駒込駅から少し歩いたところに 夜怪しく光る看板がある。
その看板の持ち主を旅館江戸駒という。
初めて江戸駒を見たのは15寝んほど前であったろう。ラブホテルというものは知っていても連れ込み宿というものは知らなかった。旅館ではないけどラブホでもない。なんだか不思議でちょっと卑猥な、子どもは立ち入るべからずという印象だった。
連れ込み宿という概念を収得し、昭和の色情を感じるならここ、と想いに想いやっと行くことができた。
旅館と言われれば旅館といった入り口。
引き戸は新しくきれいだ。
入ってすぐ待合室みたいなのがある。
右手方向にフロントがありカウンター越しに「休憩で入れますか?」と声をかける。
空いているそうで「3時間4000円です」とのこと。
先払いし部屋の鍵をもらい憧れの江戸駒の廊下をずんずん歩く。
(ラブホだとフロントパネルで部屋を選ぶが、連れ込み宿は入口に宿の人がいて部屋をあてがってもらうシステムなのかもしれない。旅荘和歌水もそうだった) ↓旅荘和歌水の記事
http://sakamotwin.hatenablog.com/entry/2019/06/11/224332
2階に続く階段。
廊下はとにかく静かだった。
6号室はどこかな。
ふむ、いい6だ。
入室。
一瞬部屋がどうなっているのかわからず混乱した。
そして真っ先に開けたのがむかって左の扉。
トイレでした!(洋式でうれしい)
じゃあ居室は右の襖ね…
あれ、和室?
ベッドルームはないのかな。
…もしかして。
そうゆうことでしたか!迷路みたいでおもしろい!
枕元の定番。
…もしかして。
襖鏡でしたか!
まるで宝物探しをするかのように襖を開けていくシステム。楽しすぎます。
さて和室のほうに戻りましょう。
冷蔵庫、いいですね。
お茶セットもいいですね。
こちらは?
ただの窓でした。
鍵がめちゃくちゃ良い…渋い!
さて、まだ奥になにかあるのですか?
…!
ちょっとした庭!
この窓を開けると山手線の線路が見えて電車の音が聞こえてきます。
夢と現の境目。
窓際の戸棚にはガウン。浴衣じゃないよ。
さて、それでは注目の浴室へ。
タオル置き場がとてもいいです。
洗面所。
蛍光灯の青白い光が昭和の洗面所感を漂わせる。ちょっと冷たい感じがして好き。
はい。しびれちゃった!
浴槽はかなりコンパクトで深い。水色のタイルはどこも欠けていなくて大切に使われていることがうかがえます。
この独特な色合い。
素晴らしいです。
いやぁ、入って良かった。寝室からは微かなお香のかおり。時代に置いていかれたのは私たちだったのではないか。そう思うほどこの世界は完璧だった。
懐かしいなんて言ったら調子いいよな。
ここをこのままにしておくためにどれだけの人が手をかけているのか。昭和をとっておいてくれてありがとうだよな。
どうかどうか、なるべくいつまでもこのままで。
2020年夏訪問