人が生きてきた道を振り返ればその人の日々が詰まっていて他愛のないこともうんと感動するような出来事もただやり過ごした日々も全てが基盤となり道となっている。
どんなことをして今に至るのか、これを1から10まで知ることは大変。知りたいと思わないと聞き出せない。
そんな知りたい人がねねにできました。
あ、恋バナかよって勘違いしてませんか?違います。
残念ながら恋ではありません。
元ヤンです。
元ヤンの知り合いができました。
元は大人数の飲み会で顔合わせて、ねねが病院勤めをしていると知り「そういう仕事している人ってどんなんなの?」という興味ででご飯を食べに行くことになりました。
話しているうちに酔いも手伝って過去を喋り出す元ヤン。
「まぁ色々やったから」とヤンチャをアピールします。
何をやったのか問うと
「シンナーとか色々。悪かったんだよ。」と昔はワルだったんだ、みたいなアピールをしてきます。
あー、ありがち。今はまともそうに見えても昔はやんちゃで武勇伝言いたい系男子。はいはい、とりあえず聞きますよどうせ大したことないんでしょう、と思った瞬間
「シンナー吸いすぎて歯全部溶けちゃってるから」と歯を見せてきました。
ねねは「ツッッ!!」と息を呑みます。
本当にとろけちゃってた。歯。茶色い小さい突起物は数個見受けられるけど。前歯は差し歯のようで人工物がぶっ刺さってるけど、奥歯はとろけちゃってました。
「(コイツ、ホンモノだ...)」
ねねは元ヤンがホンモノであることを認めそこから先はどんな道を歩いてきたら聞き出すのみです。
インタビュアー気分です。
ただし、独身ばばぁの雑記ブログ(さかもツインのブログの存在は極秘にしている)のネタにすると勘づかれてはいけないので元ヤンの自尊心を満たしつつうまく聞いていきます。
まずは
なんでケンカするの?
ということからです。
元ヤン「なんか気に入らなかったり空気がそうなるから」
ばかか。てめえらは。武力衝突以外に方法はないのか。ほら笑ってスマイルスマイルスマイル。相手はあんたの鏡。あんたが笑えばあいつも笑うからとりあえず不快にさせない程度のスマイルくれたれよ。
空気がそうなるって天気か?あー、空が暗くなったから一雨くるぜってか?文明はどこいったんだよ。
ケンカに勝つとどうなるの?
元ヤン「よくわかんない、なんだろうね」
おい、ケンカそのものを否定しているぞ!とりあえず一触即発みたいなそのとんがりコーンな脳みそを指に1個ずつハメて「魔女~」っつって食っちまえよ。そしたら折れた骨無駄にならなくて済んだんだろうに。
ケンカすると痛い?
元ヤン「アドレナリン(?)出てるから痛くない」
あそ。
どこまでやるの?
元ヤン「おちるまで。そしたらこっちの勝ちじゃん。やりたい放題じゃん」
概要としては、顎を狙ってパンチ、脳みそ揺らして転倒からのマウント、からのフルボッコ。ただしマウントは返されるリスクもあるため気をつけなければならないそう。
ケンカに勝ったらそのあとどうするの?川に沈めたりするの?
元ヤン「さすがにそれは死ぬからやらない。売ったケンカで目玉とかは狙わない。正当防衛として庇護できなければ訴えられたときやばいから」
ふーん。暗黙の了解みたいのがあるのね。
最終的に勝つとその後手を出してこない、とかそういう点で彼らの中でのメリットはあったのかもしれないですがねねがそれを知る由はありません。
鼻折れたでしょ?
元ヤン「分かる?2回折ってる。うまい先生が整復するとキレイにつくけど、先生が下手だったから曲がっちゃった。鼻血がすごくて息が苦しいんだ。」
顔を狙い合いすぎでしょ。鼻折れることがスタンダード、それが元ヤンの生き方。
今まで折れたところでどこが一番痛かった?
元ヤン「肋骨。肺は無事だったけど痛かったねぇ。あと三階のベランダから飛び降りて両足骨折したけどほっといたらもっと酷くなって痛かったね。車イス嫌だったから松葉杖にしてもらった」
出てくる出てくる。たたけばたたくだけ出てくるエピソード。
ブタ箱入った?
元ヤン「入った」
※あまりにも想定外のことでなぜ入ったかは聞けなかった。そこよりもブタ箱生活が気になってしまってそっちが優先になってしまったので。
ブタ箱で何着てるの?
元ヤン「支給される服、着てきた服は帰るときまで着られない。」
ごめん、聞くけど、パンツも支給?
元ヤン「支給。もらったもんしか着られない」
それって新品?
元ヤン「いや、ちょっとわかんない」
ねぇパンツは未開封のやつじゃないの?
元ヤン「いや覚えてないわかんない」
ねぇパンツはもしかしたら知らんやつがはいたヤツはきまわしなの?
元ヤン「知らない、わからない」
パンツ絶対はきまわしだよね?
元ヤン「そういうことは考えないようにしている」
うわ、絶対はきまわしじゃん。知らんやつがはいたパンツははけないわ!あんたはいたんだ!きもーきもー
元ヤン「(とても穏やかな顔で)そういうことは考えないようにしている」
※後ほどネットで調べてみたら、パンツは売店で買えるとかはきまわしはないとか消毒しているとか色々でてきましたが何が本当かはブタ箱に入らないと分からないですね。
もうねねの中で元ヤンは『知らんやつとパンツを共有した男』としてキャラクターが確立した上、『知らんやつとパンツを共有デキル男』として地位が確立されたのであります。
ちょっと尊敬するよね、知らん奴がはいたパンツをはけるヤツ。
元ヤン今は真っ当に生きているようで仕事熱心なご様子。
1人でご飯も作ったりするらしく、チャーシューの作り方を聞いたら「豚肉の塊を買ってきて焼く。そして煮込む。6時間くらい煮ると肉が柔らかくなる。」と言い張る。
ちょっとまて、何肉を使ってるんだ?
元ヤン「バラ肉じゃないよ、脂凄いから。塊だよ。塊。」
ロース肉?
元ヤン「塊」「それで豚ヒモで縛って焼く」
タコ糸だね?それ自分でやるの?
元ヤン「スーパーにある。肉んとこにある。」
(は?何言ってんだこいつ)
で、焼くのね。その後煮るのね、煮こぼしは?しないの?
元ヤン「しない。そのまま煮るだけ。生姜とネギの青いところと醤油酒みりん砂糖だけ終わり」
肉固くならない?
元ヤン「ある一定時間を過ぎると柔らかくなる」
元ヤンタコ糸とか意味わからないこと言ってると思いましたが後日スーパーに行くと本当にネット状のタコ糸(無料)が置いてあり、ロース肉を買い、煮込んでみたらめちゃくちゃおいしいチャーシューができました。
いつも肉がカチカチになるところを本当に柔らかくできて、めめに「何これうまい、肉やわらかい」と言わしめた元ヤンチャーシューレシピ。本当だった。なにこれ完璧レシピじゃん。うまいよ、チャーシュー。
知らんやつとパンツを共有デキル男は違うなぁ、やっぱり違うよね。格が。スキルが。
何だってできるよ、そう、知らん奴とパンツを共有デキル男ならね。
だから元ヤンに「性格わるそ」とか「結婚してないの異例中の異例」とか言われても仰る通りって受け入れられちゃう。
はたまた飲み会をしようってなったときにメンバーの写真を送ってと言われて
この写真を送ったら、「面白いけどちがくて、顔見せて!」と要求され、てめえらは顔見ないと飲み会すらしない据え膳食わぬは男の恥をかましても、許してしまうのです。
パンツを共有デキル
その基盤があるから今のアイツは歯がないし鼻は曲がってるし寒いのにシャツ1枚で来る常軌を逸脱した道を未だに歩むハメになっているけど楽しそうに歩いている。
久しぶりにすごいなと思える人に出会えたのもねねが歩いてきた道の通り道だったのかもしれない。それはそれでとても楽しく歩くのみだ。
ヤンキーという道を歩むのも人の勝手だからなんとも言えないですが、罪を犯してブタ箱に入って知らんじじいがはいたパンツを共有してもいいのか?という所を一度考えて、犯罪に手を染めることが果たして正しいのか判断してほしいですね。ねねから言えるのは以上です。
※ここでいうパンツはきまわしは、ブタ箱中の全員の服がごっちゃになって着回しているということではなくて、服役中に支給されるやつは服役中ずっとそいつ専用として着るらしいが、退所したらまた次のやつにお下がりとした着回すということです。