昭和の贅を尽くしたゴージャスな世界観が好きだ。煌めくシャンデリア、深い色味の絨毯、飴色の光に照らされてどこかノスタルジックな気持ちになる空間に身を溶かして生きる糧を得ている。
キャバレーというものは行ったことがなかった。男性の行くお店というイメージも強く女性1人で行くのはなかなかに敷居が高いと思っていた。
十三のほうに『アルサロふうりゅう』というキャバレーがあると聞き、おなじみラブホ写真家の那部さんと一緒に行くことにした。
アルサロふうりゅう↓
夜の帳が下りる頃ネオンが灯り遠くから地図を見なくても「あそこだね!」とすぐにわかった。
入口にはボーイさんが立ってらして女性2人でも歓迎してくれたので料金の説明を受けそのまま入店。
普段見かける昭和レトロとは違った、ちょっと大人の雰囲気のある扉を進む。
緩やかなカーブの螺旋階段が出迎えてくれる。スケルトンの手すりが珍しい。
壁に鏡があると来るときと帰るときの自分の顔がよく見える。ワクワクしながら入ってニコニコして出てきた男性たちをたくさん映し出して来ただろう。
鏡に沿って縦に電球が点いてるところも特別な場所っぽくていい。
天井のライト。
カウンター。
どことなく普段巡っているラブホっぽさもあり親近感がある。
大人の喫茶店という感じのお席について、ソワソワしているとお姉様が席に来てくれて注文をとってくれる。
お酒は飲めないのでオレンジジュースで。お客様ほとんどお酒を飲まれるようで、「そのオレンジジュースちゃんと味する?薄めたやつじゃないよね?」と心配されましたがしっかり味のするおいしいジュースでした。
アルサロというのはアルバイトサロンの略で、空いた時間に働きに来るホステスさんもいらっしゃったよう。色んなお客さんが来るようで地域に根づき沢山の人に愛されてきた場所なんだろうなという印象を受けた。
周りのお客さんたちも楽しそうに飲んでおしゃべりしてカラオケしたりしている。古き良き空間が息づいていてこの賑やかさが心地よかった(普段ラブホでは1人か見知った2人で訪問するので同じ空間で賑やかにしている人を見かけないため新鮮だった)
こういう場所が好きで、という前置きのあと写真を撮る許可を頂いたので数枚ぱしゃり。
正面のシャンデリアは圧巻です。
ここでカラオケできるそう。一曲歌いたいト今更ながらに思ってみたり。
吹き抜けの2階エリアの手すりまで。なんとゴージャスなことよ!
他のお客さんが写らなければいいですよとのことで端っこの席もぱしゃり。
壁に照明が。
左右の高さがちょっと違うおしゃれなデザインです。ガラス細工も手が込んでいて素敵です。
いいことがあっても悪いことがあっても、話ができてお酒が飲めて煌びやかな空間に身を置いたら明日も頑張ろうって思えるんじゃないかなって。きっとそうやってみんなの背中を押したりそっとさすったりしてきたんだと思う。
キャバレーに来たことなくて遊び方も知らなくてもホステスさんやボーイさんが親切に対応してくれたことがうれしかった。
高度経済成長期の大阪をちょっとだけ生きてみたかったなと、タイムマシーンがあったら大阪万博を見てここに遊びに来ていたかもしれない。走り始めた頃の東海道新幹線に乗ってお土産をたくさん買って帰ってフィルムカメラで撮った写真を見せながら楽しかったよって旅の思い出を語りたい。
あるわけもない記憶が勝手に捏造される。
それだけドラマチックな時間を過ごした気分なの。
帰りはホステスさんが見送ってくれて寒い中写真を撮りまくる我々をにこやかに見守っていてくれ、人の優しさが響く夜だった。
またこんな夜を過ごしたいなと帰路についた。
2023年10月訪問