ねね(姉)はウニが好きだ。滅多に食べないけどウニが大好きなのだ。
今日ウニの軍艦巻きを食べた。
友人が奥のムラサキウニを食べた。ねねは手前のバフンウニを食べた。
決して安くなかった。
そんな高級食材 ウニ を口のなかにほおりこみ、一口で食べてしまった。
あぁぁ。
こんな高いものを一口で食べてしまった~!
こんな高いものを一口で!一口でたべてしまったのぉぉ~いしい~!
友人が向かいでウニを食べて美味しそうにしているのを見ることもなく、目を閉じた。
「おいしい」という声が聞こえる。
友人は喋っている。
目を閉じたまま、ねねは言った。
「ちょっとウニを感じるから今喋んないね」と。
多分友人は何言ってんだ、この人は、と思っただろうが、いつものことなので対して気にしていないようだ。
お構い無く目を閉じ、口の中に神経を集中させた。
ウニ。
ぬるっと口のなかで海の香りをさせてとろけていく。
待って待って待って!
まだ早いよ、とけてなくなるにはまだ早いよ!
そう思えば思うほど、米と海苔を噛むうちにウニがとけていく。
行ってしまうんだね。
ウニは振り返ることなくとけてなくなってしまった。
ウニがいなくなって目を開けると、「美味しかった~!」という友人がいた。「おいしかったね」と答える。
我々は紛れもなくウニを食べていたのだ。
ウニはいいな、と余韻に浸りながら帰る。
帰り道、今夜は踊りたい夜だな、と思った。
ウニを食べた喜びを身体で表現したかった。
帰ってきて後で踊りに(近所の公園へ)行こうと思っていたら疲れ果てて床で寝ていた。
踊りたい夜ではなかったらしい。
そんな夜もある、という話。