ここから先は私のペースで失礼いたします

さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

脛毛を伸ばすな

暑い夏は苦手だ。クーラーの部屋でじっと季節が通りすぎるのを待つしかない。動物たちが冬眠をするようにさかもツインは夏眠をする。じっとクーラーの部屋に閉じ籠るのだ。

 

暇をもて余したのかめめ(妹)が脛毛を伸ばし始めた。女子たるものムダ毛は許されず、みたいな女子マナーを全く無視して伸ばし始めた。

 

「いけるとこまでいきたい」

 

そう呟き脛毛を伸ばすめめは強い信念を持っていたがねねとしては全くもって「?」なのである。

「?」の意を汲んだか汲まぬかわからぬが、脛毛は伸び続けた。とりあえず1本だけ馬鹿みたいに伸びる脛毛。それをめめは毎日ねねに見せつけてはせっせとメジャーで計る。その度にねねは「その毛を抜けっ!うが~ッッ!イライラするんじゃ!」と怒鳴った。1本だけにょろりと伸びる脛毛を見てイライラしないやつはいないと思う。

2.0cmを越えたあたりから気味が悪くなってきた。

2.1cmになった頃お金払うから抜いてくれと頼んだが育てる感覚が芽生えたようで断固拒否された。

2.2cm、他の候補生も育ててると他の脛毛も伸ばし始めた。

2.3cm、「抜いたら殺す」とねねを威嚇するようになった。

2.4cm、さわさわと触り「どこまで伸びるかな」とニヤニヤしていた。

2.5cm、「絶対抜かない」を約束させ脛毛を見せてくる

2.6cm、他の脛毛も0.8cmくらいに育ってきてスーパー脛毛ゾーンができた

ここでひとつ気づいたことがある。めめがこの脛毛を伸ばし始めてからめめの仕事が激減した。あれよあれよとキャンセルが入り家で脛毛を眺める時間が長くなっている。

「もしかして…その脛毛伸ばしてから仕事減ってない?」と聞いたが「あっ…」と言うだけで脛毛を悪く言うことはなかった。脛毛が仕事運を吸収して伸びているとしたらちょっとした夏の怪談である。お祓いに行った方がよい。

 

2.7cm、そろそろ抜きなよと声をかけても聞く耳を持たないし女子的にあり得ない強さの脛毛が風になびいていた。

 

2.8cm、深夜3時。突然の衝動だった。

本人が脛毛をみていたら「なにこれきもっ」という衝動に駆られたらしい。毛抜きで抜いたそうだ。

翌朝起きると「脛毛抜いたから」とのこと。テーブルの上に3cm近い脛毛が置いてあった。ゾッとした。

 

そうして他のスーパー脛毛ゾーンもナショナルのソイエでブチブチ脱毛していった。ちなみに「ナショナル?」と思った方に説明すると現パナソニックである。10年以上前の脱毛器を使っているのでナショナルと申し上げました。

 

脛毛がなくなって心なしかスッキリした表情のめめ。憑き物が落ちたようだ。

根拠のない「いけるとこまでいきたい」ほどヤバイものはない。

夏が狂わせたのか夏の怪談なのかはわからないがもう脛毛は伸ばさない方がいいと思う。