旅館のあのスペースの椅子。
正直あんまりここでくつろぐことはない。部屋の布団の上でゴロゴロすることが多い。旅館の部屋でどうやって過ごしているか?ここのスペースは好きだし癒されるけどあまりにも馴染みがないので遠慮してしまう。
野外劇場の椅子。
誰もいないときのこの並んだ椅子の数に圧倒される。どこに座ってもいいとなるとなんだか気後れしてしまう。どこに座るか考えてみるのは楽しい。
誰もいないところで座る人が来る日を待つ椅子たちはなんかかわいい。
天気のいい日のベンチ。
座らないともったいないような気がする。日差しのお陰でだいぶ暖かい。たまには日光浴。穏やかな気持ちになる。
別珍張のソファー。
何とも言えないこっくりとした青色は昔の京浜東北線のシートみたいな色してる。それを知っている人が少なくてもこの色を見たらなんだか座りたくなる。そんな不思議なソファー。
カメヤマローソクのベンチ。
色褪せた世界。座り心地は決して良くないがきっとそのうちなくなるならば今座らせてもらおうかな、さよならの前に失礼。
籐の椅子。サイドテーブルつき。
なんていい椅子なのだろう。古めかしいけどいい味がでてる。優しい曲線に身体を任せてクリームソーダでも飲みたいな。アルコールじゃなくって甘くて懐かしい飲み物がいい。
たくさんの人を座らせてきたからもうくたびれたんだ。そう言いそうなソファー。
座ったら野ざらしのスポンジから水がしみておしりがぬれてしまいそう。冗談混じりに座ってみよなんて言ったら後戻りはできないぜ。いつかこうなる、ソファーも私も。お疲れ様とだけ言ってさよならの日が来るのをまつばかり。
写真:香川県の椅子たち
撮影:さかもツインねね