ここから先は私のペースで失礼いたします

さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

そこらのおばちゃんだいたい友達

ねねはおばちゃんによく話しかけられる。知らないおばちゃんに話しかけられる。道を聞かれたりトイレの場所を聞かれたり。

普段からおばちゃんたちと一緒に働いているからおばちゃん慣れしている。まぁねねもジャンル的にはおばちゃん。若い子でいたいけどおばちゃんになることは必然なので抗えない。

今日も話しかけられた。初見のおばちゃんに。特急電車に乗り込んできて「この電車は佐賀に行く?」と聞いてきた。あと2分で発車するこの特急電車。焦るおばちゃん。フィッシュバーガーをタルタルソースをぐしゅぐしゅはみ出させながら食べるねね。

うそ、今ここで話しかける?ねねに?ねねもこの電車初めて乗るからよく分からないんだけどな。とりあえず今は口いっぱいにフィッシュバーガーを頬張っているから喋れない。

おばちゃんの目をしっかり見つめる。今会話不可能だけどどうする?そんな視線。気付いた?おばちゃん?

おばちゃんは言った。

「この電車は佐賀に行く?」

ねねはフィッシュバーガーをもさもさ食べる。

「この電車は佐賀に行く?あ、ごめんなさい食べてるところ!」

やっと気付いた!ねねがもさもさ飯を食っていることに!それでも怯まないおばちゃん。佐賀へ行くか答えを求めている。ひどく求めている。

ねねは「佐賀へ行くとおもいまふよ…」ともごつきながら答えた。口からはみ出たフィッシュをもぐとぐと口の中へ引き込み、スマホで停車駅を調べる。

「大丈夫!これ佐賀行きますよ。」

おばちゃんは「ありがとう!」と納得してねねの隣に座った。「ごめんなさいね、食べてるところ。」と謝った。ねねは「大丈夫大丈夫!」と友達に話しかけるように応えた。

 

そのあと公衆浴場で見知らぬ出会い頭のおばちゃんに「中にトイレあるかしら?」と聞かれ「ん~私も初めてで知らないんだけど奥にそれっぽいのありましたよ。見てみよっか?あ、あった。あそこにあるよ!」と返す。おばちゃんは「あら、ありがとう。」とトイレへ消えていった。

 

そこらのおばちゃんだいたい友達。まさにそう。うんうんとかよかったねとか普通に言う。ぐいぐいくるからぐいぐい返す。おばちゃにケーション。気を遣う必要などあまりない。知らないおばちゃんと仲良くできるというのも日々の職場でのおばちゃにケーションの賜物だろう。ひとつひとつのことに意味はある。

ただ、そこらのおばちゃんと友達になればなるほどなぜか老けていく。エキス吸われてる?怖いね。おばちゃにケーションやめようかな。楽しいけどエキス吸われたくないよ。エキス吸わんといて~と心の中で言いながらおばちゃんセット(飴と梅干し)を鞄に忍ばすねねなのである。