もう少しで平成が終わる。そのとき昭和がもうひとつ昔になる。新しいものが増え古いものが消えていく中で現役稼働している昭和の残り香を探している。
盲点だったな、と思ったのはラブホテル。彼氏がいないので行く用もないのだが、昭和レトロなラブホテルも全国各地に多々あると情報を得た。都内のホテルは内装をリフォームしたりと時代に合わせて変化していがちなので「昭和レトロ ラブホ」で検索をかけてもなかなかヒットしなかった。
赤い絨毯がひいてあってシャンデリアのような派手な照明、ガラスのタバコの灰皿。そんな世界に浸りたい。ようやく見つけたのが巣鴨にある『シャトーすがも』。
Twitterに住む妖精さんが心にぐっと刺さる写真をあげていたので行くことにした。
昼下がりの巣鴨。
シャトーすがもの看板はまるっきり昭和だった。
困ったことに入り口がわからない。その上本物のカップルがこのホテルエリアをどこにしようかと歩いている。どのタイミングでどんな顔して入ればいいかわからない。入店に難しさを感じたので一周回ることにした。多分この気まずさや恥ずかしさを乗り越えないとこの先も昭和レトロなホテルに入りいることはできない。覚悟を決めて入った。
フロントのタッチパネルを見るとほとんどの部屋が空いていた。円形のベッドがある部屋は303号室だった。ひとりで入る気まずさを押し殺しフロントで鍵をもらう。
エレベーターで3階へ向かおうとして押したボタンがなかなかつかない。グッグッと押して3回目くらいでやっとついた。少しだけ不安を感じた。
エレベーター内のボタンも数字がななめにつえいて昭和(?)を感じた。
昭和フォントがたまらなくいい。
3階フロアに着く。たった4部屋しかないフロア。
303号室。鍵をもらったが鍵をささなくても入れてシステムがよく分からないと困惑した。
いざ入室。
おっ、(昭和)やってるね~!
これがお目当ての丸いベッド。どうやら回転ベッドらしい。
丸い布団がたまらなくかわいい。
残念ながら回転ベッドスイッチが壊れていてベッドは回らなかった。
それでもこの鏡や布団、照明があれば満足。この世界を現役稼働させてくれてありがとう。
部屋は全体的に鏡が多い。壁が鏡だ。照明も鏡。
ムーンプリズムパワーライトアップ!
わ!
派手!
落ち着かない!
でも好き!
ちゃんとテレビもある。
飾ってある花は造花だけども花の飾り方が昭和で笑えた。
風呂ガラス張りで見えている。
カーテンがあるから閉められるけど丸見えだね。
これだけ昭和が止まらないのに水回りのリフォームが完璧にしてあるのでうれしい。古いお風呂やトイレが苦手な人も問題ない。
昼間は採光のある窓から優しい光が入るので気持ちよくバスタイムを過ごせそう。
部屋から風呂を覗くとこんな感じ。
風呂から部屋を覗くとこんな感じ。
洗面所もきれい。
一応ざっとアメニティは揃っている。
トイレもきれい、きれい。
壁がオーロラみたいな光り方をしていた。
ソファーでくつろぐ。
え?
何これ?
これでお湯沸かすんだ!すごい!SONY!初めて見た。
ひとつひとつ感動する。何これ~とはしゃいでしまう。楽しい、楽しすぎる。
この割りばし最高すぎる。
チョコレートやコーヒーのサービス。ちゃんと2人分。
これは昭和三種の神器。
ガラスの灰皿、マッチ、キーホルダー。
まったく、お前さんはいつまで昭和なんだい?と聞きたくなった。いつまででもこのままでいてほしい。好きだから。
薔薇のような照明も
昭和フォントな案内も
このよく分からないふとんカバーも。
全部全部好きだから、全部全部残しておいて。
予想以上に居心地のいい空間にずっぽりはまってしまった。最近はラブホテルをコスプレ撮影などに使うこともあるらしいがそれに関しては「わかる」としか言えない。このロケーションは好きな人にはたまらないだろう。
2時間の滞在となったがその間ずっとひとりでわーわー言いながらシャッターを切りまくった。摩訶不思議で感動的な時間だった。
幸いひとりで行っても入店拒否されなかったので他にもこういう昭和レトロなラブホテルがあるなら行ってみたい。家に帰るのが嫌な日とかちょっと気分転換したいときに絶対いい。日常からスパッと切り離される体験は必要。お風呂もベッドも広いからのびのびできる。ラブホテルステイ、いい。シャトーすがもの他の部屋というのも気になるのでまた行こうと思う。