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さかもツインの健康で文化的なようでそうでもない生活をお送りいたします

誰にも会いたくなくなったら佐賀に行けばいい

誰とも会いたくなくなったら佐賀に行けばいい。佐賀へのひとり旅をしてみてそう思った。ひとりだけの世界に浸れる素敵な佐賀。今イチオシの県だ。

 

仕事のストレスが日に日に大きくなり誰とも話したくなくなった。不満を管理職にぶつけても何も変わらない。少し休みたいな、そんなときに連休を用意して2泊3日で旅に出ることにした。

行き先の候補はいくつかでた。

山形の旧済生館本館、静岡の海、広島の元遊郭の旅館、山口の萩、そして佐賀。

出発の3日前までうんうん悩み佐賀に行くことにした。目指すは元遊郭の旅館、海、渋いラブホテル。私の好きを全部詰め込んだ。飛行機のチケットも宿の手配もスムーズに済みこの旅はきっといいものになる予感がした。

1日目

埼玉から福岡へ

1日目の朝10時のフライトで福岡空港へ。佐賀空港行のチケットがとれなかったので福岡からのアプローチとなる。ひとりで乗る飛行機は怖い。酔わないか不安だった。無事に着いたときほっとした。福岡空港のトイレの水は青い。これを見ると福岡に来たんだなと思う。

 

博多から佐賀武雄温泉へ

博多駅から特急電車に乗る。パン屋で昼御飯を買う。13時。知らない町の知らない電車。切符を握りしめ遠くまで来たなと思った。家を出発して6時間経過していた。1日の移動限界時間は6時間だなと思う。

 

武雄温泉

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楼門が有名な温泉施設。早速貸し切り温泉に入る。f:id:sakamotwin:20191202221303j:image

柔らかなお湯が気持ちいい。古くからあるものを現役稼働させているならその場に入って体感したいという気持ちが強くあるからこういう場所が好きだ。写真を撮ったり空想にふけったり、時間がいくらあっても足りないくらい楽しい。ひとりで寂しくないのかと聞かれるがひとりだからじっくりその場所や雰囲気、そして自分の気持ちと向き合える。ひとりじゃなきゃダメなのだ。

 

しらさぎ

遊郭の旅館。ここへ行きたいから佐賀に来たようなものだ。
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一歩立ち入れば目眩く赤の世界に惚れてしまう。
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いつか行ってみたいと思ったいつかが今あることがどうしようもなくうれしい。今を全力で楽しんでると気付いたときにはもう仕事のことはすっかり忘れていた。

 

夕食は近くの居酒屋へ。f:id:sakamotwin:20191202222100j:image

他にお客がいなかったのでおかみさんが佐賀のいいところをたくさん教えてくれた。誰とも話したくないくらい気持ちが塞ぎ込んでいたのについつい長話してしまった。知らない人の優しさに触れると心がまろやかになるということを知った。商売繁盛するようひっそり願っている。

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夜の武雄温泉は賑わっていた。もうひとっぷろ浴びて宿に戻る。

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眠れるか心配だったが思ったよりぐっすり眠れた。

 

2日目

ホテルエレガンスへ

名残惜しく宿を後にする。しらさぎ荘のご主人が「私の代で閉めますから」と言っていたのが胸に刺さる。いつまでもある場所ではないからまた来たいと思った。それを好きというならその気持ちは大切にしよう。
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佐賀駅から唐津線に乗る。ここから1時間。ローカル線なのでトイレが心配だったがトイレ付きの車両で安心した。
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埼玉では見ないノスタルジックな車両。

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昭和の残り香とどう切り取っても美しい車窓。f:id:sakamotwin:20191202223353j:image

そして降り立った無人駅の青さ。世界が終ったのかと思うほど誰もいない。この世界なら気兼ねなく歩けて居心地がいい。

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途中のコンビニでパンを買う。リョーユーパンというローカルパンだ。地方のコンビニというのは見たことのないものがたくさんあるので魅力的だ。

 

ホテルエレガンスはお目当ての部屋に入れなかったがこの浴室が100点だったので良しとする。
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唐津

宿最寄りの東唐津駅までは30分もあれば着くらしいので誰もいない道をまたひたすら歩く。

競艇場があった。昔付き合った人がボートレーサーになろうとしていた。結局試験を受けられなくて夢のまた夢で終ったけどもし彼がボートレーサーになっていたらここにも来たのかなと思う。
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競艇には興味ないが競艇に思い入れがないわけではない。私が歩けば私の過去にぶつかる。振り返る旅なのかもしれない。

 

途中に公園があり写真を撮る。
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犬のさんぽをしているおじさんが「いい写真とれたかい?」と聞いてくる。
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どうでもいい会話すらいとしく思えるようになればこのひとり旅は正解と言える。正解のようだ。

貸衣装屋のウィンドウにはバブル時代のウェディングドレスが飾られていた。時間が止まったらもう2度と動かなくなるらしい。
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海へ
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東唐津駅からタクシーに乗って唐津シーサイドホテルに行こうとしたがタクシーがなく歩くことにした。ホテルについて荷物を置いてすぐに海へ行った。


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靴を脱いで歩く。

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濡れてもいいので好きに歩いて貝を拾った。美しい白とピンクの貝を拾った。

20代の頃しばしば海に行き貝を拾った。貝を拾って何にするかというと何にするでもないが、美しいものを手に入れるということが心を安らかにするようだ。拾った貝をポリ袋に入れ持って帰る。(墓にこっそり撒こうと思って墓参りに行ったが貝を忘れてまだ家にある)

 

もうすっかり心は無の境地、いや喜びしかない。完全に淀んでいた心は流れていった。

夜になって星空を見て朝になって光を見る。
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あの島へはフェリーで行けるらしい。もう今回は時間がないので行けないがまたいつかまたいつか必ず来てあの島へ行こう。

 

 

3日目

唐津から福岡へ


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車窓は今日も青かった。

電車に揺られうとうとする。帰りたくない気持ちでいっぱいだ。いつかこんなところに住めたら。海のある静かな町が好きになった。

 

福岡から埼玉へ
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福岡空港はリニューアルされてとてもきれいになっていた。市街地からのアクセスもいいし便利なところだ。

豚骨ラーメンを食べたかったが飛行機に乗る前に食べて胃もたれ酔いしたら嫌なので軽食にする。

旅の荷物は5㎏だった。お土産を持つキャパはなくお腹すいたとき用の梅干しおにぎりとお茶だけ買って飛行機に乗り込む。

 

いい旅になってよかったと目を閉じ羽田空港へ。

見知ったJRと人混みに帰って来たと実感する。

帰ってきてまた働きに出てずいぶん穏やかな気持ちになれていることに気付いた。自分と関係のない怒りは「はいはい」と流せる余裕がある。心にバリアができてるみたいだ。なんて素敵なことだろう。ひとつ強くなってまた働く。心持ちがこんなに変わるなんて思ってもみなかった。

ひとりじゃできないこともある。ひとりだからできることもある。たまにはひとりになって自分の好きなものにとことん向き合うのもいい。誰もいない世界で、誰もいない佐賀で。