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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

男運のなさに定評があるのでモトカレマニアがぐっさり心に突き刺さる

モトカレマニア、なんとも悩める現代女子のの闇を見せつけてくる漫画だ。

 

 
モトカレマニア 瀧波ユカリ|Kiss | 講談社|講談社コミックプラス

 難波ユリカ・27歳。彼女の心を占めているのはただ一人…22歳の時に別れた元カレのマコチこと斉藤真!
元カレを神のように崇拝するユリカは不動産店の営業として働くこととなったが、なんと、そのマコチと同僚として再会して…!?

 

要約すると未練タラタラのアラサー女子が元彼の幻影妄想にとりつかれ、日々奮闘する漫画だ。

読んだとき衝撃を受けた。東京タラレバ娘にもかなり心をぐっさり刺されるものがあったが、モトカレマニアも心に刺さる。


『東京タラレバ娘(1)』(東村 アキコ):KC KISS|講談社コミックプラス

 

講談社は女子の闇をクローズアップしているのか?

 

恋愛は誰しもがうまくいくものではないし、運良く結婚に辿り着くまでにどれだけの奇跡を重ねているのか計り知れない。

ねねはその奇跡を起こさず生きているから。男運のなさに定評がありすぎるから。

 

幸せな恋愛もあればうまくいかない恋愛もありその分だけ傷付く。 傷付いた分だけ人に優しくできる、強くなれる、というのは嘘だと思う。こういうときどんな言葉をかけてほしいか、どうしてほしいかはわかる分だけ優しくはなれるかもしれない。

だけどそれ以上に心が弱る。腐る。疲弊する。現代女子の闇だ。

また誰かと新しい恋をするとき、「またいつか別れてしまうかもしれない」という不安はぬぐえない。

一緒にいても、楽しくても、幸せでも、それはいつか無くなってしまうという恐怖がいつも側にある。

別れてしまったとき「ほらね」という自分がいて傷付く準備をしているかのよう。ある種の腐れた呪いだ。

 

そうして心が腐ってしまったアラサー女子は死んだ恋心を隠しながらもまた婚カツや仕事に笑顔で立ち向かう。自分の価値なんてもうないんだ、と呪われながら。

 

愛されて自信を持って生き生きしている人はすごいと思う。ポジティブの塊やんけ、と。

でもそれ以上に腐れた心を笑顔で隠すアラサー女子はすごいと思う。女優やんけ、と。

 

恋愛は2人ですることなので、もちろん相手方もこちらも両方の事情がある。フッた方が悪い、悪くないとかそういうことはない。

合わなかったのだから仕方ないのだ。

 

もう大人だから、子どもみたいに泣いたり喚いたりしない。

もう大人だから、わかったふりして平静を装う。
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この描写は生々しかった。痛いほどにわかる。本当は挫けてもう歩けないという気持ちでいっぱい。

でも仕事をし生きて何事もなかったようにただただ永遠に続くかのような先の見えない暗闇をひとり歩いて行かねばならないのだ。

 

 

モトカレマニアは2人がどうして別れてしまったかは不明。

だが、彼女のほうは相当に引きずっている。痛々しいほど引きずっている。

彼女の友人はそんな彼女を「おかしい」と言いながらも優しく見つめている。こんな友人が人生に1人いてくれたらなんて幸せだろうと思う。ねねにもそんな友人がいててくれるのでいつもありがたいなと思っている。

 

元彼を引きずってあーだこうだしているうちに時間は過ぎて年だけとる。

周りのみんなは結婚して子どもがいる。どんな顔でおめでとうと言ってきただろう。

 

過去にこだわりすぎている、とらわれすぎている、怯えている。

今を、未来を、見るのが怖い。そんなところではないか。

適当にいい人がいたらその人に決めてしまえば?ということは繊細で不器用ゆえにできないのだ。

 

多分この漫画の主人公も、悩めるアラサー女子も分かっている。分かっているけど前に進むことで傷付くリスクがあることを分かっているから進めない。

 

モトカレマニアの表情の描写はとても素晴らしい。
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この1コマは色々あって主人公が感情を溢れさせてしまう前の描写だ。

自分が思い描いたようにならず、それを受け入れるしかない悲しみでこんなに切ない顔をしている。

そしてこの後思いっきり泣くのだ。

ここまで豪快に清々しく悲しみや虚しさを表現できる主人公は羨ましい。

きっと全ての恋がうまくいかないアラサー女子の、大人ぶって吐き出せない気持ちを代弁しているのだろう。

こういう風に泣いたり感情があっちこっち散らかってしまう女はめんどくさい。けど、恋に翻弄されたときってこの漫画どおりだと思うのだ。

そんなおかしさを客観視して、こうはならないようにと反面教師にする。そしてこんな気持ちになるよな~と共感もする。こういう悩みでぐるぐる回って目が回って行き先も見えない女子がいるんだ、と自分だけが恋愛で悩んでいるのではないと励まされる。

 

きっと悩めるアラサー女子はどこかで泣きそうな顔をしている。そんな彼女たちに寄り添って一緒に泣いて励ましてあげたい気持ちでねねはいっぱいだ。多分作者の瀧波ユカリ先生もそんな気持ちでこの漫画を描かれているだろう。

 

婚カツがうまくいかない、結婚できない、という人は大抵「何で~?話しやすくていい人なのに、美人なのに、めちゃめちゃ優しいのに…」という人が多い気がする。とにかくいい人が多い。

それは傷付いた心を隠し持っていい人の仮面をつけているだけなのかもしれない。

 

繊細ゆえの現代女子の未婚率。

この人のツイート、すごく的を獲てるな、と思ったので張り付ける。

心の傷は誰にも見えない。分からない。その分やっかい。治らない。

 強くありたいと強いふりをして、完璧なように見せれば「君は1人でも大丈夫だから」と思われる。

弱いところを見せれば「不安定なコ」と思われる。

たった1人に好かれ愛されて選ばれるまでに、何人もの男に出会って色んなことを思われ去られていく。ならばねねはどうなれば正解なのだ。

 

 同じアラサー女子として同志だと思っている黄色い本棚さんのブログを拝読。


モトカレマニアがよめない - 黄色い本棚

ひとりの人生とは向き合えてるつもりだけど、長年付き合ってた彼が結婚していたとしてそれを知ってしまうと多分立ち直れない。私が5年以上掛けて出来なかったことを実現できた相手がいるなんて知りたくない。

 

 

この分にアラサー女子の本心が強く込められていて、どうしようもなく切なくなった。本当だよなぁ。

ねねは元彼についてそんなに思うところはないけどもこの気持ちはなんとなく分かる。

どこかで無事に生きていてほしい、の反面あのときのままで止まっていてほしいとも思う。そういうもんだ、と諦めるから知りたくないことは知りたくない。

 


テレサ・テン ~ 時の流れに身をまかせ~ - YouTube

今の歌謡曲はポジティブなものが多い。悩んだり病んだりすることを隠しているかのようだ。

多様性が認められ始めているから、独身でもいい、好きにやっているのだから寂しくないでしょう、と思うが寂しくないわけない。

民族が群れで生活してきた中で急に1人でも大丈夫という遺伝子に書き換えられるわけがない。誰かといた方がいいこともある。

そんなねっとり絡み付く寂しさにテレサテンの『時の流れに身を任せ』はよく滲みる。

「だからお願い側においてね」

こんなこと今どき言ったら重たいだろう。でもそう思える人にあと何回出会えるだろうか。

この歌には弱ったときに不意に聴かされうっかり泣いてしまいそうになった。弱ったアラサー女子とこれを聴いて円陣組んで涙ぐみたい。

 

 

結婚しないの?と聞かれればできればしたい、けどこの心の闇を消し去ってくれるような人がいい。年齢、容姿や仕事、年収なんかどうでもいい。

何でもないことを笑って何でもないことを楽しいと言える人。少々ひねくれた心を持っているので申し訳ない。でもなるべく心を許しあって話せる人がいい。

 

そんな人を探している。漠然としているけど。黄色い本棚さんにもそんな人が現れてくれるといいなと思う。

 

もう、公募する。

さかもツインねねと黄色い本棚さん(←勝手に公募してすみません)の彼氏になってもいいよ、という方、ご連絡ください笑

 

敬愛する小林銅蟲先生は嫁さん公募して結婚されたそうだから。

続きたい!公募で!結婚!!よし、がんばる!俄然やる気が出てきた!よっしゃー!みなぎってるぞ、この熱い思い!いっそ走りに行くか!よし、よーし、HASHIRUZO!

 

これからの人生もこんな情緒不安定で頑張ります。よろしくお願いいたします。では。

 

瀧波ユカリ先生の臨死江古田ちゃん、VIVIに載っていて面白そうと思い一目惚れ即買い。そこから20代のねねのバイブルだった。飾らない主人公に笑い時に切なくなった漫画。未読の方はぜひこちらも。

 
臨死!! 江古田ちゃん / 瀧波ユカリ - アフタヌーン公式サイト - モアイ