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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

おばちゃんに梨をもらった日のこと

仕事場のねね(姉)の隣のロッカーは御歳70オーバーのおばちゃんである。もはやおばあちゃんの域なのだが、いつも明るくはつらつとしていてねねより元気だ。いつも同じ時間に来ていつも同じ仕事をして帰る。採血はめちゃめちゃ上手。

 

今朝ロッカーに現れたおばちゃん、なんだか元気がない。

 

「あれ、○○さんどうしたんですか?元気ないじゃないですか」と声をかける。

 

「あぁ、今日ね下痢しちゃって。普段便秘なのに。おかしいなぁ。 」と落ち込んでいるおばちゃん。

「ねぇ、ナプキン持ってる?ほら、万が一のときにね。」と続ける。

「あるのでこれ使ってください。2個あげます。」とねねのナプキンをあげる。

 

おばちゃんはナプキンをもらって「ありがとう~」と言う。「私もうナプキン使わないから返すために買えないけどいい?」と聞かれる。

 

「あ~そんな気遣わないで下さい。返さなくていいんですよ、あげます!」と言うとほっとした様子でトイレに消えていった。

 

ナプキンは返してほしいと思わないし、たかだかナプキンでおばちゃんの役にたてるなら喜んで差し上げる。おばちゃんコミュニティは快く助け合いをする、おせっかいも焼くしそれを快く受けとるのがちょうどいい。厚意には甘えるのがお互いのためだ。

 

おばちゃん大丈夫だったかしら、と思いながら終業後ロッカーへ行くとねねのロッカーに紙袋がかけてある。

「ねねさん、ありがとう」と書いてありなかを見ると梨がひとつ入っていた。

 

ふふふ、あのおばちゃん律儀なんだからもう、と笑ってしまった。たかたがナプキンなんだからそんなに気を遣わないでいいのに。

予期せずおばちゃんの厚意に癒されてしまった。この厚意は「そんな気を遣わないでいいのに~」と言いながら頂くことにする。次会ったら「も~そんなに気を遣わないで良かったのに」と言いながら「梨おいしかったです。ご馳走さまでした。」と言おう。

何で職場に梨を持ってきていたのかは不明であるがおばちゃんの礼儀というのは正しい。

 

なぜナプキンが必要でどうしてほしいか、的確に伝えられると「それじゃ大変、これ使って」と親切にできる。「ナプキンくれよ」だけではぶっきらぼうだしあげる方としても「え、何で?」と警戒心を抱いてしまう。

おばちゃんコミュニティは自分のことを話し相手にどうしてほしいかが明確なのでコミュニケーションがうまくいく。おばちゃんはずけずけしてて図々しいと思い嫌う人もいるだろうが、「あの人は察してくれない、気が利かない」などとイライラすることがない。あっけらかんとしていていいと思う。このコミュニケーションスキルは真似するべきだ。世界はおばちゃんの厚意で優しくなれる。そしたらきっと今より少しだけ笑顔になれると思うんだ。