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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

こんな漫画が読みたかったんだ

こんな漫画が読みたかったんだ。そう思わずにはいられない漫画がある。

 

『恐怖の口が目女』だ。

https://www.leed.co.jp/9784845851935
株式会社リイド社 » 恐怖の口が目女


ノスタルジックホラー? からのカタルシス展開!! 噂のカルトコミックがまさかの書籍化

 

 noteから試し読みができる↓

 
連載ホラーコミック 「恐怖の口が目女」第1章 (全八章のうち第一章と第7章だけ期間限定公開!)|崇山 祟 たかやまたたり tatari takayama|note

 

 先日作者の崇山祟先生がどれだけすごいか書いたが、その後恐怖の口が目女を買って崇山先生のすごみを改めて感じた。


崇山祟という末恐ろしいアーティカルな漫画家を知れ - ここから先は私のペースで失礼いたします

 

その漫画についてネタバレがないよう一読者の感想を書いていこうと思う。

 

恐怖の口が目女の表紙はこれだ。本屋さんですぐに見つかると思う。サイズがやや大きいし厚いし色が派手だから。
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 黒地に映える赤のタイトル。かわいい女の子に忍び寄る怪物、ホラー漫画のおどろおどろしさが滲み出る。

帯に書かれた『平成最後の奇書』という触れ込み。期待値が高まる。

 

このホラー漫画は手にとってほしいが、ホラーが苦手という人もいるだろう。そこは安心してほしい、幽霊は一切出てこないのでこの本を読んで夜1人で風呂に入るのが怖い、という思いは絶対しないと思う。

 

ストーリーをざっくり説明すると、

主人公は精心学園新聞部部長の美空すずめ。新聞部部員の吉永百合子が見たという「口が目女」の正体を暴くため考古学者の石原裕一郎と共に口が目女に立ち向かっていくネオレトロホラーという聞いたことのないジャンルだ。ネオレトロホラーは崇山ワールドと言ってもいいだろう。

スペクタクルな映画を見ているような、二次元の表現力の垣根を全部取っ払った漫画である。(と言いきる)

 

ネオレトロホラー、のレトロに関しては崇山先生が「昭和期の漫画からほとばしる何か、がとても好き」だそうで、すずめのこのファッションや謎のポーズによく表されていると思う。
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 平成の終わりにこんなポーズやファッションを見るとは思わなかった。ちょっと古くてダサい?とレトロの境目をふわふわしている感じがまたいいのである。

 

 主人公のすずめのあっけらかんとしたかわいい姿は時々おかしくなる。
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 好物のうで卵をえづいて吐き出すシーンなのだがこれは間違いなくホラー案件だ。
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えづいたあとの涙目がリアルだ。涙がちょちょぎれてしまっている。

 

すずめのかっこいいところは寝ると決めたら即寝るところだ。「ねよ」の次のコマでもうぐっすり眠っている。
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 こんなヒロインは見たことない。余計な感情を一切持ち合わせていないのでたくましい。あぁ、こういう人間になりたいな、と思うくらいだ。


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 すずめはキラキラお目目なので何を考えているかよく分からないかもしれないが、ストーリーを読み進めていくとここのコマは胸を締め付けられるような思いで読む。とても強い目力なのだ。

 

ホラー漫画、というがTwitterの感想を見るとは涙なしには見られなかった、という人もいる。カタルシス展開にもうページをめくる手は止められない。

特に最後の16ページはフルカラーでその色味が素晴らしい。
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私はこの群青色の夜空がとても好きだ。木々の深い緑も好きだ。黒髪に映える空の色が好きだ。この16ページにはただの紙を人々の心を揺さぶる色の魔法がかけられている。恐怖の口が目女の全262ページの単行本をスペクタクルな物語にする特別な色である。

表紙や冒頭のストーリーからは想像のつかないクライマックスだ。

 

 

1度noteで全話読んでいたのでストーリーはわかってはいたが所々抜け落ちていた。Web漫画を繰り返し読まない。台詞まで覚えるほど読み込まない。

あまりにも手軽に読めてしまうしあまりにも膨大な量の新しい漫画が日々更新されているから。

 

そして新しい漫画に埋もれてインターネットの闇に沈んで存在すら忘れてしまう漫画もあるだろう。忘れたくなくても大好きでも昨日食べたおいしかったご飯のことを忘れるようにおもしろい漫画を忘れてしまう。

 

Web漫画の書籍化というのは漫画が存在していつでも手に取り大切に読み返すことができる素晴らしさがある。リイド社の漫画はどれも手が込んでいて、漫画を手に取る喜びを与えてくれる。

子どもの頃におこずかいを握りしめ発売日になかよしを買ってワクワクした気持ちが甦ってくる。

子どもに戻りたいわけではないが、そういうほしいものをキラキラした気持ちで買いに行くことはいくつになっても大切にしたい気持ちだ。

 

 恐怖の口が目女は、漫画を買うことをやめた大人に読んでほしい漫画だ。単行本のインクの匂い、紙のざらつき、ページをめくること、こんなにも純粋な気持ちでスマホを見ているか。これは物質にしかできない業だと思う。

あとブルーライトとか発してないから目にいい。

 

7月7日には中野ブロードウェイタコシェでサイン会もあるので、こんなホラー漫画を描く人はどんな人なのか気になる方は見に行った方がいいと思う。多分色々驚く。 ねねは崇山先生を見たときSuchmosにいそうな人がいる、と驚いた。

http://tacoche.com/?tribe_events=%E5%B4%87%E5%B1%B1%E7%A5%9F%E3%80%8E%E6%81%90%E6%80%96%E3%81%AE%E5%8F%A3%E3%81%8C%E7%9B%AE%E5%A5%B3%E3%80%8F%E7%99%BA%E5%A3%B2%E8%A8%98%E5%BF%B5-%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%E4%BC%9A
崇山祟『恐怖の口が目女』発売記念 サイン会

 

この夏絶対ハズせない漫画を選ぶなら恐怖の口が目女で決まりだろう。それほどにさかもツインの超推薦図書、ぜひ読んでみてほしいと思う。