ねね(姉)はたまにオハイソな場所へバイトに行っている。オハイソだから給料がいいのでたまに行くのだけど、かなりオハイソ対応しなくてはいけないので普段「お腹いたーいうんこーおしっこー」とか言っている自分は100%封印する。完全に原人人格のスイッチをoffにしている。そして上品に笑い自分に嘘をつきながら働いている。
完全に化けの皮を被っているので多分誰にもうんこーおしっこー人格はばれていない。穏やかな人だと思われているはずだ。
この多重人格っぷりはなかなかに素晴らしいレベルでいい人を演じているので、結構しんどい。
バイト先のかわいこちゃんたちに「うおーーーー!生きてるよーーーん、ぼんよよよーーーん!」とか叫んでみたい気持ちを抑えて働いている。こんなこと言ったら即クビになるだろうから。
たまに行くのが嫌すぎて、バイト行く前のTwitterが不可解な言葉で溢れる時がある。緊張を吐き出す。
それでも行けばバイト先のかわいこちゃんたちは優しく迎えてくれるので、なんとか辞めずに頑張っている。
最近バイト先の勤務の連絡でLINEを使い始めた。LINEのスタンプは慎重に選んだつもりだがちょっとしたクセのあるスタンプは先方にシュールにみえたようだ。
逆に先方が使うスタンプはねねも知っているシュールなアニメのものだった。何年も前のものなので、「これ懐かしいです!もう10年位前ですよね~」と話し、「知ってるんだ!」とキャッキャッ話が盛り上がった。嬉しい、オハイソ空間でこんなに話が盛り上がるなんて…。
ねねは調子に乗った。
「このアニメ、今だとポプテピピックに近いものがありますよね~」と言うと
「え、何…?」と空気が凍った。
ポプテピピックを知らない?そんな人がいるの…?
先方とは同年代だと思われる。
他のスタッフにポプテピピック?と言うと首を横に振られた。
Twitterではあんなに流行っているのに!ポプテピピックを知らない人がいるのか!
ねねは次元の歪みに巻き込まれ、オハイソ空間で働くオハイソピーポーと違う次元で生きていることを実感した。
異空間というものがあるなら間違いなく今、ここに、ある!そう確信した。
先方はポプテピピックを知りたいと思ったらしい。付箋にメモを取りはじめた。ねねの滑舌が悪いのもあるかもしれない。
ポプテティティックとメモり出してしまった。
「あ!ポプテ、ピピック、ですよ!」と2回ほど繰り返し言ったらやっと伝わったらしい。
ポプテティティックに訂正の線を引きポプテピピックと書かれていた。伝わったようで何よりだ。
先方がポプテピピックを見ないことを少しだけ祈った。オハイソピーポーがポプテピピックを理解するか不安だから。
帰り、誤って先方にどんけつをしてしまった。あの付箋をなくすように、とかそういう故意はない。
なんか切ない夜だった。次にバイトに行くのが少しだけ気まずい。うんこーおしっこー原人人格がバレないことを切に願う。
さかもツインはポプテピピック大好き。