさかもツインのブログ生活は穏やかに緩く続いている。

 

ブログを書き始めて、読者様が徐々に増えてくれたのはとてもうれしい。

コメントやはてブ、おツイート、はてなスター、とてもうれしい。読んでくれてありがとうありがとうと言いながら一人一人に飴ちゃんを配りたい。あなたの好きな飴は何ですか?教えてくれれば西友で買ってきてあなたの街まで配りに行きます。それくらいの感謝がある。

 

 

 

とりわけうれしいと思ったのは同世代女子ブログ、黄色い本棚の雇われ長女さんのこのブログ。 


ブログをはじめて半年 - 黄色い本棚

あと、こないだ緊張して行道でさかもツインブログよんで向かった面接が通って新しい職場への採用が決まった。ほんとうにうれしい。

 

 

人生の一大事の前に、大事な局面に読んでくれたとは!もう!ありがとうございます🙇

オムツでおしっこした話とか、マムシ食べた話とか、くっそ下らないの読んでくれていたらいいな。

 

緊張がほぐれたかはわからないけども、とにかく採用おめでとうございます❤

 

 

さかもツインのブログは一昔前の言葉で言うと負け組のアラサー独身女の遠吠えのようなものだ。

負けてはいるかもしれない。けども 私 という人間が毎日起きたくない朝を越えて仕事に行ってくたくたになって帰ってきて終わってほしくない夜を惜しみながら床につくまでの間、生きていたという記録なのである。

 

いいこともわるいこともたくさんある。

そのなかでいいことを振り返り、余韻に浸りながらブログにしていく。

わるいことも笑い話になるようにブログにしていく。

後で振り返ったとき、あぁこんなことあったな、と笑う。

きっとみんな同じだと思う。

社会的な立場や居場所は違っても色々な毎日を生きている。

 

ねねはそんなしがない日常の記録で雇われ長女さんの励みになれただろうか、なれていたならこんなに嬉しいことはない。

 

パートナーがいないアラサー独身女性って拠り所がなくてふとしたときに絶望感が襲ってくる夜もあるんだ。

周りが続々と結婚、出産をしていくなか取り残されているような不安。

聞いてくれる人がいなくてネガティブな気持ちを吐き出せないとき、ネガティブでいる自分を嫌になってしまう自己否定感。

独りで地に足つけて強くいなくてはならないとき足元が揺らぐと一気にひっくり反ってしまいそうになる。

心が折れてもまた明日も独りで歩いていかなければならない。

アラサー独身女性の気持ちはねね、よ~く知っている。強そうに見えてそんなに強くない。

 

暗闇から救い出したり背中を押したりできなくても、振り向いたら後ろにいて(ストーカー行為ではない)そんなこともあるよね、私たちめっちゃ頑張ってるよね、と笑いながら励まし合えたらいいなと思っている。

 

今日も今日とて、人知れず涙を流すアラサー独身女性にはキャラメルを配りたい。糖分で歯が滲みて泣いちゃったんだという嘘をそっと微笑んで見守りたい。

もし銀歯がとれてしまったら、一緒に歯医者に付き合うくらいの気概だ。

 

今日も皆様、お疲れ様。ねねは今日うれしいことがあって、それを今ゆっくりとここで噛み締めている。

 

よい夜を。よい夢を。そして読者様に何かしらの嬉しいと思うことがありますように。ねねはここでそう願っている。

 

 

今度はダイジョブ

これはダイジョブ。

 

 

コーヒー味のヨーグルト
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蓋についた。

ちゃいろくておいしゅうございまし。チョコレートヨーグルトはあんまでしたが、これはダイジョブ。

 

あとねこ
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可愛かったな。

398円のメロンを買ったんだ

昨日、近所のマルエツというスーパーに行った。

ねねはマルエツが好きである。ねねの住む街には自転車で行ける範囲で他にも色んなスーパーがあるがマルエツが1番好きだ。

品揃えが程よく、毎日使いにちょうどいいスーパー、それがマルエツ

 

たまに行くロピア角上魚類ももちろん好きなのだが、車でないと行けないので苦手な運転をしてまでも行くんだ!という気合いがないと行かない。

 

さかもツインの母もマルエツが好きで、よくマルエツに行った。もっと近いスーパーもあり近いところでいいじゃんと思ったこともあったが、さかも一族の厨房長が母からねねへ移りマルエツに行ってみて母のマルエツへのこだわりがよくわかる。

マルエツの良さは旬のものを仕入れお手頃価格で売り出すことだと思う。

 

魚も野菜も果物もその時期のベストを取り扱っているのだ。ねねはそこに絶対的な信頼を寄せている。

 

昨日も例のごとくマルエツに自転車でシャコシャコ行ってきたのだが、一の市だった。(マルエツの月はじめの特売日、中の市という月の中旬の特売日もある)

 

あ~混んでるかな、と思いながらマルエツに入るとそこそこ混んではいたが身動きとれないほどではなかったのでゆっくり店内を回る。

 

自転車で行くと端の駐輪場に停めるので、マルエツの巡回ルートがどうしても肉→魚→野菜→果物となるのがねねのルーチン。

 

卵買わなきゃな。

肉、あ、牛肉の切り落としが安い。タケノコと炒めよう。

魚、あ、真鯛の切り身が安い。鯛しゃぶにしよう。

 

今日のマルエツ、いいなぁ、とニヤニヤしながら果物コーナーへ。

みかんもイチゴも旬を過ぎ、手軽に食べられる果物がないかな、と思って見ているとメロンがあった。

 

メロンなぁ。おいしいけど高いんだよな、わざわざ買ってまで食べるのはなぁ、と思っていると、熊本県産のやや小ぶりなメロンが398円だった。

 

え、うそ、ちょと!ちょとまて!マルエっさん!正気?うん、買うね!限定50個ってあるけどまだまだ残ってるじゃん!

買う買う!

いいメロンの選び方がわからん。

んー、ツルの切り口から汁が出たあとのあるメロン?なんかみんなべとーっとした汁が出た形跡がある。これ、もしかしていいメロンの証なんじゃね?よし、これを買おう。

 

ねねはメロンを買った。398円のメロンを買った。

 

急いでシャコシャコ自転車を走らす。上り坂を電動アシストをオンにして颯爽とシャコシャコ走る。

 

ねねは~398円の~メロンを買ったんだ~!

 

声を大にして言いたかったが近くに交番があるのでやめておいた。通報されたら困る。

 

心を落ち着かせ家に帰る。

まず仏壇にメロンを供えた。

 

さかも一族の夕食後、メロンを切ってみた。みどりのメロンだ。甘いいい香りがする。

種も少なく、手でぺりぺりととり、半玉だけカットした。

 

一口食べてみる。

 

んまい!

 

398円とは思えないほど甘くておいしかったね。メロンの香りもしっかりして、あぁ、今メロン風味でもなんでもなくメロンを食べているんだ!と心が踊った。

 

一族の長(父)もうまいうまいとメロンを食べていた。

 

この398円のメロンを買ったことはねねにとってとても誇らしかったので一族の長に「このメロンいくらだと思う?」と聞いた。

そういえば母も安くていいものを買うとねねに「これいくらだと思う?」と聞いていたな。年々母にそっくりになっていく。

 

一族の長は「650円」と言った。妥当な値段だと思う。「違う」と答えた。

一族の長は「1,000円?それ以上?」と言った。「そんな高いもんは買わん」と答えた。

全く当たらないので「398円」と正解を伝えるとたいそう驚いていた。そりゃそうだろう、ねねもマルエツでおったまげたんだから。

 

あまりにも美味しかったようで、残りの半玉は明日自分で切って食べると言っていた。普段包丁を持つことをしない一族の長がメロンを自分で切ってまで食べたいと思うほどのおいしさだった。

 

 

毎日何かしら買い物をして生きている。

何でもない日に何でもないスーパーで特売のメロンを買う、どこにでもあるような日常。特別な日の特別な買い物よりも、案外こんな日の方が幸せだと思えるようになった。

 

あの夜唇を真っ青にしてその男と握手をしたんだ

あの夜の出来事を順を追って書いていく。

 

話を進める前に皆様には知っておいてほしい漫画がある。この漫画があの夜の主役であるので。

 

ねね(姉)の大好きなWeb漫画サイト、リイドカフェでは全般的に未だかつて読んだことのないような狂った漫画が多く連載されている。その中でも5本の指に入る狂い具合のセレベスト織田信長、という漫画が好きで読んでいる。


セレベスト織田信長 – 贅沢黙示録 – – LEED Cafe

〝セレブ〟の最上級〝セレベスト〟たちの戦いはついに天限突破!! 信長たちの前に立ちはだかる強大な贅沢の体現者たち!! 「贅沢黙示録」の戦いとは!? 究極のラグジュアリー・アクション

 

セレベスト、ラグジュアリー・アクション、この時点で何を言っているのか、既存の概念から大きくかけ離れてしまっていることが伺える。

初めてセレベスト織田信長を読んだとき「おっさんがめちゃくちゃ出てくる!おもてなしをしている!ワケわからん」とかなり困惑もしたが、めめ(妹)に「メンデルがいっぱい出てくるんだよ!」と薦められ、本当にメンデルがたくさん出て来て笑ってしまった。そこからすっかりセレベスト織田信長の虜となったのだ。

メンデルの話は単行本1巻の4話に収録されている。 
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そうそう、メンデルとは理科の教科書で習った気もする植物学者のことだ。

 

メンデルがギャグ漫画にでてきたことが今まであっただろうか。

このキャスティングは堪らなかった。

そしてこの漫画を描いているジェントルメン中村先生の凄味を思い知らされたのだ。(ジェントルマンではなくジェントルメンなので気をつけてほしい)

 

そんなジェントルメン中村先生が単行本発売記念のイベントを開催するとのことで、先日阿佐ヶ谷ロフトへ行ってきた。

単行本販売記念イベントとかそんなタイトルではない、『セレベスト贅祝祭 ラグジュアリーカルナバル』だ。もう…読めないよ。日常生活で見もしない文字の羅列に圧倒される。

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阿佐ヶ谷ロフトはトークショーなどを行うイベントスペースで、中で飲食ができる。

普通のメニューに加え、ラグジュアリーカルナバルでは特別メニューがあった。

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全てセレベスト織田信長に登場するものをイメージさせるメニューだ。コンセプトカフェのようなもんだ。

 

ねねは『北条政子の病みつきビート板』を頼んだ。

 

http://leedcafe.com/webcomic/%e3%82%bb%e3%83%ac%e3%83%99%e3%82%b9%e3%83%88%e7%b9%94%e7%94%b0%e4%bf%a1%e9%95%b7-%e8%b4%85%e6%b2%a2%e9%bb%99%e7%a4%ba%e9%8c%b2-%e3%80%80%e7%ac%ac%ef%bc%93%e8%a9%b1/
セレベスト織田信長 – 贅沢黙示録 - 第3話

北条政子卑弥呼にビート板をかじらせる、というエピソードがある。
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 様子がおかしい漫画だと思うことが、多分正しい反応だ。

不安になられました読者様、それは正しい反応ですので大丈夫です。慣れれば平気になります。

 

ビート板かぁ、どんなのが来るんだろう…とワクワクしながら待った。

他の客のテーブルに異様に青い使用済みティッシュかあった。あの人青インクかなにかぶちまけたのかな?と大して気にもせずいたら…

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青いのがきた!

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これが病みつきビート板か!

 

納得!!

 

プールの青さなのだろう。めちゃくちゃ青かった。

食パンは揚げられたもののよう。ナイフなど出てこなかったので箸で掴みいざかじってみると

 

 あっ…

これ、ビート板だ!

 

と思った。素晴らしい再現だった。ジュンワリ、カリっ、といった食感なのだ。

夢中になってむさぼり食った。揚げたパンはとてもおいしい。ビート板中毒になってしまう。

 

 ねねがビート板を食べている間にもジェントルメン先生の漫画のルーツなどの話はテンポよく進む。ジェントルメン先生は異常にインターネットを怖がり信頼できるのは自分の手、とアナログな男気をお話くださった。

デジタル化が進む昨今、ジェントルメン先生の異様に黒い力のある絵は己の手でペンを持ち迸る男気を紙にぶつけているらしい。

なんてかっこいいんだ!

実際のジェントルメン先生は声がとにかくおもしろい。なんか色々おもしろい。「あぁ、この人は普通じゃないんだな」と褒め称えたくなる異質さがあるので、様子のおかしい漫画を描いているのも納得だ(全て最大級の褒め言葉)

 

 

 最後にサインを頂いた。

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ご丁寧に握手をして下さりねねはとても嬉しかった。大ファンのジェントルメン先生を目の前にし、ねねの乙女心は激しく鼓動した。

男気溢れるサイン本、これは我がさかも一族の家宝にする。

 

 

その後、リイドカフェファンの交遊のある方々にご挨拶したところ、とあるふんどし紳士さんに「ねねさん、体調大丈夫ですか」と心配された。ねねはいたって元気である。なぜこの人はこんなことを聞くのか、と思った。

 

K本さんというリイドカフェファンの間で「なんか、かっこいい!」と話題のリイド社のキーマンに、「口が青いよ」と言われて、後で鏡を見たら本当に青かった。まじか。ブルーハワイのかき氷を食べてベロを真っ青にした人みたいな唇の色をしていた。想像以上青かった。

 

「うそぉ、ねねもう33歳なんだよ、こんな子どもが口にケチャップつけてえへへみたいなことをやれる年齢じゃないんだよ」と愕然としながら唇を拭った。

 

ふんどし紳士の方は唇が青いので心配されたのかもしれない、と合点がいった。

なんてことだ。

 

恥ずかしい。

 

ラグジュアリーカルナバルの興奮は少し冷め、ジェントルメン先生にこの顔でサインもらったんか、と乙女心は恥ずかしさで破裂した。多分しばらく乙女心はなくなったままだろう。早急にねねの中の乙女心部門は再生に努める必要がある。

そんな真っ青な唇女にも親切にサインと握手をくれたジェントルメン先生はジェントルメンだな、と思う。ますます好きになった。

 

家に帰ってまた鏡を見たらまだ唇は青かった。

 

加えて恥!

この顔で電車1時間乗ってたんか…

これが追い恥というやつか。追い出汁じゃない。追い恥だ。

 

あの夜、ねねは恥に恥を重ねた。だけども楽しい夜であったことに変わりはない。

 

阿佐ヶ谷ロフトでリイドカフェのイベントの予定がこれからもある。リイドカフェのイベントで変なものを食べる可能性があると心得てこれから行かれる方におかれましては手鏡とハンカチの準備をお忘れなく。

ねねの二の舞にならないことを願うのだ。

 

 

踊りたい夜

ねね(姉)はウニが好きだ。滅多に食べないけどウニが大好きなのだ。
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今日ウニの軍艦巻きを食べた。

友人が奥のムラサキウニを食べた。ねねは手前のバフンウニを食べた。

決して安くなかった。

そんな高級食材 ウニ を口のなかにほおりこみ、一口で食べてしまった。

 

あぁぁ。

 

こんな高いものを一口で食べてしまった~!

 

こんな高いものを一口で!一口でたべてしまったのぉぉ~いしい~!

 

友人が向かいでウニを食べて美味しそうにしているのを見ることもなく、目を閉じた。

 

「おいしい」という声が聞こえる。

友人は喋っている。

 

目を閉じたまま、ねねは言った。

 

「ちょっとウニを感じるから今喋んないね」と。

多分友人は何言ってんだ、この人は、と思っただろうが、いつものことなので対して気にしていないようだ。

 

お構い無く目を閉じ、口の中に神経を集中させた。

 

ウニ。

 

ぬるっと口のなかで海の香りをさせてとろけていく。

 

待って待って待って!

 

まだ早いよ、とけてなくなるにはまだ早いよ!

 

そう思えば思うほど、米と海苔を噛むうちにウニがとけていく。

 

行ってしまうんだね。

 

ウニは振り返ることなくとけてなくなってしまった。

ウニがいなくなって目を開けると、「美味しかった~!」という友人がいた。「おいしかったね」と答える。

 

我々は紛れもなくウニを食べていたのだ。

 

ウニはいいな、と余韻に浸りながら帰る。

 

帰り道、今夜は踊りたい夜だな、と思った。

ウニを食べた喜びを身体で表現したかった。

 

帰ってきて後で踊りに(近所の公園へ)行こうと思っていたら疲れ果てて床で寝ていた。

 

 踊りたい夜ではなかったらしい。

 そんな夜もある、という話。